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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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荒野と岩人形

 ヘンゲル荒野に到着した巧達一向。

 周りは岩場が多く、遠くに何かが動いていた。


「あれが岩人形だタクミ」


 巧は目を細めて観察すると、動いてる岩人形を発見する。

 その姿から人間の様な形をしていたが、全身岩の塊であった。


「名前の通り岩の集まりだ。巨大な人型、魔物の死骸が何かに反応して地面の砂や岩にくっ付くんだが、やがて全身に広がり、いつしか動き出す。それが岩人形ゴーレムの正体の一つだ」


 その言葉に疑問に残り、ハリトラスに問う。


「あのさ、何でゴーレムになるんだ? 死骸ならスライムが食べんじゃねえの?」

「わからん。スライムも捕食する物としない物に別れてるんじゃないかと言う説が出てる。つまり食べなかった物が、ゴーレムや他の魔物へと変化(・・)する可能性がある。ここはスライムが居ないから、ゴーレムになる確率は各段に上がると言うわけだ」

「それじゃあ、倒した魔物を放置すると、岩人形みたいになるのか」

「ああ、更にはここは岩場が多く、荒野でもあるわけだ。仮に魔物が居なくても、何故か岩人形は生産されるんだ」


(なるほど、だからあの依頼期限なくて随時募集してるんだ)

 

「それから、あの系統は核は中心だが、基本頭を潰せば倒せるからな」

「頭だな了解」


 巧達に向かってくる岩人形達。

 巧は近くに来た岩人形に向かい、水ビームを放ち頭部を吹き飛ばすと、残された部分は砂と化す。


「リウス、シロ、今のように狙えばいけるぞ」

「わかったわ」

「うん、わかった」


 二人は頷くと、それぞれ炎硬弾と光斬を放ち一撃で頭部を潰す。

 その光景を茫然と見ていたハリトラスは呟いた。


「結構硬いんだけどなぁ……あの魔物」

「言ってたじゃん、魔法が有利って」

「ああ、まあ普通なら何発か当ててようやくって感じなんだが、お前達のを見てるとなあ……」

「倒した魔物が柔らかかったんだろう」

「そうと思うべきなのかねえ」


 そう言いながら、ハリトラスは球体の核を拾い集める。

 巧は一つの核を拾い上げると、他の核との大きさに気づきハリトラスに問う。


「なあハリトラス、何で核って大きさ違うんだ?」

「ああ、あの魔物の大きさによって核の大きさも変わるんだ」

「へえ、けど大きさだけで何か違いあるのか?」


 巧は手に持っている、小さな核を眺め見る。

 核の中身は少し濁っていたが、ほぼ透明に近い状態。


「核の大きさによって変わるが、基本魔法を封じたりするものと思ってもらっていいぞ?」


 その言葉を聞いて、巧はウルラヌスが持っていた対魔の水晶を思い出す。


「あとは核を砕いて個数を増やすと、日常生活として使う事が可能だ」

「つまりはこれが、火石や光石の元となる石なのか?」

「そうだな、だから使う人も多いから需要があるんだ。だけど俺等の様に、簡単には取れないはずなんだよ普通は。ほらあそこのパーティーを見てみろよ」


 ハリトラスの指さす方向へと巧達は視線を向ける。

 そこには剣士、盾、魔法使い構成の三人パーティーが岩人形一体と戦闘を行っていた。

 岩人形は拳を振り下ろすと、盾職が防ぐと弾き返す。

 岩人形がよろけた隙を付き、剣士は関節部分を攻撃して鈍らせる。

 二人の攻防は完璧で、一部の隙も見せていなかった。

 その二人の後ろにいた魔法使いが、詠唱を唱え終えた瞬間、二人は岩人形から一目散に離れ、魔法使いは魔法を撃ち放つ。

 魔法が岩人形の顔へと届き、止めを刺したのか岩人形は砂と化す。

 魔法の威力も高く、それまで剣士がダメージを与え蓄積していたからか、一撃で葬り去る事ができていた。


「手間ねぇ」

「確かに苦労はしてるけど、それでも連携良いな」

「ああ、本来ならあんな連携とって戦うはずなんだが……、タクミ達が一撃で倒すからな。俺の仕事がねえわ」


 少し落ち込むハリトラス。


「わかったって、ハリトラスにも頑張ってもらうから。岩人形集めようぜ? それを俺等で一掃するから」


 トレイン行為を巧は提案した。

 仮想世界(ネットゲーム)なら当たり前でもあり、ゲームによってはマナー違反でもあるが、効率は良いのだ。

 だが、ハリトラスから否定の意見が出る。


「流石にそれは無理な提案だ。俺も一体ぐらいなら何とかなるが、二、三体も同時となると厳しい」


 この世界ではゲームと違い現実である。

 命のやり取りであり、魔物との駆け引きをする現実。

 仮に魔物を集めて巧達がやられてしまうと、近くにいる冒険者達をも巻き込んでしまう可能性も否定はできない。

 安易な考えに巧は反省した。


「そか……、確かに考えもなしに言ってしまってたわ、すまなかった。仕方がない、諦めて一体ずつやっつけるか」


 巧達は先へ進んで行くと、突如地面が揺れ始める。


「地震か?」


 その揺れは激しいが、立ってられる程度。

 そんな揺れに巧は気にも止めずにいた。

 しかし、激しい揺れは初めてなのか、リウスとシロは地面に座り込む。

 地震である為、広範囲でもあるからか辺りを見回す。

 ローブのフードを被って冒険者と思われる人物一人と、冒険者三人組も地面に座り込んでいた。

 暫くすると地面の揺れは収まるが、先程の揺れで高低差が出来、少し周りの景色が高くなる。


「大丈夫か?」

「た、タクミは平気なの?」

「あー、まあ平気っちゃ平気かな? 確かに揺れは大きかったけどそこまで気にするほどなのか?」


 地震大国の日本ではよくある事なので、気にも止める必要性がなかった。

 だが、リウス達からすると初めての経験なのか、怯えていた。


「う、うん……。こんな揺れ初めてで……、力が入らなくて立てない……」

「タクミ……実は私も」


 リウスとシロは腰を抜かし、地面に座りこんでお互いを支え合っていた。


「何だ二人共、あれぐらいでビビったのか?」

「いや、お前もかなりやばそうだろ」


 ハリトラス立てていたのだが、足は生まれたての小鹿の様に震えていた。


「いいい、いや、タクミ、これは違うぞ! 先程の揺れによる武者震いというおおおおおお!」


 再び地面が激しく揺れ動くと、巧は流石に二度の激しい揺れを経験し、内心動揺する。

 すると周りの景色は先程よりも一段高くなる事に対し、意図的悪意であり、人工的に起こした地震だと巧は予想。

 揺れが収まり辺りを見渡すと、円状に先程と同じ範囲で陥没してるのを見受けられた。


「まさか、誰かに沈められてるとか?」

「そ、そんなわけないだろタクミ」

「いや見ろよ周りを、明らかおかしいだろ? ここら辺一帯だけがが沈むとか」

「せーいかーい!」


 突如声が響き渡る。

 その声の主はフードを被り全身、ローブで包み隠されていた人物だった。

 頭にかぶってたフードを取ると、髪が灰色掛かった白色の長髪、顔全体に刺青が入っているのか、悪魔の顔と言われても違和感はない。顔からして男と判断できる。

 男は人差し指を顎下に付け、悩む様な表情をした。


「ん~このまま気づかなければぁ、ここら一帯陥没させっぱなしだったんだけどねぇ‥‥。これは改良の余地ありかしらぁ」


 男はこの人数相手に余裕を見せていた。

 巧は男を怪しみ鑑定を試みる。


 名前:ウエルス・トロフィカ 

 年齢:36歳

 性別:男

 種族:人族

 レベル:40

 状態:なし


 レベルだけなら今の巧達よりも完全に上。

 巧は警戒する。


「あらぁ? あ、そう言えば自己紹介遅れちゃったわねぇ。私はウエルス・トロフィカと申しますがぁ……、まあ名乗った所でぇ、あなた達ここで死んじゃうんだけどねぇ!」


 男は微笑んだあと、丸い物体を地面にばら撒いた。

 地面に撒かれた丸い物体は、地面の岩や砂を吸い取り徐々に大きくなると岩人形と同じ姿となる。

 その総数、十体。


「この子達に勝てるかしらぁ?」


(まずいな……)


 現在の巧達の戦力はハリトラスと巧のみの二人。

 リウスとシロは地震により未だ腰を抜かし、回復するまでには時間を要する。

 もし攻撃を受けたら一溜まりもないだろう。


「ハリトラス、あいつらをリウスとシロに近寄らせるな」

「ああ、わかってる。任せろ!」

「さあ、お話は済んだことだし。始めましょう」


 ウエルスは戦闘開始の(指を鳴らす)合図をした。

荒野まで行く道を書くべきか迷いましたが飛ばす事にしました。


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