g010;挑戦者。萃香
◆紅魔館、バトルルーム。
ノロ、萃香、レミリア、パチュ、咲夜がいる。
紅魔館で戦闘相手を募っていたが、早速、挑戦者が現れたらしい。
その名を、「伊吹萃香」、見た目は少女(いや、幼女)だが、鬼だ、とのこと。
萃香「
お前かぁ~? ホント~に、強いのか~?
」
レミリア「
萃香。分かってると思うけど、挑戦するなら、お金を取るわ。払える?
」
萃香「
あァ、ほいさっ。○円。勝負に金を取るってのは、気に入らないけど、郷に従うよ。
私が勝てば、返してくれんだろ?
」
レミリア「
もし勝てたらね。何十倍にして返すわ。
」
ノロ「
ふぅむ、私のあずかり知らないところで動くマネー。
」
萃香「
じゃあ、さっそく、始めようや、ノロっ。
」
ノロ「
オーケイ。
」
パチュ「
ちょーっと待って。その前に、手短に説明するから。
まず、試合は、この場所を取り囲む、結界の中で行うこと。
この結界の中なら、致死ダメージを受けても、外に放り出されるだけだから。
結界の外に出たら、場外負け、ね。
気絶したり、降参しても、負け。いい?
」
萃香「
分かった。思っきりやれるな。
」
ノロ「
へぇぇ~、結界かァ~、ハイテクなもんだなァ。
」
萃香「
試合の合図は?
」
レミリアがブローチを掲げる。
レミリア「
このブローチが、床に落ちた瞬間に、試合開始。
それじゃあ、……
」
レミリアは、ゆっくりと、ブローチを落とした。
――カチャァーン
萃香「
先手必勝、うらぁああっ!
」
飛び出す萃香、その勢いを、拳に集め! 強打を打ち込む!
が、ノロは、受けて、流し、萃香は、床に叩きつけられる。
萃香「
つぅぅ……
」
萃香、今度は、ゆっくりとノロに近づく。
ノロ「
おや?
」
そして、右拳、左拳を放つ、それを、ノロが受け止める。
二人は、両拳で、組み合う形になった。
そのまま、萃香は、ノロを押す。
それはさながら、相撲のように。
萃香「
これが鬼の力さ。さぁ、ノロよ、このまま負けるのかい?
」
ズルズルと押されるノロ。
ノロ「
場外を狙ったかー。
」
しかし、腰を入れ直したノロは、そこで止まる。
萃香が力いっぱい押しても、微動だにしない。
萃香「
ふぬっ……ぐぐっぐぐ……、なんだこれ……、うごかね……っ
」
観戦者が唖然とする。
パチュ「
鬼すら凌駕する力って……
」
レミリア「
どおりで、この私ですら、押し負けてしまうわけだわ。
」
ノロ「
スイカ……とか言ったか、そちらさん。
見た目は、ちびっ子なのに、腕力がとんでもないねぇ。
コッチの世界に来たら、魔王と張り合えるくらいだ。
」
今度はノロが動く。萃香、押し負けて、後ろに後退、引きずられる。
萃香「
……ばか、……なーっ……うううう……
」
ノロ「
これでおしまい――ありゃっ!?
」
あと少しで、場外へ押しやるところだった。
急に、萃香の身体が霧状になり、ノロの背後へ移動、そこで実体化する。
萃香「
スキありぃっ!
」
体当たりする萃香。ノロを場外へ突き飛ばす攻撃だ。
ノロ「
おーっと。
」
ノロは、あえて背後に飛ぶ。
萃香の体当たりに対し、まともに、ぶつかっていくスタイルだ。
萃香「
ぬぐっう!
」
萃香の体当たりも、なんのそので、弾き返してしまう。
腕力では、誰にも負けなかった萃香が、とんと、力で及ばない。
ノロ「
ビックリするような能力をお持ちで。
突然、スカスカになっちゃうんだもの。ニュートリノかぁ~?
」
萃香「
私は隠し事が嫌いだから、私の能力を教えてやる!
【密と疎を操る程度の能力】
身体を希薄化させることだけが、全てと思っちゃ、誤りだね。
」
と、言いつつ、また萃香は、姿を霧状に変化させる。
そして、ノロに突っ込み、ノロを、その体で包む。
ノロ「
ぬ……なんだ? すごい圧力だ。
」
萃香「
へぇ……、そんなもんか、さすが。
かなり、空気を希薄にしたはずなんだがなぁ。
あんた、なんで平気なんだ?
」
ノロ「
おーお、確かに空気というか、酸素が薄い薄い。
こりゃあ、火事のときに、お役に立てる。
だーが、今は、お呼びじゃないのねぇ。
」
ノロ、電気ウナギのごとく、腕から、電流を放出。
それは、霧状の萃香にも、通電した!
萃香「
うぎががぐらががあがらぐぐぐぐぐぐぐ……!!!
」
たまらず、離れる萃香。
ノロ「
おやー、電気はよく効くらしい~
」
プス、プスという、音を立てる萃香。
萃香「
けほっ。ごほっ。ううう……。こんにゃろ……
そーんなに、私の奥の手を、食らいたいかっ……?
」
ノロ「
奥の手ぇ? ま~だ、なにか手品を隠しているのかー?
」
萃香「
いつもは使わない手だよ。ずるいって言われるからなぁー。
でも、あんたのようにゃ化け物なら、いいだろ。
」
ノロ「
まさか、この星ごと消す、とか、そういう物騒なモンじゃないだろね?
」
萃香「
ああー違う。ま、見てみな。いくら、ノロでもさ、これを食らっちゃ、私のことをズルいって思うだろね……。
」
ノロ「
どうぞ、来い!
」
萃香、実体化する。
そして、両手をノロに向けて、何らかの波動を放つ。
その波動? はノロに馴染むように染み入った。
ノロ「
なんか、スーッとする。……で、なにをしたんだ?
と、聞いたって、素直に教えてくれるわけない――
」
萃香「
教えるさ。
ノロ、おまえの力、そのものを希薄化させた。
つまり、弱体化さ。
今のおまえは、途方もなく、弱くなっている。
そんなノロを倒すのは、赤子の手をひねるがごとく簡単さね。
」
ノロ「
本当? ヨシ、試しに息を撃ってみよう。
」
萃香「
へっ?
」
ノロは、強く、息を吐いた。
それは、もはや吐息ではなく、空気砲となり、萃香に着弾。
萃香「
くっ……っ!
」
吹き飛ばされるも、危うく、場外になるところ、踏みとどまる。
ノロ「
どうやら、弱体化の影響は、ないに等しい。
」
萃香「
う……うそだぁ……。
」
レミリア「
パチュ……、どういうことか、分かる?
」
パチュ「
……ええ、なんとか多分。
萃香の能力は、確かに効いているわ。
」
咲夜「
そう……ですか?
」
パチュ「
ええ……、何と言えばいいのかしら……
ノロからは、どんどんエネルギーが、漏れる? 蒸発してなくなってるわ。
」
レミリア「
やっぱり、そうよね。私の目にも、それは分かるわ。
」
パチュ「
ただ、あのノロという子が異常なのは、漏れ出すエネルギーより、次々と発生するエネルギーの方が、何倍も多いのよ。
」
咲夜「
そ、それは、何もないところから、無尽蔵に力が溢れている……というわけですか?
」
パチュ「
信じがたいことだけど、そういうこと。
」
萃香も、その会話を聞いて、状況を把握する。
萃香「
こんちきしょう、無尽蔵に湧き出るパワーってかい。化け物かっ。
」
ノロ「
そちらさんも鬼。化け物同士、仲良くしよう。
」
萃香「
……………………
」
ここまで、やりつくし、どうしたものか、萃香は考える。
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■要約
・伊吹萃香が挑戦者として名乗りを上げた。
・ノロは「絶対に強い程度の力」。怪力自慢の萃香にも、怪力で押してしまう。
・奥の手、弱体化を行うが、ノロの力は無尽蔵に、次から次へと、湧き出るものだった……




