エピローグ~完~
エピローグ
「航士朗がいなくなってから、はや半年が経ちそうです」
クラスにはまだ、航士朗の席が残っている。前の席にあったいつもの笑顔はいまはもうない。
航士朗のおかあさんは、一度警察に捜索願、行方不明扱いにされている航士朗。
航士朗はどうやら、誘拐された訳じゃないらしい。
俺はなんだか、悔しい。なんか負けた気がしたから。
航士朗のお母さんも、「きっと、どっか旅にいったのよ」の一点張りで、安心している様子で不安な顔なんて一つも見せやしなっかった。(すごいおかあさんだ)
そして、事件がもう一つ、カイトさんも学校からいなくなった。
確かにあの二人最近、一緒に過ごしていたのは周知の事実で、貴衣は今も嫉妬中。
まあ、俺もそこに関してはなんだか悔しいというか、やっぱり俺も嫉妬中。
そんなことを授業中、学校の外の透き通るような蒼天を頬杖をかきながらみていると、
なんだか笑いそうになった、なんだかいいことが起きそうな気がしてきた。
多分航士朗も笑っている。
あ、それと航士朗のお母さんが言っていたことをもう一つ思い出した。
「でも、私はあの子を愛しているから」そう航士朗の母は言っていた。
その表情に不安はなかった。