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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
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闘争心と決着

 お互いの剣は振られる、一撃二撃三撃…………十撃十一撃十二撃…………

 巧は前と違ってレベルによる体力もスタミナも上がり、動体視力も良くなったのかフェイリアの攻撃を避けたり受け流す事ができた。

 それでも避けたり受け流すだけで攻めるまでには至っていない。


「あは、楽しい、タクミ楽しいよ! 私すっごく幸せ! タクミとこうすることができて私幸せえ!」


 フェイリアは嬉しそうな顔をした。

 殺人鬼としてではなく純粋な剣士として巧と剣を交わるのが楽しいのだ。


「俺はきついけどな」


 実際レベル差は少し埋まったとは言え、まだまだその差は大きい。


(このままじゃ拉致があかねえ!)


 巧はフェイリアの剣をなんとか避け、少し後ろに下がり水の剣を解除。


「水ビーム! 水レーザー!」


 巧は両手で水ビームと水レーザーを放つがフェイリアは水レーザーと水ビームを避けた。


「タクミそれ私には通じないよ?」

「ああ、知ってるあまりにも近すぎるんで一旦距離をとりたかったんだよ。流石に疲れる」

「まあ、タクミそんなに私が近くて照れてたの? 嬉しい!」

「ぐ……、まあ否定はしないが……そして水ビーム」

「恥ずかしがっちゃって、そんなタクミも好きよ」


 フェイリアは頬を染めつつ水ビームを避けて切り裂く。


「相変わらず、すごい身体能力だな」

「褒めてくれて嬉しいよ! 光斬!」

「やっぱりきたか、これでどうだ!」


 巧はフェイリアの光斬によく似た光の線を出し相殺した。


「え? 何で消えたの?」

「ああ、今度は俺が教える番か、俺が出したのは光、風、水魔法の複合技と言うべきかな? 水魔法で曲がったカッターのよう作り、風魔法で飛ばす。水の中には光魔法を凝縮したから操作が難しかったよ。水のカッターだけでも飛ばせれるんだけど、斬られると思ったから光も使えば相殺できるかなって、流石に光のみは無理だったよ。光斬を防ぐには十分な威力だっただろ? まあ名前としても……水と光と風混ざってるし、一応水がメインだから【水混刃すいこんは】かな」

「へえ……」

「これを教えてくれたのはフェイリア、君のおかげで思いついたんだよ」

「私のおかげ?」

「ああ、前の戦闘で光斬をだしてきたよね。あれがなければ今回のは防げれなかっただろうなって。あのあと練習したんだよ取得するまで苦労したわ流石に」


 実際、前回の戦闘でフェイリアが光斬を使用ぜず、戦闘終了して今回に繋がっていたなら巧は先程の一撃を対処できずにいただろう。避けようとしても後ろにリウスがいるので光斬を食らってどちらかが死ぬのは確実であった。


「タクミすごい!」


 フェイリアの目は輝いて憧れるように巧を見ていた。


「まあこれでどうする? 遠距離の振円光波斬と光斬は俺には効かないよ? それにMPもリウスで結構消費してるし、そろそろまずいんじゃないかな?」

「ええ、そうね……タクミの言う通り私はそろそろMPがまずいかも知れないわね。MPポーションも切れているし、まさかここまでかかるとは思わなかったわね」


 鑑定をしても相手のHPとMPが見えない以上、勘で話した所見事命中。

 消費の大きい技ばかりなのか、それともタクミに会うまでに色々と技を使用して消費を減らしてしまっていたのかわからない。

 だが巧にとっては大きなチャンスだった。


「けど、タクミを倒せばそんなの関係ないよね! 流剣! 流剣! 流剣! 流剣!」

「水の盾!」


 フェイリアは巧に攻撃を斬りかかる一気に決着をつけようと言う魂胆だろう。

 巧も負けじと水の盾で防ぐ。


「相変わらずおかしいぞその流剣」

「タクミの盾もよく防げるね」


 前と違って流剣の威力は上がっていた。その為、巧への衝撃は異常に高く、水の盾を突き抜けて巧の体を傷付け血を噴き出していく。


「いってえええええええ! 前より痛い痛い!」

「タクミ、どう? 私の愛、受け止めてくれてる? ねえタクミ!」


(このままじゃやべえ、こうなったら!)


「【魔開眼まかいがん】!」

「水ビーム!」


 フェイリアは魔開眼を発動したと同時に、巧の水ビームが来るのを予想していたのか水ビームを避けた。フェイリアが避けた先にいた魔物を撃ち抜き絶命させた。


「ふふ、どうかしら? 前回と違って手首は吹き飛ばせれないわよ」

「ああ、驚いたよ、まさかあの至近距離から避けられるとは」

「魔開眼の効果のおかげね。これで相手の魔力操作の動きがわかるの」

「本当強いわフェイリア」

「あなたもねタクミ」


 お互いもうMPは少ないが巧に関しては、フェイリアに比べるとまだ余裕はあるだろう。それでも先にMPが尽きるのは巧のほうだろう。

 フェイリアに関しては悪魔の手のおかげで身体能力の強化、それから剣術による技能。その点、巧が有利なのは魔法のみ。身体能力に関しては確実に劣る、しかしチャンスはまだあると巧は確信に走る。


「さてとそろそろ決着か」

「そうね、次辺りで……きゃあ!」


 巧はフェイリアが喋り終わる前に風魔法で吹き飛ばすと同時に巧も走る。

 フェイリアぐらいの身体能力と直感なら、巧が魔法名無宣言の魔法放ったとしても易々と避けれたのだろう。

 だが、リウスとの対決に続いて巧との戦闘、それによる疲労の溜まり。更には今まで魔法名を言う事で魔法を発動していたので、フェイリアはタクミが魔法を発動する際は宣言するものだと思い込ませた。

 そんな要因が続いた事で反応に遅れ避けれず、巧の無詠唱魔法無宣言によって風魔法をくらったのだ。


「タクミ痛いじゃないの、まさか魔法名宣言なしで吹き飛ばされ……またあ!」


 何度も吹き飛ばし巧はインベントリ内にあるMPポーションを全て飲みながら走る。


「悪いな、卑怯者だろうと何だろうと言われようが、命をかけた勝負は勝負だ。それにここへ誘導して辿り着きたかったしね」


 巧の足元には先ほど水ビームで偶然にも撃ち抜いた魔物が地面倒れ伏していた。その魔物は血が流れている。


「ここがなんだって言うの? それって多分タクミが撃ち抜いた魔物でしょ?」

「ああ、こいつの血が必要なんでね」


 巧は魔物が流している血を水魔法で操作し血の剣を作りあげた。


「へえ、水の剣ならぬ血の剣ってわけね」

「まあ、そういうわけだ!」


 巧は風魔法を使い移動速度をあげフェイリアに近づき剣を振るう。


「水魔法程度じゃこの刀だと受け止めるだけだって……ぇ?」


 フェイリアが受け止めた刀は血の剣に負け刀身が折れてしまった。続いて巧は剣をフェイリアに振るうとフェイリアは残った刀で受け止めようとしたものの、受け止めきれず刀身は折れた。

 フェイリアは両刀を失い座り込む、刀の刀身と共に闘争心が折れたのだ。そんなフェイリアを見て巧は血の剣を解除した。


「さあ決着は着いたぞフェイリア」

「ええ、私の負けねタクミ。やっぱり私の愛した人で間違いなかった……それで私をどうするの?」

「んー、どうしよう。とりあえず止めたかったのが一番だったしな」

「私の事を好きにしていいのよ? 私は性奴隷としてもタクミの傍にいるし、あの子を殺せなかったのは残念だけど……。それでも一番じゃなくても二番目だろうが三番目だろうが、私を必ず愛して貰えたら私は満足するよ?」


 負けても相変わらずなフェイリアに対して巧は苦笑する。


「負けても相変わらずだなフェイリアは」

「だってタクミを愛したんだもの、私はあなたになら何されても良いと思ってるほど、好きだからね」


 フェイリアは巧に微笑む。そんなフェイリアの顔を見ていると可愛らしく思える巧だった。


「さてタクミ、終わったようだし悪いんだけどそのフェイリア・マルベールを渡してもらおうか」


 巧とフェイリアは声がする方向へ顔を向けると、森の奥からルベスサが現れた。



次の話でやっと終わりそうです

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