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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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ベルチェスティア王国とその内政事情

 ここベルチェスティア王国は人口密度、約九百万人の大陸第三位に位置する大国。

 商業が盛んであり、他国とのは中立関係の王都市である。

 注目すべき点が種族問わずに貿易が認められていること。

 それ故に、ベルチェスティア王国の領有地内であるルビアリタの街も、様々な種族が存在した結果であった。

 城下町の中心には城が存在し、人族のベランジェ・トラフィアリス・ブリュエ・ラフィアス・ベルチェスティア国王が統治していた。

 特に防衛では中立国であるが故に、大陸最大級の強固な防壁で鉄壁の布陣で築き上げられている。

 城と外の城壁には四方の塔が建てられ、昼夜問わず見張りが付く。

 その為、敵国の軍勢の進行を察知すれば、他の国が応戦にやってくるまでの時間を持たせる事は可能であった。


 王城内部の謁見えっけんの間には各所装飾が煌びやかに施され、王との会談する広間にはアーチ状の天井。床には赤い絨毯が敷かれ、王が座るであろう椅子には、金箔が施し重圧を醸し出していた。

 椅子の後ろには、ステンドグラスのような装飾が施され、天井には巨大なシャンデリアが吊り下げ、広間全体を灯り照らす。

 椅子には一人の青年が眉を寄せ頭をかかえ悩む様に座っていた。


「ベランジェ陛下」


 そう呼ばれ椅子に座っていた青年が顔を上げる。

 青年は髪は黒色でくせ毛、顔からして気品溢れてくる好青年、身体は少し細身だがそれを補うほどに大きな赤いローブを羽織っていた。

 現ベルチェスティア王国の王である。

 前国王は老衰死、その跡を継承したのが第一王位継承者ベランジェだった。


「なんだ、フェス」

「いえ、お悩みのようでしたので、お声をかけさせて頂きました」


 ベランジェ隣にいるのは、一人の兵士。

 白髪で顔に大きな傷跡が付いているが仏頂面の顔、髭は喉元まで伸ばし、顔以外を全身鎧(フルプレート)で装着し背中には大剣を背負っていた。


「たく、どうしてこう俺が継いだ途端、面倒な事が起きるんだ」

「仕方がありません。陛下はそういう星の下に生まれた身なんでしょう」


 ベランジェは溜息を付き、目の前にいる男に問う。


「それで、その”赤いサイクロプス”の件はどうなったんだ?」

「はい、ランク★四つ冒険者である、タクミ、リウスの二名、ブリアン伯爵の兵士数名。冒険者ではないですが、シロと言う人物により四体を討伐と言う事を聞きました」

「ランク四つでサイクロプス一体でも厳しいと思うが、それが四体……本当にそのサイクロプスは傷が再生したのか?」

「再生と言うと語弊ごへいがございます。傷が”塞がった”と言うべきでしょうか。そんな魔物が現れたのならさぞ脅威ですが、途中フィル町の町長であるオウフェス・マーフィーが証言しています」


 男はベランジェに手紙を差し出す。

 手紙を受け取ったのちに中身を確認するよう目を通す。


「……なるほど、で……、今あるサイクロプスはどこにあるんだ?」

「私達のギルド倉庫に預かっております。腐食の進行を遅くするための魔法はかけておりますが、いつまで持つかは解りかねます」

「そうか……、ならそのサイクロプスは我が城の研究員達に任す事にする。そのフィル町に使者を出し残りのサイクロプスが手に入ったか調べてきてくれ」

「畏まりました」


 男は立ち上がると広場から出て行く。


「特殊な魔物か……ああああああ!」


 ベランジェは手に持っている手紙を一度見た後、膝の上に置き頭をかきむしる。

 奇行に走ったベランジェをフェスは止めない。


「そう奇行に走らず、頑張って下さい陛下」

「他人事だと思って、これから忙しくなるのに更に余計な物が飛び込んでくるとは」

「もうじき、貴族達による祭典、顕彰会けんしょうかいが城内で行われますからね」

「……祭典ね……、将来を担う子供は親の道具じゃねえんだがな……」

「そう陛下がお考えになっていても、一部の貴族達はそうは思っていません」

「ああ、わかっている。流石に俺もそこまで馬鹿じゃない。だが今の俺の力じゃ、貴族達はのさばらして止めれない。準備もまだ足りてないのに」


 元々このベルチェスティア王国は王国派閥と貴族派閥が激しい。王国側である先代の王が権力で抑え、裏で少しずつ反王国派の力をそぎ落としていたのだ。しかし近年、先代の王が亡くなったと同時に急速に力を伸ばし始める。

 先代の王が存命時、表沙汰にはせずとも裏で暗躍あんやくし動いているのには気づいていたが、それがとうとうつかむ事ができていなかった。


「反王国派の候補はいくつか上がっているが、まだ足りていないだろう」

「そうですね。特に有力に上がっているのが、フェルティ卿とプルート卿の二人と思われますからね。この二人とその側近である貴族達を根絶やしにすれば、この国は安定するでしょう」

「ああ、だがまだ証拠がとれてないのだから上手く隠しているのが称賛に値するよ。だがあと少しだ……」


 皮肉な言い方だろう。何せ先代の王から尻尾さえも掴めていないのだから。

 ベランジェは苦笑する。


「は、はは! 全く……見つけ次第すぐにでも粛清しゅくせいしてやるのに」

「陛下、その辺で! 今の時期じゃ仮に見つけたとしても、すぐには無理です。お鎮目しずめ下さい」


 ベランジェはフェスの言葉を聞くと落ち着かせ、溜息を付く。


「ああ、すまなかった」


 今いる広間はフェス以外の側近どころか、城兵すらいないのだ。

 それほどフェスに信頼を置いている。

 だが不安はまだ残る。


「そう言えば隣国の”テルヌス帝国”の様子はどうだ?」

「私の部下に調べさせた所、動きはありません。しかし国内だと呪い子を発見したとか噂は流れているらしいのですが、噂だけで。牽制しているのか……それとも実際にいて、まだ使い物にならないのかは……」

「呪い子ねえ……。本当にいるのか怪しいが、実際条約破棄してそんなの連れて我が国に攻めて来られたらお手上げだ」

「ええ、呪い子は恐れられていますからね。我が国でも対抗しうる存在はまだ見つかっておらず、呪い子がいなくて戦争になれば、尋常じゃないほどの被害をこうむるでしょう」


 ベランジェは手を額に抑え悩む。


「とりあえずは引き続き頼むよ」

「畏まりました」


 そう言うと、フェスは広間から出て行く。

 時間は有限であり、ゆっくりであったが確実にベルチェスティア王国に迫ってきているのだ。

 ベランジェは口元に手を当て考え込むのであった。

しかし、急にこうやるんじゃなくもっと昔の生い立ちからやるべきだったか・・・。

内政?何それ美味しいの?と言いたい所です

とりあえずこれからどうなっていくのか、色々情報出しまくった回でした。


人口密度は何となく900万人にしちまったがまた変更するかもしれません。

防衛も何となく思い浮かべた物を並べてみましたが何か足りないような・・・

あと陛下の呼び方はイマイチわからずこうなりました

国名と同じような呼び方したほうがいいのかな?ようわかんないです


フェスと名前が被ってしまったので貴族側の名前を変更しました。

祝い子の名称を呪い子へと変更しました。

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