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短編集

いつもの日常。そして、いつもと違う事。

あーぶっちゃけジャンルがこれで良いのかかなり疑問……?

不適切なジャンルだと思ったら指摘お願いします。


 朝、目が覚める。

 なんてことのない、いつもの日常。

 ただ、何か違和感があった。一体なんだろうか?




 向かいの家では隣同士で喧嘩するほど仲のいい同級生の男女が喧嘩をしている声が聞こえてくる。毎朝毎朝、賑やかなことで僕の目覚まし代わりとなっている。

 近所迷惑と苦情を言おうかと思った事もあるが、一向に進展しない二人を遠巻きに見るのも今では僕の日常となっていた。


 いつも通り、いつも通り。




 軽く顔を洗ってからリビングへと顔を出すと母親が朝食の用意をして、父親は新聞を読んでいる。

 トーストと目玉焼きという洋風な朝食を食べながら、父親が読んでいる新聞の記事が目に入る。


『ーー町にて、一家の惨殺死体が発見。犯人は未だ不明』


 そんな物騒な記事が目に入る。確かこれで今月に入って四度目くらいだろうか? 確か無差別連続殺人犯とか話題になっていた覚えがある。

 そういえば隣の席の石田君が妙に気にしていたような気はする。まぁいいか、特に親しい訳でもないし。


 言い方は酷いかもしれないが、被害者にでもならない限りは他人事である。こんな物に首を突っ込むのは物語の主人公だけで充分だ。

 凡人でしかない僕にどうにか出来る事など何もないのだ。だから、いつもと同じように生活するだけだ。


 いつも通り、いつも通り。





 学校へと向かう最中、違う制服の女子が同じクラスの山下君と道の角でぶつかって喧嘩をしていた。関わったら面倒そうなので避けて先と進んでいく。

 なんとなくこのあとの展開も予想出来るが、まぁ気にしても仕方ない事だ。当人たちの問題でもある。


 やはりというか、予想通りにその女子は転校生で山下君と顔を合わせて自己紹介の後に大喧嘩を始めた。


 まぁ急に転校生がやってくるのも、騒動を起こすのも今年のうちで五回目ともなれば流石に慣れる。二回目の時の、教室の全体を巻き込んだ大乱闘に比べればかわいいものだ。

 もはやこれも日常の一部である。


 いつも通り、いつも通り。





 三限目の数学の授業の最中に隣の校舎から強烈な光が迸った。

 後で聞いたところによると、一年生の一クラスが丸々居なくなったらしい。これで今年は二件目だろうか? 教師も慣れてきたのか授業の中断は無かったくらいである。


 まぁどうせそのうち帰ってくるらしいからどうでもいい。

 なんか異世界に行って帰ってきたとかいう話だが、最近はそう珍しくもないので心配する人も減ってきている。

 異世界で命懸けの戦いを経て、元の世界へ帰還するとか何処の主人公だ。主人公でもない僕には無縁な話だよ。


 自分が関わらなきゃ所詮そんなもんだ。それが普通であり、僕の生活には何の影響もない。


 いつも通り、いつも通り。





 昼休み、母親が用意してくれた弁当を食べていると轟音とともに校舎が破壊されていた。


 目の前には明らかにファンタジー的な武装をした男子とその男子に守られるような体勢の神官風のファンタジーな格好の女の子、そしていかにも悪役っぽい雰囲気のちょっとエロい衣装の女の子。


 何やら僕の方に目配せして、神官風の女の子が何かを呟くと僕は意識が朦朧としてくる。

 この展開はない二年ぶりだろうか? まぁいいや。どうせ目が覚めたらーー


 気が付けば、保健室のベッドも上にいた。

 はて? 何があったのかいまいち思い出せない。

 まぁいいや、たまにある事だし気にしない、気にしない。


 校舎破損の為、その日の授業はそこまでとなった。ガス爆発があったらしい。そして、僕はそれに巻き込まれて気を失っていただけのようだ。

 そんなに頻繁にあるという訳でもないけど、経験がないわけでもない。ちょっとだけ非日常なだけだろうけどまぁそれでも。


 いつも通り、いつも通り。





 予定より早く帰宅することになったけれど、のんびりと歩いていく。

 ここまではいつも通りの生活なのに、どうにも今朝感じた違和感が消えない。一体なんだろうか?



 ちょっと買い物もあったので、寄り道をして帰ろう。


 うん、よし。欲しかったゲームが手に入った。せっかく早く帰れるんだから時間は有効活用しなければ。

 ん? なんか空中でチカチカと光が飛び回っている。

 うわ!? なんか人が落っこちてきた。

 すごい速度でもう一人が突っ込んでくる。そして先に落ちてきた人に斬るかかっていた。そこから凄まじい剣戟が始まった。


 しばらくして決着がついたのか、一人は倒れ、一人は立ち去った。

 警察にしてはちょっと物騒な装備をした人達が後始末を始めていく。僕も大人しく避難誘導に従い、帰路につく事にした。

 

 ニュースではよく見るけども、実物を見たのは初めてだったから少し興奮した。だけど、これも今朝からある違和感とは違う。

 実際に見たのが初めてなだけで、ニュースとかでは見ていることなのだ。


 いつも通り、いつも通り。





 帰り際の河川敷で泣きながら走っていた女の子を追いかけて、男の子が大声で告白するシーンを目撃した。いやー青春してますなー。

 僕にはそんな主人公みたいな事は、絶対に出来ないよ。


 ……あれ? ふとある可能性が頭に浮かぶ。

 違和感は目が覚めた時からずっとあった。いつもの光景もいつものようにあったから気にもしていなかったけれど、この予想は当たっていれば家に帰ればはっきりする。



 そうこうしているうちに家へと辿り着く。

 やっぱり、違和感は消えてなくなることはなかった。


「……なるほど、そういう事か」


 気付いて、意識してみればはっきりと分かった。そして自分しかいない状況でも続く違和感。その正体はーー


「そっか、違和感の正体は君が見てるからなんだね」


 虚空を見上げながら宣言をする。

 主人公になることの無い自分が主人公としてメインとして読まれていた。それが違和感の正体であったのだ。




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