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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第四章
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馬車と移動

 巧はステータス画面の時刻を確認すると朝八時丁度であった。

 辺りを見回すと、数台の屋根付き馬車と持ち主であろう人達がルビアリタ正門前に集まっていた。

 馬車の前にはそれぞれヘルデウスやルイス、ハウリック邸に居たメイドや兵士数名。だが全員ではない。

 残りはハウリック邸で、ヘルデウスが帰って来ても問題ないよう、館の管理を任されているのだ。


「そろそろ行きますので、皆様よろしくお願いします」


 ルイスはそう言い辺りを見回すと、巧、リウス、シロ、そしてルベスサの四名の姿が確認される。

 巧達が到着した際に、ルベスサが同じベルチェスティア王国へ行く事をヘルデウスに話すと、快く了承された。


「ああ、こちらこそ頼むよ」


 ルイスはヘルデウスが乗っている馬車へと乗り込み、続け様に巧とルベスサも乗り込む。


「ここからだとベルチェスティア王国までどれぐらいかかるんだろ?」

「ベルチェスティア王国まで、今日中には到着すると思うけど。それでも長い旅になるよ?」


 馬車の内部は対面方式。

 窓から景色が見える仕組みの王宮式馬車である。


(バスと言うよりも電車を思い出すな)


 現在ヘルデウスが乗っている馬車にはヘルデウス以外にルイス、巧、ルベスサが乗っていた。

 シロとリウスは、他の馬車に乗っている人達を守ると言った意味で乗せてはいないのだ。

 だがシロとリウスから不満の声を漏らすが、ルイスが説明し事なきを得た。

 馬車が揺られ動き出す。

 馬車の外からは見渡す限りの草原と所々に木々が存在し景色が動く。


「タクミ様、リウス様とシロ様に言わずヘルデウス様と私にお話するよう、わざと分けましたね」

「あ、ばれてたか」

「ええ、タイミングを見計らっていたのでわかります」


 長年執事をしていただけはあり、察する能力は高いルイスであった。

 巧は目の前に座っている、ヘルデウスとルイスに話をかける。


「そうだな、この話はもうルベスサとしたんだけど。ヘルデウスとルイスさんにも知ってもらったほうがいいかな」


 ルベスサと昨日話した盗賊の事や呪い子などを話す。

 ヘルデウスとルイスは神妙な顔をするがどこか納得した様子。


「わかったよタクミ、話す事はしない」

「ああ、助かるよヘルデウス」

「私も呪い子の事は聞いた事ありましたが……、まさかタクミ様とリウス様お二方が呪い子でしたとは。対峙した際お強い方達とは思いましたが、流石でございます」


 ルイスは顎を触り喜ぶように微笑む。


「まあ俺とリウスが呪い子じゃなければ、あの時まずかったかもね」

「タクミ、シロは呪い子じゃないの?」


 その言葉に頷く。


「そうなんだ、けどシロって強いんだね」

「確かにシロ様はとてもお強い方でした。あのまま交戦していれば、私のほうがやられていた可能性ありましたね」


(あれだけ余裕見せてて本当かよ……。けど実際シロは二刀流がメインだし、対決したらどうなるのやら)


 そう考えていると巧は何かの気配を感じ、外を眺めた。

 移動してから数時間が経ったのか、ルビアリタの街は完全に見えなく、近くには木々が映る。

 どうやら林の中を移動しているようであった。

 遠いが生物が馬車に向かって徐々に近づいて来る存在を確認する。


「ん?」

「タクミ様も気づきましたか、あれはサイクロプスでございますな。このままでは追いつかれ、この馬車ごと潰されてしまいかねませんね」

「僕があの魔物の動きを止めるから、巧が倒してくれるかい?」


 ルベスサの提案を受け入れると、ルイスは紐を引っ張り鐘をならす。

 すると馬車は止まる。一番先頭に乗っているヘルデウスの馬車が停止すると、後列に続く馬車も止まる。

 それぞれ巧にルベスサ、リウスやシロ、そして馬車に乗っていた兵士達が降り戦闘態勢に入る。


「さてやっつけようか」


 巧は近づいて来るサイクロプスに目を凝らして良く観察すると、一本角に目玉が一つ、手には巨大な棍棒が握られていたのを確認。


(うわ……でけえ)


 身長はゆうに五メートルはあると見て取れた。

 近付いてくると地響きも大きく、まだ距離があるにしても揺れるのがわかり、馬車を引いている馬も興奮したのか鳴いて驚く。


「シロ、リウス! あのサイクロプスは俺が相手する。その間、メイド達を守ってやってくれ」


 巧の言葉に二人は頷く。


「それじゃいくよ。地底束縛!」


 ルベスサの放つ地底束縛により、サイクロプスの足は鎖で絡まり地面に倒れる。巧はそれを見逃さず風魔法で距離を縮めたのち、水ビームでサイクロプスの頭を貫き血が噴き出した。

 頭は貫通させホッとしていると、突如サイクロプスの手が動く。


「うお!」


 巧は驚き風魔法を使い後ろへ距離を伸ばし離れ避けた。

 サイクロプスは捕まえれなかったのかのがわかると、棍棒を杖替わりにして立ち上がる。


「まだ立ち上がるのかよ」


 頭に貫通した穴が空いているのにまだ動く。

 しかしその目は視界が定まっていないのか、揺れ動く。


『ゴイ゛ヅワ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛』


 サイクロプスは怒り叫ぶと徐々に全身真っ赤にさせ、貫通させた穴が徐々に塞がり血が止まる。

 棍棒を振り下ろすが、木に邪魔されたのか巧には当たらない。

 だが力が強い所為か木は折れた。

 その後も何度か棍棒を振り被り、巧に当てようとしてるが攻撃は当たらず、代わりに木は折れ続ける。


「流石にそれ以上は環境破壊になるから止めを刺す!」


 サイクロプスがその声に反応するかのように顔を巧に向けた瞬間、巧は水ビームを放ち目を貫く。

 そして倒れる前に近づき、飛び上がると巨大な水の斧を創りサイクロプスの首を二つに切り離し絶命させた。

 首は斬り離された際にどこかへ吹き飛んでいき、身体は地面に倒れ今度こそ動かなくなる。


「ふう……流石に貫通して動くとかビビったわ。さてあいつらは……って、クソ!」


 巧は焦る。

 馬車の方向へと全力で走り急ぎ戻る。

 そこにはサイクロプスが三体、馬車に向かって来ていたのだった。

ベルチェスティア王国までかかる距離の日にちはちょっと迷い中です。

また変更するかもしれません。

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