暗殺者と拷問(仮)
今回は短いです
巧はヘルデウスの所へと戻ると、先程起きた事を説明する。
「そうですか、その暗殺者は死んだのですか?」
「はい、だけどルイスさんはご無事でした」
ヘルデウスは巧の言葉を聞き胸を撫で下ろすようにホッとした。
「タクミ、こいつらどうするの?」
シロがロープで縛り上げている二人に視線を向けると二人共、顔の布を外され素顔を晒されているが、顔は項垂れて気絶していた。
「しっかりロープで縛られてるし、起きた所ですぐに逃げれないからこのままでいいんじゃないかな? 起こしてみようか」
巧は男女の暗殺者二人の顔に水をぶっかける。
男は気が付いたのか足をばたつき始めたので止めると、息を切らしていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……て、てめえ!」
「よう、起きたか? 起きた所悪いんだが何でここに来たか吐いてもらうぞ」
「へ、誰が教えるかよ」
巧は拷問をしたことがないがどうすればはわかっている。
だが相手は人を殺したとしてもやはり躊躇してしまう。
「タクミ、私に任せてくれない? 私なら吐かせてみせるよ」
シロが巧に提案を持ちかけるが、巧は少し悩みシロに任せる事にした。
「いいけど、あまりひどいことするなよ?」
「ありがとう、大丈夫よ」
シロは剣を抜くと男に向け剣を顔に向け三度振る。
「ひっ! …………あれ? 何もないぞ、へへ、どうしたよ。その剣は鈍らか?」
「そう? その顔から流れてる血を見てもそう思うの?」
男は触れないが下を見ると血が大量に流れているのがわかる。
「な、何でこんなに血が流れてるのに痛みを感じな……い……痛え! 痛い! 痛い!」
シロは剣を振ると薄皮一枚を斬り血を噴き出させたのだ。
「最初はわざと痛みを感じさせないようにしたんだけどね。顔の次は体に、その次は足にいくわね」
シロは体を斬ると少し頬を染め、殺人鬼をしていた時の快楽を求める表情に戻ろうとしていた。
「シロ、ストップ! 待て! 止まれ!」
巧はシロを止めた。
シロは少し物惜しげな表情をするが、巧が眉を上げ少し怒った表情になると剣を収めた。
「全くシロは、本当危ないな」
「タクミは心配性なんだから、大丈夫よタクミとの約束は守るからね」
男に向きなおすとインベントリからHPポーションを取り出し質問する。
「さて、治してほしければ何で来たか教えてもらおうか」
「……く! 誰が」
巧は水を浴びさせると、男は初めての体験なのか暴れると女が気が付き始める。
「くあ、いてえ! 染みる! 染みる! 染みる!」
「え? え? え? え? なになになになに!?」
「あ、起きたか。答えようとしなかったから、この男に付けた傷に水を染みこませて痛がらせただけだよ。あんたが答えるなら何もしないが」
女は男の苦悶の表情を見て怯えた。
「わ、わかった! 答えるから、お願い私には何もしないで!」
女は簡単に落ちた、だが――――
「ん? なんだ?」
巧は後に違和感を感じ振り向くと釣られるように、その場にいた全員が巧が視線を向けた先を見た。
そこには、袖が付いている地面スレスレのローブを羽織っていたので男女とも区別がつかず、顔はピエロの仮面を付け、フードを被っている一人の人物が立っていた。