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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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揉め事と解決方法

 巧達はベランジェとの交わした約束の為に討伐申請を申し込んでいた。

 その周辺には数多くの冒険者達が集まり、それぞれソロやパーティらしき人物達が話し合う姿が見受けられる。


「現在進行している魔物軍勢討伐の参加者ですね? ランクとパーティ名を申して下さい」

「ああ、俺とリウスはランク★四、ハリトラスはランク★五、シロはランク無しでパーティ名は……炎水」

「……ランク四に五ですか……。この度の討伐はある程度のランクが六相当が必要でして、大変申し訳ないのですが……」

「そうなんだ、だけどこの討伐に参加するようにと云われたんだけども……。そういえば、これをギルドへと渡してほしいと」


 巧はインベントリから一通の封筒を取り出す。

 それは城を出る前に受け取ったベランジェからの手紙であった。


「お預かりいたします」


 受付嬢は封筒を受け取ると、開け口を見る。

 すると目を疑う様に封蝋ふうろうを凝視。

 

「これは……」

 

 その封蝋がまさか王家紋章だとは思いもよらなかったのであろう。

 何度か目を瞬き、擦り再度封蝋を見直すと、手が震えだす。

 額から汗が噴き出していたのか、汗が机へと数滴垂れる。


「こ、これはどうしたのですか?」

「俺が城へと行く用があったんだ、帰る時にこの手紙を渡す様に言われてね。偽物と思うなら直接本人に聞いてみたらいいよ?」

「しょ、少々お待ち下さい。私の権限では確認しようもないのでギルド長に渡し相談致してきます」

「ああ、わかった」


 受付嬢は慌てて受付を離れギルド長の所へと向かう。


「しっかし、あれは俺でも驚くぜ? タクミが戻って来たと思ったらとんでもない物まで持ってくるからな」

「まあしょうがない、あれは今回の依頼を受ける際に必要だった物だから」


 ――――巧、ヘルデウス、ルフラの三名は館へ戻ると、ハリトラス達に事情を説明。


「なるほど、事情はわかった。それでそいつはいつ契約奴隷にするんだ?」

「ああ、それはルイスさんに任せる事にするよ。それよりも俺達は先にギルドへ向かおうと思う」

「何故だ?」

「今現在、この王国に魔物の軍勢が向かっているらしい。その討伐に俺達も参加する事がルフラが契約奴隷にさせる前提条件になったんだ。それにこれも渡さないといけないし」


 巧は一通の封筒を取り出しハリトラスに渡す。

 ハリトラスは封蝋を見るなり、巧の肩を掴む。


「タ、タクミ! これ、王家紋章じゃねえか! どうしたんだこれ、偽物か?」

「本物だって。戻る前にこれを渡されてな。まあ何にしろ、今回の討伐は結構危険だが皆いいかな?」


 討伐承諾せざるを得ない状況だったとはいえ、ヘルデウスやルフラは参加できず相談もせず実質巧一人で決めてしまったのだ。

 危険が及ぶ上に断られる可能性はあった。

 だから断られたら、巧一人でも頑張る必要性がある。


「ええ、巧が決めた事だし、一緒に付いて行くわね。リウス」

「うん。私も巧と一緒に討伐を受けるよ?」

「そうだな、俺もその討伐に参加するぜ。それに報酬も出るってんだから尚更だ」


 それぞれの言葉に巧の不安は解消される。


「それにしても、私達もって事は他にもその討伐に参加する人達がいるわけね?」

「そう言う事になるな。それに魔物は再生持ちサイクロプスみたいなのも出るらしい」

「それは厄介ね」

「ああ、そうだな。それにこの前の巨大岩人形みたいなのも現れるかもしれない。その場合はリウスに期待してるぞ?」

「う、うん! 頑張るね!」


 杖魔祖を握り締め笑顔に頷く。

 だがその表情は少し緊張していた。

 何せこの前のは、一体であの強さなのだから。今度の討伐には二、三体はいる可能性があるかもしれないのだ。


「リウス心配するな。この前のは一体のみだったけど、あの攻略方法は大分わかったし、それに今度はあんな風な事にはならないさ」

「そうそう、今度はあんな無様な姿は見せないさ」

「そうだな、ハリトラスも要であるから期待してるよ」

「ああ、任せろ!」




 ――――受付嬢が戻ると、その表情は険しいものでもあり緊張した面持ちでもあった。


「タクミ様、大変遅れて申し訳ありません。皆様方の討伐参加許可が認証されました。この後、ギルド収容広場にて参加者全員に詳細の説明を致しますので、代表の方一名移って下さい」

「わかったありがとう。それにしても代表か……どうする?」

「俺が行っても問題ないだろうが、今回もタクミが行っていいぜ?」

「ただめんどくさいから、俺に押し付けてるだけか?」

「い、いやそんな事はないぞ? これもタクミにとっていい経験だと思えるし、それに今回はタクミが手に入れた依頼だしな」


 巧はリウスとシロに視線を向ける。


「ええ、私も貴方が代表で異論はないわよ?」

「私も……タクミが代表がいいと思う」

「わかった、なら俺が代表で行くわ」


 受付を離れ、ギルド収容広場へと巧は向かう。


 ギルド収容広場に到着すると、十数人の冒険者が集められていた。

 その面々たるや、各自それなりの実力者と判断する事ができる。

 途中冒険者達から好奇の眼差しに晒された。

 そんな光景に内心、苦笑する。


「まあこんな子供がって感じだろうし、しょうがないわな。てか、意外と人が多いな」


 辺りを見回すと、巧は見知った顔をした|一人の人物が近づくのに気が付く。


「タクミ!」


 その声の正体は黒鉄の刃のウエインであった。


「よう数日ぶり。相変わらずだなウエインは」

「ああ、タクミ達がここにいるって事はお前達も討伐参加に? 確かランク足りなかったよな?」

「まあな。だけど俺達、ちょい訳あってこの討伐参加する事にできたんだよ」

「へえ、まあ今回の魔物は強力だってきいたからな。気を付けろよ?」

「そうだな。心配してくれてありがとうな」

「それで、シロさんは?」

「ああ、受付のほうにいるよ。今回は俺が代表って事で来たんだよ」

「そうか、そうか……、ああ……シロさん!」


 高揚するウエインに対し苦笑した。

 そんな二人に近づく一人の人物。


「ほーう、今回の討伐にこんな小僧まで参加させるとか、こちとら遊びじゃねえんだ!」


 巧は声のする方向を向くと、男が立っていた。

 体格は太く周りの冒険者達と背丈は差ほど変わらない。背中には扱いきれるのかと思えるほどの両刃の巨斧が装着されていた。


「ウエインの知り合い?」

「いや、違うが……。誰だ?」

「お前達、この俺様を知らないだと? 俺様はドルアガ、『激昂げっこう』と言うなの二つ名持ちで、ランク★六だ!」

「あー悪いな。今初めて聞いたから覚えておくわ。ここ邪魔になりそうだし向こう行こうぜウエイン」


 巧は移動しようとするがドルアガに遮られる。


「何?」

「待て、行かせるわけにはいかないな。お前みたいなのがいると邪魔なんでな」

「そう? 俺もそれなりの実力は認められてるからこそ、ここにいるんだが?」

「はん、どうだかな! お前のランクはいくつだ?」

「ランクは四だが?」

「四だと? 参加条件にも合ってねえじゃねえか! お前みたいな低級何て参加した所で死ぬだけだ帰んな! それに周りを見てみろ。小僧を認めていない奴等ばかりだろ! なあ!」


 ドルアガは同意を求めるように周りを見渡す。

 笑っている者、そうでない者、関わり助けようとはしないものの、この先の展開に興味はある者等々、その興味と視線が巧とドルアガに降り注ぐ。

 実際、周りが大人ばかりで巧みたいな見た目が少年には目障りな存在でだろう。

 実力さえもまだ認められていないので、見た目からして見下されてるのも仕方がないのだ。


「悪いがその提案は却下する。彼はこの討伐に参加させる決まりなのでな」


 そう言い放ってきたのは、フェスであった。


「な! お、王国騎士団長だと!?」


 突如の来訪、ドルアガ以外にも周りの冒険者達、ウエイン含め驚きを隠せない様子。


「な、何故騎士団長が?」

「ああ、この討伐には俺自ら説明するからな。それに俺も王の命令で参加する事が決まった」


 魔物討伐の参加、そんな言葉を聞いた冒険者達の騒めきが起きた。

 何せ魔物退治如きでなら、冒険者達で十分。王国側が関与する事自体、異例なのであるから。


「あんたが来ることはわかった。だけど俺はこいつが参加させるのは納得しねえ!」

「ふむ……、なら納得するようにすれば良いのだな?」

「あ、ああ……そうだ」

「ならば……」


 フェスは巧の顔を見て不敵な笑みを浮かべる。

 巧はその笑みに嫌な予感を覚えた。


「ならば、タクミよ。お前の実力を見せる為にもこいつと戦って示せ」


リウスとの会話が全然ないな

そのうちちゃんと会話に入れさせないとなあ


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