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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
46/144

フェイリアとルベスサ

これでこちらも一区切りになりました

「何でここにいるってか何で渡さないといけないんだ? もう闘争心はこいつにないぞ?」

「ああ、さっきの会話を聞かせてもらったからわかるよ。だけどそいつは殺人鬼なんだよ」

「そうだな、確かにフェイリアは罪もない人を殺しただろうな」

「なら、僕が殺しても問題ないよね? そいつは立派な犯罪者だ、そいつを今殺した所で罪に問われないしそいつを殺した所で誰も悲しまない」


 ルベスサの言う事も一利ある。

 この世界の犯罪者は日本と違ってまだ曖昧だ、ただ単に殺しても罪には問われない場合もある。それが彼女みたいな連続殺人犯の犯罪者、誰が彼女を殺そうが問題なかった。


「すまんな、やっぱりだめだわ」

「何故だいタクミ、理由を聞かせてほしい」

「……だってさこんなに美人で可愛いし。俺に何でもしてくれるとか、惚れこんでるって言われたら……。そりゃ正直内心グラッとはくるわ。その上にこんな美人が目の前で死ぬのとか嫌だし」


 巧は嘘をついた所でどうせバレるなら正直に答える。


「ぷ……タクミったら」


 フェイリアが巧の正直な気持ちに笑う。


「だからさ……だめ?」

「だめだ! そいつは人を殺す快楽のせいで罪もない冒険者や貴族や商人達が無差別に殺されたんだぞ!」

「まあ、確かにそれはダメだな。けどこれからさせないって事は無理かな?」

「させられるわけがない! こいつは根っからの殺人鬼だぞタクミ、それが抑えられるわけがない!」

「けどさ、これからまだまだ人生あるわけだしさ、情状酌量じょうじょうしゃくりょうの余地もありそうじゃん」

「くどいぞ……君ならそいつを渡してくれると思っていたんだが残念だ……【地低束縛ちていそくばく】【空強亭静束縛くうきょうていせいそくばく】!」


 ルベスサは詠唱もなしに魔法名を唱えるとフェイリアに向かって束縛魔法を使用。束縛魔法はフェイリアの両足を地面から出てきた鎖、両手を空間から出てきた鎖で縛り上げた。


「キャア!」

「うお! 束縛プレイとかやるな……って違う違う、ルベスサ! フェイリアの拘束を解除してくれよ」


 手にはナイフが持たれて近づくルベスサに巧はフェイリアの前で手を大にして止める。


「何言ってるかわからないけど、タクミどいてくれ! 今からそいつを僕が殺さなければならないんだよ」

「さっきから殺す殺すとか何でこいつをお前が殺すんだよ。お前はこいつに両親でも殺されたのか?」

「いや……そうじゃないが命令なんだよこれは」

「命令って、どこからだ?」

「それは言えない……」

「……わかった、それは聞くの諦める。ならこいつが殺人をさないと誓わせれるとしたら?」

「無理だ! そんな事できたら最初っから人殺しなんてやってない!」

「ならさちょっと待ってろ」


 巧は後を振り返り、手足を拘束されているフェイリアの顔を見る。

 一度溜息をついて頭をかくと、再度フェイリアの顔を見る。


「フェイリア、お前俺の言う事なら何でも聞くんだよね?」

「うん、タクミの言う事なら何でも聞くよ? 例えそれがどんなに辛かろうがタクミの望む事なら好きなだけ」

「わかった、ならこれから俺と一緒にいろ」

「え? 今……今何て?」

「だからこれからは俺と一緒にいるんだ。勿論リウスとも一緒だぞ? 奴隷としては違うからな?」

「タクミ! それは危険だぞ! そいつは人殺しで」


 少しイラッとした巧は顔だけを横にして視線をルベスサに向ける。


「人が話してるんだからちょっと黙ってろってルベスサ、それとも人の話はさえぎるように言われたか? 言われてないなら話終えるか質問するまで少し黙ってくれないか?」

「ぐ……」


 巧は再びルベスサのほうへ振り返る。


「まあ俺からすれば、こいつを殺せばお前は立派な人殺しに見えるぞ? ならこいつを殺したお前を俺が殺しても問題ないって事だよな。それに魔物達はよく人間襲ってるじゃねえか、結局こいつじゃなくてその魔物達かもしれんぞ? それに多分この世界の事だ、盗賊は殺しても罪にならないんだろ?」

「あ、ああ、そうだな、凶悪な奴は特に」

「ならその盗賊を殺した奴等も殺人鬼の仲間入りってわけだよな? もっと言えば戦争、その戦争だって人を多く殺している。その戦争に出ている奴等だって皆、殺人鬼ってわけだよな。なら今すぐそいつら皆、殺さなければならないんだよわかるか?」

「だけど……」

「だけどもヘチマもねえわ。それに俺はこいつが気に入ったし、こいつはそこいらの冒険者達より断然強い。それにこいつにリウスも守ってもらおうと思ってる。勿論リウスは強くならなくちゃいけないけどさ」

「……」


(あとちょいかな)


 どう考えても巧が言ってる事は論点のすり替え、普通ならおかしい事に気づくが論点を滅茶苦茶にされているから気づきにくいのだ。その証拠に先程巧が言葉を遮るなと言っていた事に対してルベスサが気づけず指摘にができない、この事によって巧はルベスサの事をうまく言いくるめれると確信していた。


「それにお前言ってたじゃないか、俺はリウスを大事にしてくれてるって。だから俺はがリウスを守れない場合もある、そんな時にこいつを味方にすれば心強い。これが最善だと思うんよ」

「……」

「だから解いてくれよこの鎖、解けるんだろ?」

「ああ……」

「勿論俺からしっかり言い聞かすしさ、いいだろ?」


 巧の屁理屈に屈したのかルベスサはフェイリアの拘束を解き、巧はフェイリアと向かい合う。


「タクミ……良いの? 本当に良いの? こんな私をタクミの傍に置いてもらっても良いの?」

「ああ、まあ今までフェイリアは色々あやまちを犯してきた。確かにそれはどの世界でも許されないんだろうけど、これからは違うだろ? 俺と一緒にいるんだし、それとも俺の事嫌いか?」


 巧の言葉をきいてフェイリアは目に涙を溜めて泣きそうになっていた。


「ううん……私は、フェイリア・マルベールはタクミが大好き、愛してます!」


 巧に抱きつくフェイリア、巧も少し抱きしめ胸の感触を楽しむ。その顔は緩んでいた。


(うむ、やっぱいい感触だわ)


 巧はフェイリアの胸の感触を楽しんだのち、フェイリアを離しルベスサのほうを向かい話しかける。


「ありがとうな拘束を解いてくれて」

「ああ……やっぱり納得いかないけど……。タクミ、君はしっかり約束守ってくれよ?」

「任せろ、まあ強くなる必要があるがな」

「わかった、フェイリア・マルベールの事は死んだと報告しとくがこれからどうするんだい? 彼女はそのままだとお尋ね者でバレるだろ」

「あ、どうしよう……」


 巧は屁理屈でどうにかしてフェイリアを助けるべくルベスサを言いくるめる為に考えていたのだが、その後の事は全く考えていなかった。


「大丈夫だよタクミ。私この手のおかげで二種類の変身魔法が使えるようになったから、顔はバレる事はないと思うよ?」

「二種類の変身魔法?」

「そ、見てて」


 フェイリアはエルフ耳がなくなり、顔付きも少し違う上に獣耳と狐のような尻尾が生えてきた。見た目からして獣人になったフェイリア。


「な……うお! マジか! マジでリアル獣っ娘だ!」

「マジでリアル? 獣っ子? まあ今は獣人になってるけど、タクミって獣人は平気な人なの?」

「ああ、平気平気、寧ろ来てほしいぐらいだ、触ってもいいか?」

「どうぞタクミ、好きなだけ触ってね」


 巧は初めての獣人である耳と尻尾を触る。感触は犬を撫でた触ったような触り心地、尻尾を触った時のフェイリアの喘ぎ声は表情も兼ね備えて色っぽさに拍車がかかった。


(あ、これだめだわ……ある意味日常生活に支障きたす)


「タクミちょっとその辺にしていいかな……」


 流石に呆れられてた。


「ああ、悪い悪い。とりあえずこれで大丈夫か?」

「多分大丈夫だと思う。見た目は完全に獣人だし、お尋ね者だとしてもわからないだろう。あとは街のほうだけど流石に門番の防犯を突破するのは至難の業だと思うよ?」

「あーどうしようか……」

「大丈夫だよタクミ、この手のおかげで私の犯罪歴をうやむやにしてくれているぽいのよ。前に一度タクミを探すために街の中に入ってみた事もあったしね」


(何そのストーカー発言怖い! しかし、魔法も万能だったけどその悪魔の手も万能だな)


「それじゃ防犯も解決かな? あとはギルド登録は流石に無理だろうね」

「何で?」

「僕もあんまりよくわかってないんだけど、登録する際に超高位魔法で重要な変化をしてるらしいから、悪魔の力としても突破するのは不可能なはずだよ」

「そうか、ならギルド登録は諦めようか」

「私はタクミがいるなら別にギルド登録何ていらないよ?」

「そか、そろそろリウスの所で戻らないとな。フェイリアを仲間に加えたの言っとかないと。今後一緒に居るんだ、あとちゃんと謝れよ?」


 リウスが一人(たたず)んでいた。

 リウスにフェイリアが仲間になる事に反対していたが、巧が無理やり言いくるめたらリウスは渋々了承を得た。

 フェイリアもリウスに謝罪と巧に対する想いを話すとリウスはフェイリアの事を快く受け入れる。


「それじゃ僕は報告があるから行くね」

「ああ、またな」


 巧は手を振るとリウスとフェイリアも同じように手を振った。

 巧達は街に帰ると、街の門の防犯が気にしたがフェイリアの言う通り無事街の中に入る事ができた。


「さてゴブリン亭へと戻ろう」

「うん」

「わかったわ」


 巧達はゴブリン亭へと戻るとロウナ達と鉢合わせしてから、フェイリアはロウナとエルとそこまで時間がかからず仲良くなり盛り上がる。

 男性陣(巧とイルベル)は隅っこのほうで飯を食いながら喋っていた。


(まあこれで良かったか)


「おい聞いてるかタクミ! だからあいつらがさー」

「ああ、聞いてるよ。どんまい」


 再び日常の平和を取り戻したのであった。




 ――――場所はギルドマスターの一室にてギルド長のウエルトロスとルベスサがソファーに座っていた。


「それではフェイリア・マルベールは死亡したのかね?」

「はい、タクミ達と何とか共闘してフェイリアを追い詰めました。流石に強い人なだけあって苦戦しましたが、タクミとリウスちゃんが何とか足止めをしてくれたおかげで、僕の束縛魔法で捕まえて殺す事ができました」

「なるほど、それでその死体とかどうしたんだ?」

「はい、スライムが近くにいたのでスライムに食べられて跡形もないと思います」

「そうか、スライムが食べたのか……。そいつの死体をちょっと確認したかったんだが仕方がない。それを聞いて安心した、問題事が一つ減ったのは嬉しい事だ。それで他に報告することはあるか?」

「……何故タクミ達を観察しろとあの手紙に書いていたんでしょうか?」

「ああ、タクミから言っておったんだよ、フェイリアに惚れられたと。あの時は思わず笑ってしまったぞ? まさかあのフェイリアが惚れる相手がいるなんてってな」


 巧とフェイリアの会話や行動を隠れ見ていたルベスサは、フェイリアの異常な執着を思い出していた。


「まあ相手も人間ですし何かあるんでしょうね」

「そうだな、さてルベスサ君。次も引き続きヤマウチ・タクミとリウス・トラルストの監視をしてほしい」

「何故ですか?」

「ああ、教えていたほうがいいな。“呪い子”と言う言葉は知ってるよな」


 ルベスサは一瞬、心臓の鼓音が高鳴るが冷静に落ち着かせる。


「はい有名ですし私も研究者をしていましたから」

「そのタクミとその仲間であるリウスと言う女の子なんだが、その子達がもしかしたら祝い子なんじゃないかと疑っているんだよ」

「タクミとリウスですか? 私にはそんな風に見えなかったような」

「研究者である君にでもか、まあ私も直感だったし、シファから報告を受けたんだが、もしかしたらと思ったんだがな」

「祝い子何て稀ですからね。いたら王国のほうに保護をされていますし、それにそれだけで確信はないのでは?」

「…………そうだな。すまなかった余計な話をしてしまって」

「いいですよ、それで僕は再び監視しろと?」

「そうだ、まあ報告を頼むよ」

「畏まりました。では失礼します」


 ルベスサは部屋を出て行きウエルトロスだけ一人部屋に残る。


「まだまだ悩みの種は尽きないな……」


 ウエルトロスは一人窓の外を見上げていた。

 空に映っている景色を見て何を考えていたのかは誰にもわからない……


フェイリアを完全に殺すルート

フェイリアを生かした逃がすルート

フェイリアを仲間にするルート

フェイリアを何かにするルート

この4択を考えていたんですが仲間にするルートを選ばせていただきました。

正直ぶっちゃけ書いてて悪くないキャラなんですが最初は何となくだったけどよくよく考えればヤンデレぽいキャラが好きなのでだしてみました。

まあけどタクミと仲間になって結構性格変わりキャラ崩壊しそうな予感がしそうだなって。とりあえずはヤンデレ成分いれたいとは思いますがどうなるのやら……


あと何気にリウスとフェイリア加入しちゃったな

当初は考えていたヒロインが一人だけいたんですが、その娘を出せずだらだら執筆していったら別ヒロインが増えちゃった

まあいつか出せれたらいいなとは思っています。

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