g008;人食いルーミア
◆注意 残酷描写
今日のノロは、森を散歩している。
ノロ「
ここは、さっき、来たな……
また、迷った……
……夕日がキレイだ。
」
さらに歩いてゆくと、一人の少女『ルーミア』が、浮遊していた。
ノロ「
お! ちょっとそこの人! 道を尋ねたいんだがね!
」
ルーミア「
……ふーう? 見かけない人。人間?
人里から来たの~? それとも~
」
ノロ「
人里? どっち行けば、人里方向?
」
スーッと、ルーミアはノロに急接近。
ルーミア「
バレなきゃ大丈夫。いただきま~す。
」
ルーミアは、ノロの頬に噛みついた。
――が、全然、歯がたたない。
ノロ「
随分とまぁ積極的なアプローチ。
抱きしめて上げればいいのかー?
」
ノロはルーミアを抱き、絞める。
ギリギリ、ギシギシギシギシ…… 骨がきしむ。
ルーミア「
うぅ! ぎゃっ! 痛い 痛い いたたたたた!
ごめん ごめん ごめん! もう食べないから
はなして はなして はなして!!
」
ノロ「
離してやった。
」
地面に倒れるルーミア。
――ぐぐぐううううぅぅぅ。
ルーミアのお腹が鳴る。
ルーミア「
お腹、へった。
たまには、人が、食べたい、食べたかった。
果物だけじゃ、すぐ、腹、へる。
」
ノロ「
人食い? 変わった趣向だな。
」
ルーミア「
妖怪だもの。人も食うよ。
」
ノロ「
ふうん……そうかー……、
……本当に人を食いたい?
」
ルーミア「
食べたい、食べたい、食べたい、……
」
ノロ「
本当かー?
」
ルーミア「
食わせてくれるの? 食べていいの、おまえ?
」
ノロ「
え? ああ、ムリさ。
食べようたって、食べれないだろう?
」
ノロは腕を、ルーミアに噛ませる。
ルーミア「
ウググッガガガガガウウウ。グウウグウグウガウ。
」
ルーミアは、一心不乱に、ノロの腕を噛みちぎろうとする。
が、歯型すら、まともに付かないほど、ノロの腕は強靭だった。
ノロ「
そんなに、腹が減ってるか?
分かった。食わせてやる。
」
ルーミア「
うよ?
」
ノロは、スキマ空間をこじ開けた。これは紫の能力を模倣したもの。
そこから、ヒョイ、ヒョイ、と、柄の悪そうな人間たちを、取り出した。
取り出した瞬間、ノロは、容赦なく、その人間たちの、脚を、切り落とす。
手刀だろうか。素手なのに、スパッと、人体が切断されてしまう。怖い。
人間たち「
え? ひょ? うわあああああぁぁああぁぁぁああ!!
脚が 足が アシ あしさししいいあし!
だあああばああああぁぁあららああぅうぅええあおぉいいえええ
」
仰天して、吐く、人間たち。
ノロ「
当人、ビックリしちゃったか。痛みは感じないように処置したんだがな。
――ほうらしゃっと!!
」
ノロは、人間たちの頭を潰した。
ルーミア「
わ~、容赦ない。
」
ノロ「
いや、なるべく、苦しまずに死なせようと、一応の配慮をしたつもり。
」
ルーミア「
食べていいの? 食べていい? 食べるよ? 食べちゃうよ?
」
ノロ「
腐らないうちにどーぞ。
そもそも、この人間たちは、世界中の、法で裁けない極悪人を、
チョイスして取り集めたんだ。
法が罰しないのなら、私が罰しよう、と。
」
ルーミア「
ガブシャラブッシャ メチャメチャグシャモジャグシャ。
」
ノロ「
食うのに一生懸命らしいな。
――あ、よいしょ、っと。
」
ノロはクーラーボックスを取り出す。中には氷がぎっしり。
これは、異空間にしまっておいたやつを、取り出したのね。
ノロ「
そういや、そちらさん、お名前は?
」
ルーミア「
ルーミアは、ルーミア。私はルーミア。
」
ノロ「
ルーミア? ルーマニア? ま、いい。
そこにクーラーボックスを出しといたから。あれね、あの箱。
余った死体は、そこへ詰めとけば、まあまあ腐らず保存できる。
」
ルーミア「
全部、食べる!
」
ノロ「
そうか。おや。
」
見ると、ルーミア以外にも、色々な者が死体に食いついていた。
名もなき妖怪たちだろうか。
早くも、死体が食い尽くされそうだ。
ノロ「
んじゃあ、もっと追加しようねぇ。
なにしろ、裁けない極悪人には、事欠かないのだから。
――ホイ、ホイ、ホイ、ホイっと。
いい感じに、私腹を肥やした輩が多いぞ。
」
ノロは、スキマ空間を通して、また人を取り出しては、
安らかに即死魔法をかけて、妖怪たちに放り投げる。
そう、ノロは即死魔法も使える。これが一番、苦しませずに、
瞬間的に、死亡させることができる。
その上、遺体に損傷は、ほぼ、ない。可食部100%。
ルーミア「
わ~い!
」
森が、赤に染まってきた。
ノロ「
虫やら、獣やらも、集まってきたな。
これだけのエサを与えてやったんだ。
人里やらの方向を教えてほしいね。
」
ルーミア「
う? あっち!
」
ノロ「
ありがとう。んじゃあ!
」
ルーミア「
あー、名前、まって、名前、名前
」
ノロ「
名は、ノロ。 じゃあ。
」
ルーミア「
また来てね! みんな、喜んでる。
」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
後日、血染めの森にて。
霊夢「
な……、これは何? 何が起きたの……
」
大量の死体の、食いクズと、血が残され、ちょっとした騒ぎになったりもした。
霊夢「
ねえ、ルーミア。この死体は、どこから持ってきた?
」
少し睨みながら、聞く。
ルーミア「
私じゃないよ、私じゃない。
真っ白な髪をした女の子がね、プレゼントしてくれたの。優しかったよ~。
」
霊夢「
(真っ白な髪……、もしかして)
名前は聞いてない?
」
ルーミア「
忘れたー。聞いてなかったかも……。と、ああ、そうだった、ノロ!
ノロだよ!
」
霊夢は頭を押さえた。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
やはりこの日も散歩中の、ノロをつかまえた。
霊夢「
さあ、何をしたのか、説明してもらいましょうか?
ことによっては、人間たち全てを、敵に回すわよ……?
」
ノロ「
なあに、死罪に相当する人間だけを選りすぐって、与えただけさ。
しかも、ちゃーんと、なるべく苦しませない配慮もしたよ。
まだまだ人は余ってるんでね、まだまだ妖怪のエサとして出せるよ。
」
霊夢「
やめなさい。外界のことは、外界の人たちに任せればいいの。
貴女の関わることじゃないわ。
」
ノロ「
私は元々、いくつもの世界を横断する存在さ。
それに、考えを改めた方がいいな。
その世界の者たちだけで、その世界が管理できるなんて、
そう、上手いことは、いかないね。
」
霊夢「
それでも、自分らのことは、自分らでやらなきゃ。
他人に助けられなきゃ、存在できない世界なんて、
はじめから、いらないんじゃない?
」
ノロ「
ああ、はじめから、いらないな。
だが、もう、存在しちゃってるんだもの。
残酷な世界を作った者は、その世界を、処分せずに放置するだろう?
苦しむのは、その世界を作った者じゃない、
その世界の中で、存在させられ、あがく者たちだ。
その人たちに、罪はない。生まれながらに、生き地獄に放り込まれている。
……私自身、その一人だった。だから、見てられない。
苦しむ人間を滅ぼすより、苦しませる人間を滅ぼせばいい。
」
霊夢「
あらあら、貴女の闇の一面の見た気がするわ。
それだと、貴女は、これからも、色んな者を殺すのかしら?
」
ノロ「
まぁ、そうさ。誰もが、遠回しに、誰かを殺しているかもしれないけどね。
」
霊夢「
……お話でこれで良いかしら。
外界に、必要以上に干渉するなら、私も黙ってはおけないわ。
」
ノロ「
おや? なんで?
」
霊夢「
こちらの世界と、外の世界――、干渉しすぎて、良くなった試しなんて
一度もないもの。
」
ノロ「
そりゃ、やり方によるさ。
むしろ、これだけの種々様々な能力者たちがいるのに、
その力を、世界の改善に使わないからこそ、
依然として、人間世界はバカをやってるんじゃないか?
」
霊夢「
…………そうかしらね。
かつては、その人知を超えた力を使うことで
失敗してばかりだけど。
」
ノロ「
人間に、良し悪しがあるように、
妖怪にも、良し悪しはあるだろう?
能力もまた、良し悪しがあるだろう?
だったら、全てのやり方がダメだなんて、そりゃ極端。
やりようがあるはずだ。
」
霊夢「
そうね……。ええ、もういいわ。
そこまで考えてるなら、勝手になさい。
この件について、私は手を出さないわ。
」
ノロ「
なーにか、新たに始めたりしないの?
幻想入りを望む人々を、もっと取り込んでみたり、とか?
」
霊夢「
今はしないわ。今のままでも手一杯なんだから。
」
ノロ「
そっか。そうか。
」
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■要約
・ルーミアに人体をプレゼント。
・ノロの私刑に霊夢が疑義疑義疑義。
◆『幻想入りシリーズ』と『異世界転生モノ』というのは、どこか似ている。どちらも、ここではないどこかへ、転じるという点が。
◆「
あたまあたまあたま
あたまをたべると
あたまあたまあたまた
あたまがよくなる
さみんなで頭を食べよう
」