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足りない二人の作品集  作者: みっちゃま
10/18

10. 困ったときは天気の話。(22/12/16/改)

時は金曜日の15:00。


シュウさんとは所沢駅の改札で17:00に待ち合わせだ。

私は鏡の前で決めポーズを取り、頭を傾げるという動作を彼此30分ほど続けていた。

地面には洋服が散乱している。



着ていく服が決まらない。



今は赤茶色で胸の辺りにワンポイントの黒いリボンがあしらわれた、コルセットワンピースを身に付けている。

しっくりこないので、脱ぐと床に投げ捨て、無造作に置かれた服を掴み、袖を通した。

まぁ、これでいいかな?


今日の私のコーデは、角が丸くなっている、焦茶色のシャツに クリーム色のVカットなベストニットを合わせる。

そして、下にカーキのガウチョを履いた。



鏡に映る私を見る。

新しいコーデをしたかったが、結局私が気に入っている、パターンコーデの一つがしっくり来た。


待ち合わせの時間までは、まだ早いが、心がソワソワしているため、家にいた所で無駄に時間を過ごして終わりそう。

そう思った私は、チョコレート色でレースやリボンが控えめに付いたハンドバッグを手に持ち、茶色いミニブーツを履いて戸締りをすると、門を過ぎた。


駅までは徒歩15分。

横断歩道の白いところだけを踏んで渡ったり、スズメが胸を膨らませ身震いしている姿を愛でたり、黒猫が前方を横切る際に立ち止まって、ジッと見てきたので、私も視線を返したりと、道中を楽しんだ。



駅のロータリーに着いたので、そびえ立つ時計を見ると、16:00。

待ち合わせ時間までは、あと1時間。

私はとりあえず、駅前の商店街を進み、突き当たりの大きな商業ビルに入る。

向かうのはアニメショップ。

そして、入り口すぐの新刊コーナーをチェックした。

一昨日も来たばかりなので、そこまで変わった形跡はない。


とくに、欲しい物がなかったので、踵を返すと再び駅前へ戻った。


時刻は16:20。

持ち込みに行った時もそうだが、心がソワソワしている時の、時間経過は何故かスローペース。


しょうがないので、時間が来るまで、駅直結のファッションビルに入り、ウィンドウショッピングをした。

ただ、この後のシュウさんとの待ち合わせが気になり過ぎて、見た商品は何一つ覚えてないけど、、、


ふと、スマホを確認すると、時刻は16:50。

良い時間だ。


ファッションビルから出て、駅の改札口へ向かう。

緊張しているのか、動悸が上がる。

深呼吸をして、息を整えるが、すればするほど心音は加速する。


そんな心臓を無理やり落ち着かせ、再びハンドバッグからスマホを取り出すとトークアプリを開き、


「改札抜けて突き当たりにいます! 」


そうメッセージを送った。

再び、スマホをバッグにしまうと改札が騒がしくなる。

電車が到着したらしく、ムクドリの大群が通り過ぎるかのように、改札が音を鳴らしている。

改札を抜ける人がまばらになった所で、シュウさんが改札へ財布を押し当てていた。

私にはまだ気付いていないようだった。


「シュウさーん」


と私は手をふりながら近づく

前にかけたリュックに財布をしまったシュウさんが、再び後ろに背負い直すと会釈をしながら近づいてきた。


「お、お久しぶりです。返信が遅くなってしまいすみません」

「いえいえ、大丈夫ですよ! 気にしないでください!!」

「そ、それじゃぁ、とりあえず何処かに入ろうか」

「はい! そうですね! 」

「そうなると商店街の方かな? 喫茶店やファストフード店があるし……」

「それなら私、商店街じゃないけど、時々行く喫茶店がありますよ! そこ行きます?」

「う、うん。じゃぁ、そこでお願いします」



私たちは、駅の東口を出て歩き出した。

道中、「今日は天気がいいですね」や「肌寒ですね」、「家は駅から何分くらい」など


別に、面白い話をするわけでもなく、当たり障りのない会話をぎこちなくしながら、お目当ての喫茶店へ向かった。

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