g007;紅魔館、その後
紅魔館の人たちと、色々な誤解が解けた、その後――
宿と飯を探さすため、立ち去る心づもりだった、が。
レミリア「
何? 住むところがないの?
……咲夜、客室の準備をしなさい。
」
ノロ「
おや? え?
」
レミリア「
今回のこと、……悪かったと思ってるわ。
貴方の言い分を聞かずに、攻め続けたこと。
お詫びといって何だけど、客人としてもてなして
さしあげたいわ。……どう?
」
ノロ「
そりゃ……、ありがたい。
」
咲夜「
客室の準備が整いました。
」
レミリア「
咲夜、これからは、ノロを客人として扱いなさい。
いいわね?
」
咲夜「
はい、分かりました、お嬢様。
――それでは、ノロさん……いえ、ノロ様、
お部屋にご案内します。
」
ノロ「
ああ……、どうも。
なんというか。いいのかな、本当に?
」
レミリア「
気兼ねすることないわ。
ええ……そうね、好きなだけ、
ここにいていいわ。
」
ノロ「
………………そういえば、今になって
思い出したけど、お宅さん吸血鬼だったね。
まさか、今晩、寝てたら、血を抜かれて、
あの世行き……、なんてコトじゃないよね?
」
レミリア「
ふふっ。……私が怖いかしら?
」
ここぞとばかりに、威厳を見せるレミリア。
咲夜「
お嬢様……
」
それを、煌めく瞳で見つめる咲夜。
ノロ「
――と思ったけれど、考えてみれば、
お宅さんの牙じゃあ、私の皮膚を
傷付けることも出来ないだろうから、全然心配ないやァ。
」
ちょっと不機嫌になるレミリア。
レミリア「
……それは、吸血鬼としての私を、
見下しているのかしら……?
」
咲夜「
ノロ様、いかに客人であるノロ様であろうと、
お嬢様をバカにするような発言は、謹んでもらいたいですね。
」
ノロ「
うん? ああ、今のが失礼、不敬に当たるのか?
……難しいな。ごめんね、レミリア……ちゃん?
」
レミリアは少し呆れた表情で言う。
レミリア「
……こう見えて、私は貴方より、ずっと歳上なのよ。
そういう呼び方は、やめてほしいわね。
」
ノロ「
へぇーえ、……何歳?
」
レミリア「
さぁねぇ……、500は下らないわ。
」
ノロ「
500歳、5世紀。そりゃもう世紀単位で数えたほうがいいな。
てーことは……、もう、バーチャンじゃない――
」
レミリア「
咲夜。
」
咲夜「
ノロ様。それ以上、言われますと、命の保証はできませんよ。
」
ノロの首筋に、ナイフを当てる咲夜。
ノロ「
何だー、これも無礼にあたるのか~。
私は賢くないんでね、できれば、タブーリストとか作って、
目立つところに飾っといてほしいよ、もう。
」
咲夜「
タブー、つまり、禁句ですね。
そうですね、考えておきましょう。
」
ノロ「
考えちゃうのかー……
」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
夕飯時。
咲夜「
ノロ様、夕食は、お部屋にお持ちしますか?
それとも、お嬢様たちと、ご一緒しますか?
」
ノロ「
ご一緒でお願い! 色々話すことも、あるやもしれない。
」
了解しました。と言って、咲夜は出てゆく。
レミリアを見る目に、時たまに怪しさを含むが、
それ以外は、今のところ、完璧なメイドさんに見える。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
みんなと食事している。と、言っても、全員ではない。
レミリア、ノロ、パチュ(パチュリー)がいる。
そばには咲夜もいるが、自身は食事をせず、世話に徹している。
フランと美鈴は、別々に食べているのだろうか。
パチュ「
こんばんは。これから、よろしく。
」
ノロ「
よろしく どうも!
」
パチュ「
いつもは大図書館にいるから。
もし、私に用があるときは、そこで。
」
ノロ「
ええ、あ、うん。
」
レミリア「
さて、ノロ? ここの食べ物は、お口に合うかしら?
」
ノロ「
美味いよぉ。私はてっきり、生き血でも出されるのかと、
ちょいと、ヒヤヒヤしたけれど。
」
レミリア「
ああー。昔は飲んでたわねー……。
でも今の時代、血より美味しいものが、いくらでもあるもの。
それより――、
」
ノロ「
うん?
」
レミリア「
貴方に、住む場所と、食事を提供してあげる。
その代わりといっては何だけど――
」
ノロ「
はい?
」
レミリア「
ときおり、フランのガス抜きを手伝ってくれないかしら?
」
ノロ「
ガス抜き? サツマイモでも食べすぎたの?
」
レミリア「
違うわ……。
あの子、たまに力を発散させないと、
あとで、とんでもなく暴れ出すのね。
だから、貴方に、あの子の遊び相手になって欲しいの。
」
ノロ「
いいよ!
それで、タダ飯 食えて、タダ住まいできるなら、
サンキューさァ。
」
レミリア「
ふふっ。
」
。。。。。。。。。。。。。。。。。
パチュ「
私からも、1つ提案、良いかしら?
」
ノロ「
何だい? えーっと……パチェリィ?
」
パチュ「
パチュリー。パチュリー・ノーレッジ。
短く『パチュ』と呼んでくれたらいいわ。
みんなもそう呼んでるから。
」
ノロ「
なるほど。それで、てーあん?
」
パチュ「
ええ提案。
貴方、この幻想郷の、
色んな相手と戦ってみるのはどうかしら? と思って。
」
ノロ「
え? なんで?
私は観光に来たんだけど?
戦いに来たんでないのヨ?
」
パチュ「
でも、ノロ。ここで戦えば、色んな力を付けることができるのよ。
ここ幻想郷に住む者たちは、それはそれは、様々な特殊能力を
持ち合わせているのだから。貴方はそれを吸収できるのでしょう?
」
ノロ「
吸収というか、学び取っているだけだがねぇ。
でも、なるほどー。そりゃいいかも。
しっかし、手当たり次第、戦いをふっかけるわけにもいかない。
」
パチュ「
そこで! この紅魔館には、バトルルームも設けてあるの。
戦闘相手を募集し、ここで戦えば良いわ。
その代わり、私たちは、相手から料金をとる。どう? 双方メリットがある。
」
バトルルーム。パチュが作った、室内戦闘場。
特殊な結界で固められており、内部で相当な爆発が起きても、外部に被害を出さない。
なおかつ、致死ダメージ防止機能が組み込まれている。
致死量のダメージを食らったら、すぐに蘇生させて、外部に出す、とか何とか、不思議な力。
レミリア「
なるほどねぇ。いいんじゃないかしら。
でも、お金を払ってまで、ノロと戦いたいと思うかしら?
」
パチュ「
ノロに買ったら、高額な賞金・賞品が出るようにすればいいわ。
」
レミリア「
ふ~ん。私は賛成だわ。ノロはどうかしら?
」
ノロ「
グッド。異存なし。
」
そういうことで、挑戦者を募る旨を書いた立て札を、道沿いに、いくつか立てた。
が、しばらくは、何の音沙汰もなし。
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■要約
・ノロは紅魔館に客人として迎えられる(居候)。
・たまにフランの相手をしてほしいと頼まれる。
・戦闘相手を募集しはじめる。
◆以前、活動報告の方で、いずれ今作を元にノベルゲームを作ろう、などと書いたが、あれは、なかったことに! そこまでする気力は、ない。