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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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テルヌス帝国と実験被害者

テルヌス帝国と呪い子に対して新たな事実がわかる回です

 ベルチェスティア城下町は商人、冒険者、そして現地住人によって賑わっていた。

 そんなある宿の一室にて、巧達は一人の女性と出会っていた。


「久しぶりねルベスサ」

「ああ、久しぶりアイル。あれ以来だがここに居て良かった。今日は頼みたい用にあって来たよ」

「ふ~ん、用って言うのはその子達?」


 女性はルベスサの後ろに立っている巧達三人に視線を移す。


「初めまして巧と言います」


 挨拶し女性に視線を向けた。

 髪色はルベスサと同じ灰色掛かった白。その前髪で片目を隠し、肌は褐色、服装は軽装、一目見て人族の若い女性とわかる。

 眉を少し寄せその目で巧達を観察する。

 巧は女性陣(リウスとシロ)の視線を浴びせられていると感じていたのだが、無視を決め込む。

 女性は再びルベスサに視線を戻す。


「で、わかったけどそれで?」

「ああ、アイルに巧達を紹介するのもあったんだが、彼らは呪い子だ」


 呪い子と聞いて眉をピクリとさせた。

 巧とリウスが呪い子と言う説明をする。


「なるほど、事情はわかったけど。つまりはあたしにその子達の面倒を御守りしろって?」

「そこまでじゃないけど、でも何かあった時には匿ってやってほしいんだ」

「お断りよ」

「何故だい?」

「何故? 折角あたし達は、あの研究所から逃げ果せて来て安定した生活送れてるのに、下手すればまた連れ戻されて実験体(・・・)にされる可能性あるのよ? ならあたしはもう関わり会いたくないわね」


 ルベスサは口を開こうとしたが思い浮かばず、黙らざるを得なかった。


「ルベスサ、その実験体ってなんだ?」

「あ、ああ。まだ言ってなかったけか。僕と彼女はテルヌス帝国の元研究員であり、自身の実験体の被験者であり被害者なんだ」

「実験体の被験者であり被害者?」

「そう、巧は魔法使用可能が突然発症するってのは聞いた事あるかな?」

「ギルド登録した時に説明で聞いたよ」

「そう、魔法は突如発症型でいつ使えるかわからない。だけど誰でも使用が可能。それは呪い子も同じだと帝国は考えた。そこで行われたのが呪い子にさせる為の実験。それに僕と彼女が強制的に連れて来られ、参加させら施設に送られていたわけだよ」


(モルモットみたいなもんか)


「魔法が使えない子達の実験は、薬物投与に物理的な肉体的苦痛に魔法による精神的苦痛。それが昼夜問わず行われ死者も多数。ある程度使えるようになったら、実戦形式の戦闘訓練で勿論人を殺すほうのね」


 ルベスサは当時の事を思い出すように遠い目をしていた。


「そして、慣れさせて強制的に魔力の底上げ。つまりは疑似的な呪い子の完成」

「疑似的? 本物の呪い子とは違うのか?」

「ああ、呪い子は最初っから魔法が使え、更には魔力も他の子よりも高い。だけど疑似的呪い子は生命力が低いのか、若くして亡くなるケースが多々あるとか」


 リウスは不安からか口元を抑えていたが、巧が頭を撫で落ちつかす。


「リウスちゃん心配かけてしまったねごめん。これはあくまで仮説なんだけど、魔力が高すぎるから生命力を削ってると考えるんだ。更には実験により多くの魔力を上げようとしてる原因もある。リウスちゃんやタクミはどうなのかわかんないけども」


(器に水を注いで限界に達しても、まだ入れようとしたら器に亀裂が入って破壊された感じか。でも何か嫌だな……)


 巧はアイルとルベスサの髪の毛の色を見て気づく。


「ならその髪の毛と瞳はもしかして?」

「ああ、実験被害者で生き残った人達、皆こんな髪色と瞳の色が変化した。その代りに先程言った、魔力の上昇には成功しているよ」


(ストレスで白髪になるって感じか……将来禿げそう。代わりに目はオッドアイを得るのか、何かかっけえな)


 ルベスサに中二病ぽさを感じた巧であった。


「だけど幸い、外に出ても冒険者や商人など似たような髪色の人がいるから、安心できてる」

「へえ、けど良く逃げれたな」

「実験が終わり、彼女と会ってから逃亡の計画を立てたんだ。まだその当時は僕等みたいな疑似的呪い子が存在するのは少なかったからね。信頼を得た時に施設を破壊して逃げ出す事に成功したんだ」

「なら今はその実験施設がないから、もう疑似呪い子は量産されないと?」

「ああ」


(まあ施設一つ潰した所で帝国側が諦めてなさそうな気がする。計画進行してるだろうし。これは量産されてる可能性あると考えていたほうが良いか)


「そう言うわけで私は手を助けるつもりはないからね」

「そうね、行きましょうタクミ。もう自分の殻に引きこもる弱い子何て、私達を守る事すら無理ですものね。あんな女を頼らなくても、私がタクミ……とリウスを守ってあげるから。タクミが心配しなくても良いのよ?」


 そう言いシロは巧の腕を引っ張り、アイルを見下す様に煽る。


「なんですって?」


 アイルがシロに近づくが巧はそれを止める。


「落ち着けよ二人共。確かに事情はあるだろ。俺達は俺達自身で身を守れば良いじゃん。な? 悪かったなアイル」

「……ふん」

「それじゃ俺達は行くよ。ありがとうアイル」


 巧達は部屋から出て行き、一人佇むアイル。


「すまなかったタクミ。彼女なら協力してくれると思ったんだが」

「まあ無理強いはできないし、しょうがないさ」

「ありがとう、それで今後はこの城下町で拠点として活動していくのかい?」

「そうだな、ヘルデウスの依頼はまだ終わってないし。暫くはね」


 今度行われる城内にて、十二歳になった貴族達の子供が顔見世をする顕彰会が開かれるのだ。

 それにヘルデウスは一貴族の当主兼顔見世として、披露する予定である。

 その付き人や護衛として巧達は任されていた。

 だが、それは日程としてまだ先なのだ。

 それまでの間は自由行動なので、巧達は先程アイルの所へと向かったわけであった。


「そうか、それじゃ用があるから僕は行くよ」


 アイルが宿泊している宿を出て巧達は別れた。

 雲一つない快晴の空を見上げると、降り注ぐ太陽の光に巧は眩しさを感じ目を細めた。光を防ぐ様に手をかざしたのち、リウスとシロに言う。

 

「さて、俺達はギルドへ行こうか」


前回王とその側近との会話でしたが、今回も引き続きしようか迷いました。

次回はあの人を登場させようと思います。


帝国名間違えていました・・・何で間違えたんだろ・・・

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