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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
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フェイリア再び

 昼過ぎの現在、リウスはルビアリタの街の近くの平原で魔物と交戦。


「【竜炎りゅうえん】!」


 リウスの放った魔法は杖魔祖の先端から大きな炎が出現。

 その炎が竜の顔になり魔物達を飲み込み焼き払われる。


「威力も高くなったな」


 先ほど放った竜炎は、巧がアルマジロと戦闘にリウスが使用した炎の塊。

 あの時はまだ何かの生物の形をしていたが、今や立派な竜の顔になっており色もオレンジと熱くなっている。


「えへへ、嬉しい!」


 巧に褒められたのが嬉しいのか笑顔になっている。

 リウスは今、長い前髪を二つに分け、後ろ髪はポニーテールにしてあった為、見た目も可愛く更に顔の表情がわかりやすくなっていた。


「けどこの魔法使うと少し疲れるね」

「まだMPに対して魔力消費量と威力高いんだろう。けど慣れていけばそこまで疲れずにいるかもね。ほら水」


 実際、巧は魔法をいくつかしようしてるが気怠さになれたのか気にしなくなっていた。しかし使い過ぎによる怠さや倦怠感はまだ慣れていない。

 リウスはMPを回復させると元気に体を動き出した。


「他にも色々練習しないとな」

「タクミもいくつか魔法使って練習しようよ」

「また後でな、今はリウスのを使いこなさないとね」


 巧の言葉にリウスは頬を膨らませる。


(それにリウスの高威力を見てビビらないなんて、あの森にいる奴何者だ? 最初ここに来た時から居たが、動いてないっぽいしそこまで気にしてなかったけど……)


 今、巧達が居るのは平原だが、近くに森は存在した。

 その森のほうにいるであろう人物を一瞥する。


(動いた?)


 巧の視線に気づいたのかその森の人物は動き出した。

 巧は動き出した物に注意しつつ戦闘準備をリウスに言い渡すと、リウスは緩まった手から杖魔祖をしっかり持ち直した。


「あらあらあらー? 気づかれちゃった? 流石、私のタクミね」


 森の奥から現れたのはフェイリアだった。

 巧とリウスはいつでも動けるようにフェイリアに警戒の表情を向ける。


「その子がリウスって娘ね。私あなた達の会話を聞いてて嫉妬しちゃう。そこまで仲良しなんて」

「ああ、ありがとよ……。けど何でお前その手首復活してんだ?」


 巧はフェイリアの手首を見て指摘した。

 以前にフェイリアは、巧の水ビームによって吹き飛ばされたはずなのだ。その後、巧が吹き飛ばした手を完全に燃やしたはずなのだ。

 しかし今見ると復活、いや、復活ではなくよく見れば何か別物の手のようだった。そして腰には前回同様に二刀の刀が装着してある。


「これね、巧に手首を吹き飛ばされたあと、悪魔を召喚してね。そのまま殺しちゃったの。そしてその悪魔から手首を切り取って私の腕に付けて(・・・・・・・)ね、そしたら馴染んだのかこの手、使いこなせるようになっちゃった。これも巧のおかげだよ」


 発想が異常であった。巧と再会する為に、巧に褒めてもらう為だけに、フェイリアは悪魔をも殺したのだ。


「悪魔を殺して奪い取った? 本当怖いわお前」

「タクミは私を怖がっても私はタクミを愛していけるよ? そこの女よりもね」


 巧の後ろにいるリウスを指し、殺気を放ちながら笑顔になるフェイリア。悪魔の力を取り込んだからか、その顔は前回あった時よりも美しく妖艶であり、性別問わず魅了されるような悪魔のような笑顔をしていた。


「タクミ……」


 リウスは震えるように巧のローブを引っ張る。

 リウスは今フェイリアから発している殺気に当てられ、怯えている様子。


「大丈夫だリウス、任せろ」

「タクミ、その女よりも私の方を向いてよ、私を見てよ、私を愛してよ」

「いや、お前の発言が怖いんだよ。見ろよ今だってその殺気でリウスが怯えてるじゃねえか」

「それはその女が弱いからよ? それにそんな女は弱くてタクミを守ってあげられない。私なら強くてタクミを守ってあげられるのよ? 私ならタクミが望むことだってしてあげられるし、この肉体はタクミだけの物、それが例え世界が敵に回ろうがタクミを愛してあげれるのよ?」

「わ、私だってタクミを守ってあげられる!」

「あなたには無理ね、タクミは守れない。代わりにタクミがあなたを守る為に死んじゃう」


 リウスは悔しくなったのか炎の塊を放つがその炎はフェイリアに斬られる。


「どう? これが今のあなたの実力。こんなのだとタクミを守れないわよ? それにあたしタクミとキスしたんですもの、あなたはキスした事ある?」


 巧はあの時のキスを思い出す。


「タクミ……本当?」


(こわ!)


 リウスを見ると目が見開いていて声のトーンも若干下がっていて巧は震えた。


「いや、あれはその……フェイリアが……」


 彼女に浮気がバレた男の状況になっていた。


「ほらタクミもこう言ってる事だしわかったでしょ? タクミを諦めて私に渡してね」

「いや! タクミは渡さない私のなんだから!」


 そう言い放った後、自身で言った意味を改めて理解し直すとリウスは顔が赤くなった。


「初々しいわね、けど、あなたは終わりよ? 今日でタクミとはお別れになるの。私が殺してあげるから」

「あなたにタクミは渡さない!」


 リウスが前に出て炎の塊をを再度放つ。


「またこれ……、あなたって進歩ないわね」


 フェイリアは先程と同じように刀で炎を斬る。


「……なっ!」


 フェイリアは驚く、斬った炎は後に少し小さな炎の塊があった。炎は重なりフェイリアからは一つしかないように見えていた。


「どう? 私だって同じ攻撃ばっかりしないんだからね」

「ええ、今回は私が侮っていたことにするわね。光斬!」


 リウスに向かって縦の光斬を放つフェイリア、流石に避けきれないのか巧がリウスの腕を引っ張り、難なく光斬を避けた。


「あ、タクミだめじゃない、今私達女の闘いなんだから。あなたは邪魔しちゃだめよ」

「そうだよタクミ、今のはタクミに助けられたけど次はちゃんと避けれるよ」

「あ、はい…………けど流石に危なくなったら助けるからな」


 助けたのに怒られる、そんな理不尽な事が巧に起き後ろのほうへと下がって見守る。


 ここに女の闘いが火蓋を切って落とされたのだ。


愛が重い女フェイリア

そんなリウスとフェイリアの女の闘い(物理)が始まる

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