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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第三章
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呪い子による巧とリウスの関係性

呪い子に関して少しわかります。

 空を見上げれば雲一つない快晴、太陽の日光は暖かく麗らかな日和で巧は全身を伸ばす。

 巧達は現在、ルビアリタの街の大通りを歩いていた。


「いやー、それにしても今日も良い天気だなリウス、シロ」

「そうね。温かいわね」

「……二人で行けばよかったんじゃないの……」


 リウスは怒っている様子。昨日の行為を目撃してから、リウスは口を膨らませ不機嫌な顔をする。

 あの後は巧は謝り続けたが、それでも未だに不機嫌なのだ。


「ごめんってリウス」

「知らない……」

「シロからも何とか言ってやってくれよ。お前も原因作った一人なんだし」

「しょうがないわね、流石にやりすぎた感は私もあったしね。シロいい?」


 困ったようにシロに助けを求めると、シロは溜息を付きリウスに耳打ちをする。

 暫くするとリウスは不機嫌な顔から顔を赤らめるが顔は上機嫌になる。


「本当は嫌なんだけどね。巧が困っているの嫌だし、あなただから許すのよ?」

「わかった。巧、許すね」

「お、おう。ありがとうシロ」

「それでどこ行くの?」

「ああ、ルベスサの所へな」


 巧が今、目的として向かっていたのは袋屋だった。

 到着し店内に入ると人はいないが、店奥の方からルベスサが現れた。


「やあ、今日はどうしたのかな?」

「ああ、ちょっと話があって来たよ」


 巧の表情を感づき、ルベスサは店の奥へと巧達を案内する。


「さて話って何かな?」

「この前の盗賊の事でだ……何故殺した」


ルイスとの戦いの後、ルベスサに任せてしまった盗賊達を巧は気にしていた。


「……そうだね。話す必要があるかな」


 ルベスサは一度咳き込むと、語りだす。


「あの時の盗賊達と君等の魔法により倒した事を報告されるのがまずかったんだ」

「何でだ?」

「タクミとリウスちゃん二人が使った魔法無宣言が問題と考えてもいい」


 魔法無宣言、意味合いはわかるが問題が何か巧は理解できていない。


「何で問題なんだ?」

「知らないのかい? 魔法を放つ時は”必ず”魔法名宣言しないと魔法が撃てないのが世界の理なんだ」

「けど無詠唱魔法と同じなんじゃ?」

「いや無詠唱と魔法名宣言無しじゃ決定的に違う所がある。わかるかい?」

「宣言せずにいれば相手を怯ませ有利になるとか?」

「それもあるが魔法名宣言無しなら、急に魔法が出てくると相手を不利にさせる事が可能なんだ。それに前に”呪い子”の事を話したよね? それと関係があるんだよ」


 呪い子と言われ、リウスは体をビクッとさせる。

 ルベスサが呪い子の存在をを知ってるのを、リウスに話していなかったのだ。

 シロは不思議な顔をしてリウスと巧を見る。


「すまないリウス、心配させるといけないから話すのを控えていたんだ」


 首を横に振るリウス。

 理解していないのかシロは巧に聞くと、巧はシロにリウスが呪い子であると言う事情を説明。

 納得したようにシロはリウスに一言伝え、それ以上は何も追及しなかった。

 そんなシロにリウスは驚く。


「シロさん……良いの? 私……呪い子……」

「何で? だってリウスはそれで強くなって巧を助けたいんでしょ? なら別に非難なんてしないわよ? 私も似たようなものだし。そんな私達を受け入れてくれてるのが巧だよ?」


 シロとリウスは巧を見ると、巧は見られて恥ずかしくなったのか頬をかく。


「そろそろ良いかな?」

「ああ、すまん続けてくれ」

「まあ簡単に言えば、リウスちゃんだけじゃなくタクミ、君も”呪い子”の可能性があるんだ」


 衝撃の事実を巧に付き突ける。

 リウスとシロは驚きの顔をし、心配してリウスは巧の顔を覗き込む。


「え? マジで? あー、そう聞いて納得したわ」


 巧はこの世界に来てからの事を思いだす。


(確かに魔法名宣言せず発動したりしていたわ。あれが呪い子としての合図だったわけなんだ)


 巧は不安がっている様子はなく寧ろ納得した顔をした。


「驚かないんだな。普通こう言うのは自分が呪い子だとわかると驚いて取り乱すもんなんだが」

「いや、驚いたには驚いたけど、どこか納得したんだよね。俺ってすごい力持ったんだなって」


 巧は気にしていなかったのか笑う。


「はは、タクミみたいな人は初めてだよ」

「まあ続きを言ってくれ」


 そう言いつつ巧はリウスの頭に手を置き、リウスの不安を解消するかのように撫でた。


「タクミは登録の時に魔法無宣言で使用した時点で、ギルドから疑いを目をかけられているんだ」

「何でギルドから疑いをかけられてるとまずいんだ?」

「ギルドは基本独立はしているが、いざとなった時はその領地を所持している国へと伝えられる。このルビアリタの街ならベルチェスティア王国へと」


(呪い子を発見次第国へ報告、呪い子を見つけたら国王などに連絡、最後に呪い子をどうするかの相談ってか)


 ギルド同士の連携もあるのだろうと巧は考える。


「へえ、ならこれから無宣言で使っていくの控えたほうがいいかな?」

「そうだね、寧ろそうしたほうが良い」

「けど実際、呪い子とバレたら何になるんだ?」

「呪い子の力はとても強力で、どの国も喉から手が出るほど欲しい逸材でもあるんだ。従わない場合は洗脳魔法を使い従順にしたりする可能性も考えられる」


(俺はこの腕輪があるからいいが、リウスはまずいな)


 巧は洞窟内で手に入れた腕輪の事を思いだす。


「わかった。そうならないように気を付けるよ」

「ああ、それからタクミ達はこれからどうしていくんだい?」

「明日はヘルデウスと共にベルチェスティア王国へ連れて行く事になっているんだ」


 一言「そうか」と言い、口に手を当て何かを考え始めたのち、顔を向ける。


「報酬はいらないから僕も一緒について行っていいかい?」


 ルベスサが巧達の心配をしてからか聞く。

 リウスとシロに視線を向けると、二人は何も言わない。巧に一任するようである。

 巧は溜息をつくと、了承を出す。


「ありがとう、恩にきるよ」

「それでついて来てどうするんだ?」

「前に話した”知り合い”の所へ行き、君達の事を話そうと思っている」

「そいつは信用なる奴なのか?」

「ああ、僕と意見を共にして一緒に研究所を逃げ出した仲間だし。信頼してもいい」


 ルベスサは断言した。


「わかった。そこまで言うんだ信頼するよ」


 出発する時刻を伝え巧達は店を出た。


 時間が過ぎ空は暗くなる。

 巧は部屋でリウスと一緒にベッドにて座っていた。


(どうしてこうなったんだろ?)


 リウスを見ると、巧に見られているのに気が付き顔が赤くなり俯いている。


「あー、えっと嫌なら俺行くな」


 立ち上がろうとした時、リウスは巧の服を引っ張り止める。


「だ、大丈夫……大丈夫だから……行かないで?」

「わかった」


 暫くしているとリウスの手は巧の手を掴む。

 その手はリウスの頭に乗せた。


「シロさんが教えてくれたの……。タクミに言えばしてくれるって」


 撫でる様要求をしていたのだ。

 そう、シロが道中リウスに耳打ちしたのは、昨日出来事をリウス自身にもさせる為なのだ。

 巧はリウスにも撫でるのを思い出し理解すると、約束を果たすようにリウスの頭を撫で始める。


「えへへ」


 リウスは嬉しそうに目を細め嬉しそうに微笑む。

 その顔は純粋であり幼さを残すような、あどけない表情をした少女。


(髪の毛サラサラだな)


 髪の毛は出会った当初と比べ、少し短く切られ女性らしくなっていた。それでも尚髪は長い。

 猩々色(しょうじょうひ)のように赤く綺麗な髪色。

 その髪の毛は羽根のように軽く、指を通すと髪質の痛みもなく引っかかりもない。


 リウスの髪の毛を堪能していると、突如リウスが巧の胸に顔を埋め肩を震わす。


「ど、どうした? まさかどこか嫌だったとか?」


 巧は困惑した。何か悪い事をしたのかと。何か嫌な思いをさせたのかと。

 だがそのどちらも違い、リウスは顔を左右に振る。


「違うの……違うの……。私、今日ルベスサさんの言ってた、タクミも呪い子だって聞いた時、不安で不安で……」


 巧にとっては自分自身、この世界の人間ではないので呪い子だとしても気にしていなかった。

 だがリウスにとっては違う。

 呪い子は苦い思い出であり、忌み嫌われる者として村人から差別的な扱いを受け辛い思いで。そんな心情を察したのか、巧はリウスの頭を優しく撫で始める。


「大丈夫だって、俺も自身が呪い子だって聞いた時はびっくりしたさ。けど、ただそれだけじゃん?」


 リウスは巧を見るよう顔を上げる。

 その目には涙を溜めていた。


「ほら、俺もリウスも魔力は高いけど人間だよね? 他の人と何か違う?」

「ううん」

「なら、どこも違いがないし。違うなら今頃、皆離れちまう」


 巧はリウスを不安にさせないよう笑う。


「まあ、これからばれない様に魔法無宣言だっけか。気を付けないとな」

「うん」


 そう言ってリウスの頭を再び撫で始める。安心したのかリウスは目を瞑り、体重を巧の方へとかけて寝息を立て始める。


「頑張らないとな……」


 そう巧が呟くとリウスは聞こえていたのか「そうだね」と呟く。

 リウスの顔を覗き見ると寝ていたのに対し微笑し、リウスの頭を撫でた。

正直腕輪の効果が強すぎたかなって今更思いはじめました。


改めて考えるとリウスに対してはイチャこらさせるべきじゃなかったかもなあ・・・

まあ書いてしまったしいいか

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