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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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討伐採集依頼と黒鉄の刃

 ベルチェスティア城下町のギルド本部。

 他の建物よりも一回り大きく、言わば会館と言っても過言ではない。

 巧達は建物内に入ると人々から奇異の目を向けるが、慣れているからか視線を無視して受付へと向かう。


「すいません、昨日のサイクロプスの精算は済んでいますか?」

「おはようございますタクミ様。精算は済んでおりますので少々御待ち下さい」


 ベルチェスティア王国へと到着後、ヘルデウス達を館まで送り、巧達とルベスサはギルドへと向かいサイクロプスの件を報告しに行ったのだ。

 その後は音沙汰も無かったのだが、後日連絡と言う事で巧達はギルドを出た。


 受付嬢は硬貨の詰まった袋を机の上に乗せ渡す。


「通常のサイクロプスとは異なり、異端種でしたので金貨十枚です」


 受け取ると中身を確認し折半したのち、残りをインベントリに仕舞う。

 金に関してはルベスサは要らないと言う事なので、巧達の物となる。

 振り返ると見覚えのある人物が巧達に向かってきていた。


「タクミじゃねえか。偶然だな」

「ああ、あれ以来かハリトラス」


 ルイット村の依頼を受けている途中、ハリトラスが捕まえた商人の馬車に乗せてもらっていた。村近くになった所で巧とリウスは降り、別れたっきり。その後は一切会っていなかったのだ。


「あれからずっとこっちにいたのか?」

「ああ。こっちの依頼も中々美味しいのが多いからな……」


 ハリトラスは巧に近づくと耳打ちをする。


「(なあ、リウスは良いとして、あの獣人の美人さん誰だ? もしかしたらお前の仲間か?)」


 シロは不思議そうな顔をして巧とハリトラスを見ていた。

 巧はシロとハリトラスを互いに紹介した。


「なるほど、美人さんよろしくな」

「ええ、こちらこそよろしくね」


 シロは微笑む、その光景は男女問わず魅了させるような表情であった。

 そんなハリトラスは巧の背中を数度強く叩く。


「痛! 痛いってハリトラス、どうしたんだよ」

「いやな、お前が羨ましいなと思って」

「だからと言って叩くなよ」

「いや、これは男の代表としてただ単にむかついただけだからな」


 正直なハリトラス、邪魔であったろうか受付嬢が咳払いをする。


「あ、ああすまねえ……。所でタクミよ。お前俺の依頼一緒にやらねえか? 勿論リウスとシロにもだ」

「難しいのか?」

「ああ、複数人居たほうが成功確率は上がると言うか入手がな。その依頼は――――」


 巧は考える。その依頼を受けても良いのだろうかと。

 巧は考える。ヘルデウスの護衛の依頼を。

 巧は考える。リウスとシロの戦闘力に。

 そして答えはでた。


「今は他の依頼もあるが、一応は数日間ぐらいなら依頼主から許可が下りている」

「なら」

「ああ、受けるよ。二人共いいかな?」


 リウスとシロは巧の意見に反対することなく、同意する様頷く。

 ヘルデウスの護衛依頼はまだ先なので、その間は自由であった。

 実際ヘルデウスからは、他の依頼を受けても問題ないとの許可は下りていた。


「すまねえな、それじゃ依頼を取ってく……」

「ああ、やっと見つけましたよシロさん!」


 巧達に近づいてくる四人の男達。

 ギルド内に居た人達は囁いた……黒鉄の刃と。


「何でこんな所にいるんだ? ウエイン」

「シロさんに会いたくて、シファさんに聞いて、この城下町まで来たんだよ」

「いやー、リーダーがシロさんにときめいちゃって。どうしても行くって聞かなかったんすよ。しかし聞いていたものの、間近で見ると確かに美人っすね」

「そうそう。僕達じゃリーダーを止めれなく、止めようとすれば鬼の形相になるから恐ろしくなってしまって……」

「私も止めたのだが、止めると解散するって言う始末で。申し訳ない」


 ウエインはシロに近づくと、シロは不思議な顔をした。


「あの……シロさん!」

「えっと……初めまして?」


 シロは忘れていたのだ、巧達が昼飯を奢ってもらった人物を。

 それでもウエインはへこたれずに会話しようとするが、シロは無視して巧の方へ向かう。


(不憫だな)


「タクミ、これが依頼だ」


 いつの間にか依頼書を持ってきていた。

 巧は受け取り内容を確認すると。


 討伐採集 ★★★★★★

 場所 ヘンゲル荒野にて岩人形の核採集

 討伐証明有 

 期限 なし

 達成報酬 核一つに付き白銀貨十枚大きさによって変動。複数個可。


「これ俺等で取れるのか?」

「ああ、こいつは丈夫。寧ろタクミみたいな魔法使いの方が向いている仕事だ。リウスも問題ないし、まあシロもタクミの仲間なら問題ないだろう」

「すまない、俺達もそれに参加してもいいかな?」


 そう言ってきたのはウエインであった。


「黒鉄の刃、あんた達ほどなら、この依頼じゃなくても他に良い依頼あるんじゃ?」

「いや……それがちょっとな」


 ウエインの言葉が詰まる。

 シルが巧達に近づき小声で喋る。


「リーダーは今、金欠になっているんですよ。この前の食事と新しい武器を新調したので」


 巧はウエインの槍に視線を向けると。

 片方の槍先が真っ直ぐで、もう片方がアーチ状のように丸まった形をした不思議な二又の槍。その色は全体的に漆黒であった。


「なるほど、けど本当”こんなちまちました”依頼で稼ぐのはいいのか? 金欠だろ?」


 その言葉にウエインは胸を押さえる。


「確かにそうなんだが……」

「それに、また(・・)食事に誘ってもらえると嬉しいよなシロ」

「そう? 私は」


 巧はシロの口に手を押さえ喋らせない。

 だが何故か紅潮するシロ。

 そんなシロに巧は耳打ちをする。


「(とりあえずは食事を受けようぜ? また美味しい所へ連れて行ってもらえるかもしれんしさ。俺とリウスも美味しい物食べたいし)」


 シロは困ったように頬に手を乗せ溜息をつく。


「わかったわ。ならタクミとリウスも一緒になら、その条件なら飲んであげても良いわよ?」


 ウエインは歓喜した。


「ええ! シロさん、食事ならいつでも誘いますので!」


(あ、こいつ俺とリウスが付いて来るっての聞こえてないな)


 巧はシロの口から手を放すとシロは残念がる。


「けど金無いなら食事を誘うのも無理だよな?」


 巧の言葉にウエインはすぐさまシル達に向く。


「お前等依頼を探しに行くぞ!」


 ウエイン達は掲示板のほうへと向かった。


「タクミお前……」

「ん?」

「いや、何でもない。それじゃ受けるぞ」


 巧は頷き、岩人形の討伐兼核採集に向かう一同であった。

キャラが多くなるとちょっとわけわからなくなるな

しかしウエインをちょっとめんどくさいキャラにしちまったのは失敗だったかもしれません・・・


黒鉄の刃のメンバーの一人は語尾変えました。

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