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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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拷問と尋問

グロではありませんが痛いと思わせる描写はあります。

 館のある一室、巧とシロそれから兵士長は一人の女性を囲っていた。

 その中心には襲撃者であったエルフの女。

 仮面は外され、椅子に身動き一つ出来ない状態に縛り付けられ強制的に座らされていた。


「お前含め襲撃者は四人であってるか?」

「……」

「他に仲間はいるのか?」

「……」

「お前の雇い主は誰だ?」

「……」

「別に殺したりはしないから、情報を聞きたいだけだし安心して話してくれよ」

「……」

「黙秘かよ……はぁ……」

「タクミどいて」


 何を言っても無視され黙秘権を行使するエルフの女。

 シロは剣を抜き前に出ようとしたのを巧は止める。

 

「まて、シロ。剣は収めろ」

「タクミ、その女は何も話さない口も割らないの、だったらいっそ殺して終わりにしましょう」

「流石にそれはやりすぎだ。それに殺してしまったら元も子もないって」

「でもこのままじゃ、終わんないよ?」

「そうだな……早く話してほしいよな。ルフラ(・・・)

「え?」


 ルフラは驚きの表情をする。

 

「なぜ……」

「ん? どうした?」

「なぜ、私の名前を知ってるの……」


 焦る表情をしてルフラは巧に問う。

 素顔を知られたとは言え情報は全く出していないのだ、だが巧は鑑定スキルで相手の名前ぐらいなら情報を得る事はまだ知られていない。

 

「さあ、何でだろうね。まあ教えてやってもいいが先に俺の質問に答えたらね」

「く……、殺すのなら殺せ!」

「なぜ?」

「なぜ? 情報を吐いたら吐いたで殺すんでしょ!」

「いやいや、殺すとか意味ないだろ」


 巧は手を左右に振り拒否を示す。


「はん! そう言った所で無駄よ。私達は捕まれば」

「すぐ死ぬように毒物を飲むってか? ならその毒物飲んでみたら?」


 ルフラは何度も歯をカチカチと鳴らすが、歯ごたえがないのか巧を睨むように見る。

 

「まさか」

「そ、お前の口の中に仕込んでいた毒物は取り除いたぞ?」

「く……」

「さて、もう一度聞くぞ? 襲撃犯はお前達は四人で合ってるのか?」

「ああ……」

「何で俺達を襲撃しに来たんだ?」

「私の主に言われて貴方達の実力を試しにきたの。殺しても構わないとも言われたしね」

「ならその主ってのは?」

「……」

「まただんまりか……。お、ルイスさん」


 タイミングよく扉が開き、ルイスが入ってくる。


「タクミ様、リウス様は落ち着きました。今はヘルデウス様とハリトラス様が共におります」

「ありがとう。助かりました」

「それでその娘は起きましたかな?」

「はい、襲撃しにきた事までは聞けましたけど、肝心の雇い主が誰かまでは」

「ふむ、では私にお任せいただけないでしょうか?」


 これ以上は巧から言った所で無駄だろう。

 そう思い、巧は頷くとルイスと交代する。

 巧はふとルイスの手を見ると、音を鳴らしながら手を握っていた。

 その光景に嫌な予感を覚える。

 

「ルイスさん、白状させる魔法とか使うんですか?」

「いえ、私は魔法と言う魔法は使えませんが、別のやり方があるのでその方法を試そうかと思います」

「穏便にお願いします」

「ええ、わかっていますとも」


 そう言い、ルイスはルフラの指の部分を摘まむ。

 

「それで貴方はどこから来ましたか?」

「誰が教えるもの……ああああああ!」

「ルイスさん!」

「安心して下さいタクミ様、指の骨を一本折っただけですから。命に別状はありません」

「な……」


 さも当たり前の様な返答に巧は愕然とした。


「では話す気になりましたか? 貴方の主は誰ですか?」

「ッ……! しら……ぎゃああああああ!」

「白状しないと、次も折りますよ?」


 ルフラは唇を噛み絞め、苦悶の表情を浮かべる。

 次の指を折ろうとするルイスを止めようと足を踏み出すが、シロに阻止される。


「どいてくれシロ!」

「止めようとしているんでしょ? それはだめよ。見て、指を折られたぐらいであれは壊れないわよ」

「だけど!」

「タクミ、貴方が優しいのは分かってるの。だけど相手が口を割らない以上こう言った手が有効なのよ」


 シロの言う事は正しいのだろう。

 だが巧は納得する事ができなかった。


「っあああああああああああ!」


 続いてもう一本指を折ったのだろう。悲痛な叫び。

 その声を聞き、巧はシロに真剣な眼差しで見つめ。

 

「シロ、それでもやっぱ無理だ。頼む」

「……しょうがないわね」

「すまない……、ルイスさん! やめてくれ中止だ!」


 その言葉を聞き、ルイスは手を止めた。

 巧はルフラに近づきの指を確認する。

 片手の指三本が有り得ない方向へと折れ曲がり見るも無残な状態であった。


「すまなかった。本当にすまなかった」


 すぐさま回復薬を取り出しルフラに飲ますと、指は元の綺麗な状態に戻る。

 

「頼む、言ってくれ。それ以上の事は望んでいないから」

 

 巧はルフラの肩を掴み、頭を下げ、懇願こんがんするよう頼み込む。

 ルフラは困惑した。命を狙った相手に対して慈悲をもらうとは想定していなかったのだろうから。

 

「貴方どうするの? タクミにここまで頼み込まれてもまだ話さないの?」


 ルフラは巧を見ると観念したのか溜息をつく。

 

「わかった。話すわよ」

「本当か!」

「ええ」


 その言葉に巧は頭を上げ喜ぶ。

 

「さあ話してくれ、雇い主は誰なんだ?」

「私の主、雇い主はこの国の王であるベランジェ陛下よ」


ハリトラスの存在忘れていたのでつけたしときました

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