g002;いざない。紫
◆場所:野原?
とても、満喫していた。
だが、人間には、「飽きる」という感情もある。
そういうとき、突発的なイベントを歓迎する心持ちだ。
そのとき、急に、かたわらの空間が裂けた。
そして、その裂け目から、ヌッっと、見知らぬ少女の顔が出て、こう言った。
紫「
はじめまして。貴方が……ノロ?ちゃん?
」
ノロ「
おー……? で、そちらさんは、新種のお化け屋敷の主催者さんで?
」
紫「
いいえ~。申し遅れました。わたくし、スキマ妖怪をやっております、
八雲紫と言います。お見知りおき願いますね。
」
とおっしゃる紫さんとやらは、裂け目から全身を出す。
その見た目は、東洋的な女神様といったところ。
相当、ファッションにこだわっている感じがした。
ノロ「
スキマ妖怪? というと、ニッチな妖怪って意味?
何か用かい? そもそも本当に妖怪?
」
紫「
ああー、ノロちゃんも戸惑うタイプなんですねぇ。
妖怪というと、こう、気持ち悪く、マガマガした感じを思い浮かべるかもしれませんけど、
あれば、ウソです。人間たちの、ヨコシマな思いが、そうさせたんです。ええ、きっと。
」
ノロ「
なるほど、確かに、黒船のペリーさんも、禍々しく描かれてたなー。ア、今のは地球の話ね。
」
紫「
奇遇ですわ。これからお呼びしたいと思ってたのも、地球なんですよ?
と、言っても、幻想郷という、ノロちゃんも知らない所でしょうけれど。
」
ノロ「
ほう~。
」
紫「
こちらの世界を管轄するゴッドマザー様? あの女神様は、
わたくしとお友達なんですのよ?
」
ノロ「
なる~。
」
紫「
わたし、ちょっと、刺激を入れたくなっちゃったんですよねぇ。
」
ノロ「
刺激? と言いますと?
」
紫「
幻想郷の妖怪たちも、ヒマを持て余していると言いますか、
退屈と言いますか。そこで!
」
ノロ「
へー。
」
紫「
あなた! 幻想郷へ行って、みんなの相手をしてくださいな。
」
ノロ「
それはいったい、どーいうことかな?
チェスの相手でもしろっていーうのか~?
」
紫「
ホホホホほほ……、さあ、おいでませ~。
」
紫がそう言うと、突如、空間の裂け目が、ブラックホールみたく、ノロを引き寄せる。
ノロ「
おうおうおうおうおう!??
」
不思議な念動力かなにかで、引っ張られるノロ。
裂け目に吸い込まれそうになる。
その裂け目の奥には、数百もの目玉が、ジロジロ眺めていた。
紫「
これで良し、と……あらっ?
」
ノロはまだ回収できていなかった。
裂け目の入口で、もがいている。
紫「
さあ、さあ。抗えない力には、素直に従ったほうが楽になれるわよ?
」
ノロ「
う~~、あ? なるほど、こうなってるんだな、ほりゃっ。
」
ノロは、空間の裂け目を、無理やり閉じてしまう。
紫「
……うそ…………
」
と、紫、信じられないモノを見るかのような目つき。
ノロ「
ざっと、こんなもんで。
」
紫、平然さを整えて、尋ねる。
紫「
い、いったい、何をしたのかしら……?
」
ノロ「
いやぁ、そちらさんの不思議能力を、私にも出来ないかな、と、
試行錯誤の四苦八苦。……ま、はじめから上手くはできないが、
少しずつ練習すれば、私にも、同じようなこと、できるようになる。
」
紫「
何というか……あきれた。あきれるくらいの逸材ね……。
」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
それから、ノロは、紫より、幻想郷というのは
観光名所にあふれていることを、嘘八百交えて、吹き込まれた。
ノロ「
いいねェ! 美しき妖怪ワールド観光地かぁ。行ってみたいよ!
」
――ノロはその気になった!
紫「
じゃあ、ノロちゃん、早速――
」
ノロ「
ちょっとまってね。――オーイ、名を忘れたけど、そこの魔王さん~!
」
と、ノロが、彼方に向かって、叫ぶ。
しばらくして、桃太郎にでも出てくるような、
大きな鬼のような魔王が現れた。
魔王「
娘様! どうかしましたか? ――おや、そちらさんは?
」
紫「
八雲紫と申します。
」
ノロ「
魔王さん。この方に連れられ、ちょいと観光めぐりしてくるからね。
私がいなくなっても、別に行方不明じゃないので、気にしないように。
」
魔王「
ハッ。
」
ノロ「
さ、行きましょか、紫さん。
」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
紫「
さぁ、準備ができたら、ここへ、お入りなさい。
」
紫は、またしても、空間に裂け目を作る。
ノロ「
オ邪魔します。
」
と、ノロ、入ろうとして、ストップ。
紫「
……どうしましたか?
」
ノロ「
あのー……、目玉が、目玉。目玉だらけ。
」
紫「
気にしないでください。
」
ノロ「
入った先が、地獄行きじゃないだろうね?
」
紫「
違います。たとえ地獄に行っても、ノロちゃんなら大丈夫でしょう?
大丈夫、大丈夫。さぁ、行って、行った。
」
ノロ「
ふぅん。……ま、騙されたと割り切って、入ってみるか。ホッ。
」
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■要約
・紫によって幻想入り。




