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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
41/144

昇格試験前編

 フェイリアとの戦闘から数日後。

 あの後フェイリアは巧の前に現れることなく平穏な日常を過ごす。

 あれから巧は、リウスと一緒にいくつかの依頼をこなしていた。

 この期間中リウスは★三つまで上げる事に成功。巧も★四つまで上げる事を勧められたが、リウスと一緒に受けるならと言う事で断っていた。

 逆に一人でも受けれるがリウスと一緒に昇格試験を受ければ成功率も上がると考えた巧だったからだ。


 リウスはレベルも上がり、ルビアリタの街周辺の敵なら一人て倒せるようになっていた。

 この期間でどれだけ巧達のレベルは上がったか。


 名前:山内 巧

 年齢15歳

 性別:男

 レベル:13

 状態:なし

 HP:418/418

 MP:364/364


 名前:リウス・トラルスト

 年齢:15歳

 性別:女

 種族:人族

 状態:なし

 レベル:9

 HP:171/171

 MP:233/233


 他の人達のレベルと同じとしても、HPとMPの差が格段に違うのだ。

 リウスは呪い子補正のおかげと言うべきなのか、同レベル帯の人と比べると高い。巧も同レベル帯と比べて極めて高い。


(リウスはまだわかるんだけど、何で俺まで高いんだろ?)


 この世界に来る前までは、巧は能力的にも平均であり平凡である。特に特出した部分はなかったはずなのだ。


(この世界に来た恩恵なのかね)


 現在、巧達はギルド建物内にいるが、ギルド内は冒険者達がたむろっていた。

 巧達は依頼が貼っている掲示板へと行こうとすると、受付からシファが声をかけてくる。


「タクミさんリウスちゃん。ランク昇格試験の事なのですが」

「お、遂にリウスもランク上がる事はできるの?」

「はい、タクミさんとリウスちゃんは★四つまで上げるには十分な資格があると私が判断しました。試験を行いたいと思うのですが、御二人共昇格試験に参加される希望はございますか?」


 巧はリウスを見ると、リウスはやる気に満ち溢れている表情をしていた。


「ギルマスじゃなくシファさんが判断するんだ」

「私達はギルド長みたいに最高権限はありませが、ある程度の権限は与えられています」


(ギルド長の代理人みたいなもんか)


「今回のような昇格試験としても、上級まであげる権限ぐらいなら、可能です。流石に特級クラスにするには、ギルマスが立ち会う必要性がございます。ただし立ち会いに関しては特級以外にも、上級に上がる際にギルドから選ばれた冒険者の方が試験監督として付き添いになります。ただ初級から中級になるには付き添いなどはございません。各自で成功すれば中級になれます」


(シファは中間管理職みたいなものか、その上にいるのがギルマスはつまり社長と)


 実際にイルベル達の昇格試験の際に、ギルマスであるウエルトロスはいなく代わりにシファや他の受付嬢が立ち会っていたのだ。


「なるほどわかりやすい説明だったよ。試験のほうは受けようと思うから内容を教えてほしいな」

「その試験はこちらでございます」


 シファが巧達に差し出してきた依頼内容は――――


 討伐 ★★★★

 場所 クレリット沼地付近にて月水草げっすいそうを最低十本採取

 採取証明必要

 期限 十日迄

 達成報酬 一本銀貨銀貨一ルペ


 草の採取、この数日間のうち何度かやっていたので巧やリウスにとっては今や楽な作業である。


「採取依頼?」


 リウスは依頼書の紙を読めるようになっていた。

 ここ数日間は巧との討伐後、ロウナ達と共にこの大陸の文字の読み書きの練習をしていた。その為読み書きに関してはマスターするほど。

 巧も見習って文字を覚えるのだが、この世界の文字は完璧にマスターすることができず困っていた。巧は文字翻訳を思いつき、無事すむことができたのだ。

 文字は平仮名、片仮名、漢字だろうがその書いた文字が自動で変換される。


(これって言葉と同じで種族問わない一種の強制な洗脳スキルだよな)


 貴族や商人など、文字を書く事も必然と多くなるので覚えないといけない。

 だが、村人などは教育がいきわたってないので国字が書ける人は少ない。実際冒険者も依頼書を読めない人も多数存在する。

 したがって羊皮紙にある★から選んだり、受付嬢に頼み込んだりして依頼を受ける事があるとのこと。


(このスキル使えてよかった。これでどんな大陸でも文字も言葉もつかえて安泰……。いや、仮に相手国のスパイが見たら仲間だと思われる可能性あるか? こういう所以外だと使い所がやっぱ難しいかも)


「はい、場所はここから歩いていけば半日から一日。近くに街も村もなく商人も立ち寄りません。採取の草の色は青色で大変わかりやすいです。この沼地で夜中しか生えてこない草の為、冒険者に行かせる薬師が多いのです」

「今回はこの依頼で最低十本とあるけど、それ以上採取しても問題ないの?」

「はい、問題ございません。むしろ、多めに持ってきても構いません。必要な人は多いと聞きますので」


 巧はシファに地図で沼地の場所を示してもらったあと、ギルドを出た。

 街を出る前に食事をし、道中で食べる食事などを買い漁る。


(とりあえず教えてもらった場所をカーナビ魔法と居場所探知で何とかなるかな?)


 現場までは今から行ってゆっくり歩いても、到着には明日の昼過ぎになると巧は予想する。


「リウス急ぐからおんぶするぞ?」

「おんぶ?」

「そ、俺の背中に抱きつけ」

「え……え!」


 戸惑うリウスを無理矢理おんぶさせると、風魔法を使い走り出す。

 おんぶをされたリウスは、最初慌てたようになっていたが、次第に落ち着くと嬉しそうに巧に抱きついた。

 レベルが上昇した恩恵なのか、数時間経っても未だ体力が衰える事はなく、巧は快適に走り進める。

 

「沼地ってどんな所なんだろ?」

「あー、沼地だからドロドロしてそうだよな。魔物も泥人形とかゾンビとかでるんじゃないか?」

「私の魔法効くのかな……」

「効くとは思うよ? 仮にどんな魔物だとしてもリウスの炎なら消滅さえちまうけどな。それに威力も高くなってきてるし新しい魔法も覚えたしな」


 巧達は魔物と戦う度にどうすれば強くなるかを工夫し、創造と言う名の発想で魔物を退治する事が多々あったのだ。

 巧は数十メートルに人の気配を察知するが、相手も探知能力が高いのか近寄りもせず、巧達を観察してる様子である。


(何だろ? 警戒していたほうがいいかな)


 だが何もしてこないので警戒を解いていると、再び人の気配を察知する。

 今度は大勢で巧達のほうへと向かっていた。


「リウス戦闘準備するぞ」

「もしかして魔物?」

「わからないが多分人間だろう。向こうは俺達に気づいて近づいて来てるらしい。多分追いつかれるから、ここで一旦止まって撃退しようか」

「タクミ、前はタクミが一人で全員やっつけたし今回は私に任せて」


 妙にリウスは自信あり気であった。

 それもそのはず、これまで巧に助けてもらいっぱなしであるからだ。

 そんなリウスも思い当たる節はいくつかあったのだろう。

 レベルが上がった自信からか、魔物を倒し続けた自信からか、それとも新しい魔法を覚えた自信からか、リウスから昔と違い自信という自信が溢れ返っていた。


「ああ、わかった今回はリウスに任せるよ。ただし人間だと手加減しろよ? 流石に焼き殺すのはだめだからな」


 リウスは巧のそんな言葉に嬉しかったのか笑顔になって頷く。

 巧はリウスを地面に腰を下ろしMPポーションを飲み回復させる。

 暫くすると盗賊であろう男達が複数人巧達の前に現れた。


「そこのお前、金とそっちの女も置いていけ。そうすれば助け……」


 盗賊の男の一人が喋っている時にリウスは杖魔祖を相手に向け魔法を唱えた。


「【炎のドーム】」


 盗賊団の周りに炎の円状のドームが現れた。

 巧もこれに似たような水魔法を使った事があるが、リウスはそれを自分なりのアレンジにして今回、試しで使ったのである。

 そしてリウスが放つ魔法のほとんどの命名は、巧が何となく考えたもの。

 ドームの中は炎で包まれ見えない。盗賊団はドームに包まれ蒸し焼きにされたのち、数秒経つと解除されドームは跡形もなく消え去った。


「うわー、暑そう」


 盗賊団のメンツは所々服が破け全員地面に倒れ伏す。

 リウスを見てみると犬のような期待の目持ち巧を見ていた。


「あ、ああすごかったよリウス。だけどちょっと範囲大きすぎたかな? あれだと魔力消費量が大きすぎるから。もう少し適切な大きさにしたら消費も抑えれるかもね」


 アドバイスをして巧達は盗賊を放置したのち、再び進む。

 無事クレリット沼地に到着すると、空は夕暮れになり時刻は十八時前と表示されていた。

 巧は沼地と聞いてドロドロした感じを思い浮かべていたが、緑に覆われてており景色としても悪くなかった。


「時間的にもうすぐ夜になるな。飯を食べようか」


 収容空間から食料を取り出す。


「美味しいね」

「ああ、そうだな外で食べると格段に違うな」


 食事が済み辺りが暗くなると、巧は立ち上がり鑑定を地面の生えている青い草に向かって鑑定をかけていく。


「結構生えてるな」


 巧は鑑定し続けると、周囲に生えている草は全て月水草であった。

 月水草の入れ食い状態である。


「タクミこれで終わり?」

「ああ、依頼達成したしあとは帰るだけ。でも今日は暗いし少し離れてから野営だな」


 巧達は沼地を離れ草原で野営することにした。


「タクミ、今回は私が先に寝て夜中に起きる」


 前回起こさなかったのがまだ根に持っていたのだろう。

 巧は渋々了承した。

 リウスが寝てから巧はリウスを中心とし、半径五十メートルに毎に円状に火の設置魔法をかけていく。

 この設置魔法は対象物が設置した場所を踏むと、地面から火柱を立てて対象者を燃やし目立たせる。仮に踏まなくても巧の意思で起動させることができ、つまり一種の遠隔操作地雷魔法。

 この方法は巧が日本に居たときに動画を見て、思いついた魔法であった。

 欠点として設置するにもMP消費量が激しく、一回で設置できる数は少ない。


「リウス時間だぞ」

「……タクミだー」

「また寝惚けてるのか?」


 巧はリウスを立ち上がらせたのち、顔も洗わせて目を覚まさせた。

 リウスに地雷魔法の効果と範囲を説明したのち、巧は眠る。


1本値段やっぱ高いので減らしました

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