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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第三章
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シロとデート回その1

まさかのリウスに続いてシロとのデート回&あの人達が登場するよ

 時刻は午前十時。人通りは多くの冒険者や商人、街の現地住人で賑わう。

 その一角にて嬉しそうにシファが尻尾を振り、リウスに抱きついていた。


「それじゃ、約束通りウスちゃん連れて行くわね」

「ああ、リウスもちゃんとシファさんの言う事聞くんだぞ」

「うん、わかった」

「襲われ……今以上の事をされそうになったら、ちゃんとシファさんを焼くんだぞ?」

「タクミさん! 流石に私もちゃんと常識わかってます。そんな無節操なことは……多分……しません!」

「多分って……まあ、リウスの事よろしくお願いします」


 シファはリウスの手を引いて連れて行っていく。

 はたから見れば髪の色や種族が違うだけで仲の良い姉妹とも見える風景である。


「さて俺達も行こうか」

「そうね、折角のデートだしどこ行こうかタクミ」


 護衛任務が開始されるまでの二日と言うわずかな間だが、それまでは自由なので、巧はシロを連れ歩く。


(まあシロも女性だし、リウスみたいにまずは服とか買いに行った方が良いかな?)


 シロはいつもの身軽そうな革製の鎧を着ていない。

 軽装ではあるが、露出度は低い緑の衣服に股下のスカートを履いていた。

 ロウナもそうであったが、この世界の女性は露出度は極めて低いのだ。

 巧が過去に一度|女性陣に聞いてみた所――――


「え? 露出度高い服?」

「そう、俺の知ってるのでは女性は結構露出度高くして戦闘を行ったりするってのがあったから。ここではそこまで露出度高い服着てる女性はいないなって」

「当たり前じゃない。貴族や街で着るならまだしも、露出度高い服を着て、戦闘するとか肌が露出してる部分が怪我しちゃう。それに弱点晒してるのと一緒のようなものだし、余程身体能力の高さや魔法に自信がない限りはそんな服着ないわね」


 極めて合理的な意見だった。




「――――クミ? どうしたの?」

「いや、シロって今着てる服ってそれだけしかないのかなって」

「あと数着あるけどインベントリに入れてるわね」

「そか、なら今日はシロの服買いに行かね? 折角なんだしさ」


 その言葉を聞くとシロは嬉しそうに喜ぶ。

 服屋へ到着し店内に入ると店長が駆け寄って来る。


「これはこれはタクミ様じゃございませんか。今回はどのような服をご購入されに来ましたか?」

「この女性に似合う服を買いに来たよ。前と違って今回は普通の服で」

「なんとも美しい女性で、前にお連れに来たお嬢様も綺麗ではございましたが、貴方様もお美しい。これは腕によりをかけて選ばせていただきますね」


 案内されたのは前回と同じ場所であったが、前と違い衣服が変わっていた。


「これ何てどうでしょう。貴族様方にも好まれ、スカートのほうには何とファスナーが付いております」


 ファスナーがスカート部分に付けられていた。

 それは巧が日本で見たスカート部分と似たように付けられていた。


「へえ、ここに付けたんだ。俺の知ってるスカートにもこうなってるわ」

「タクミ様が仰られたあと私達は考えに考え抜いて、スカートはこの部分が良いと判断しましたが、やはりここで正解でしたか」


 着眼点は似ると言った所であろう。


「だけどこれだと尻尾のほうで引っかかって履きにくそうだな。この子に会う服を持ってきてほしいかな」

「ああ、大変申し訳ありません。ついついタクミ様に知らせたく持ってきてしまいました。少々お待ちください」


 店長は服を探しに行くと、巧はシロに視線を向ける。

 シロは周りの服を手に取り、魅入っていた。

 それは一人の女性として楽しそうにはしていたがどこか少し悲しそうな顔であった。


「シロ良いのあった?」

「え……? うん、エルフならこの可愛い服着れるんだけど、今じゃこの尻尾が邪魔で着れなのもあるなって」

「なら買う?」

「エルフに戻ると私お尋ね者としてばれちゃうよ?」

「ああ、確かにばれるかもね。だったらばれない場所で変身解いて着ればいいんじゃないかな? 流石にこの大陸じゃ厳しいけど他大陸なら変身解いても問題ないだろうし。それに試着室あるから、その中で変身解いて着ればお気に入り見つかるかもしれないしさ」


 その言葉を聞き、シロは嬉しそうにする。


「そう……だね。タクミが言う通りそうするよ!」


 シロは衣服を選んでいると、店長が可愛らしい白色のワンピースぽい衣服を持ち戻って来る。


「これ何てどうでしょうか。こちらも衣服には尻尾の部分はフリルが付いており開けると穴が空いています。そうすれば尻尾を通してもフリルで隠され仮に尻尾が振っても肌を露出させない仕組みでございます」


 シロはそれを受け取ると気に入ったのか目が輝いていた。


「一度これをシロが試着してもいいかな?」

「どうぞこちらへ」


 シロが試着室に入るとカーテンが閉まり巧が店長に問う。


「よくあの衣服やシロに合った衣服ありましたね」

「ええ、貴族の方に奴隷に着させる衣服を創るよう頼まれまして。服が数着余り、その中にあの洋服があったのを思い出したのです。丁度身長も同じぐらいでしたし、シロ様にお似合いかと思いまして」


(在庫処分かよ……まあシロが気に入ってたからいいんだけど……)


 カーテンが開けられると床には、シロが着ていた衣服が脱ぎ置かれ、店長から渡された白色のワンピースの服を着て、手をモジモジとしながら恥ずかしそうにしていた。


「タクミ……どう?」

「ああ、綺麗だよシロ。やっぱり似合ってる」


 そう巧が伝えるとシロは微笑み返す。

 その後はシロが気に入った獣人用じゃない服も試着していたが、その間に巧は店長に交渉をする。

 全部買う事になったが、思った以上に財布が軽くなり巧は泣けた。


「タクミ本当に良かったの?」

「ああ、シロが気に入ったのなら大丈夫、気にすんな」

「うん!」


 店を出ると巧の勧めでシロは白いワンピースを着ていた。

 美人さからか嫉妬などの視線が巧に突き刺さるように向けられる。


(まあこれだけの美人だしな、今の服装と元の美人さに拍車をかけてるし避けられないか……)


 巧はシロに視線を向けるとシロは巧の腕を組みながら嬉しそうにしていた。

 そんな時、数名の青いドッグタグを付けた冒険者達が、巧とシロの前を立ち塞がる。


「なん……って、大丈夫かよ!」


 その冒険者達を心配し思わずツッコム。

 立ち塞がった冒険者達は何故かボロボロの状態であったのだ。


「う、うるせえ! さっきの赤髪の女(・・・・)は無理だったがこいつなら……ひぃいい!」


 冒険者達は殺気を感じ取ったのか怯えだす。

 巧はその出所が容易に想像できた。

 そう、シロであった。


「シロ、流石に可哀想だからそれ収めてくれ」

「わかったわ。貴方達タクミに感謝してよね」


 殺気は収まり、冒険者達の足は生まれたての小鹿のように震えていた。


「すまない、どいてくれ!」


 そんな聞き覚え叫び声がして、人混みをかぎ分けて出てきたのが……


「何か危険な感じがしたと思ったら。少年じゃないか、それもう一人のほうは獣人って、その美人は誰だ!?」


 黒鉄の刃のリーダーのウエインがいた。


次話へ続く


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