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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
38/144

フェイリアとの対決

(まずは様子見? いや様子見だとこちらが不利になりそうだし攻めるか?)


 暫しの沈黙が続く。様子見なのだろうかフェイリアも動かない。行動を伺っているのか舐める様に巧の観察していたが、手には剣のつかを持っていつでも抜けるようにしていた。


(恐ろしいな、ここまで殺気をだされた人との戦闘となるとは)


 巧はこの世界に来て、人との殺し合いになるだろう初戦闘を行う。日本でいた時でさえ戦闘と言うよりも喧嘩自体したことないのだ。

 だから殺し合いと考えると恐ろしく感じて恐怖する。

 勿論、殺気と言う殺気は他でもあったのだろう、例えば風月の灯による戦闘は巧が先制攻撃により倒したので相手はビビり、殺気を出す前に戦闘終了した。

 次にアベルト兄弟、あの二人は本当に殺気自体だしていたのかは疑問であり、まだ魔物と戦ったほうが殺気をだしてくれていたからわかりやすかったのだ。

 最後にイルベルやハリトラスの二人。この二人とは戦闘訓練はしたが、殺気自体放たれる必要がない戦闘だったので巧は後悔する。


「水ビーム」


 緊張に耐えられなかったのか沈黙を破り先制攻撃をしたのは巧である。

 そんな水ビームがフェイリアに届く前に横にずれた瞬間、腰に装備していた長剣によって水は綺麗に切断。


「あら、あんな激しいの嬉しいわよ」

「いやいや、あれを斬るなんて恐ろしいわ」


 本気とは言えないが、結構な速度で水が放出されていたのだ。だがその速さにフェイリアは反応した。

 フェイリアは水ビームが迫ると、少し驚きはしたもののそこまで気にしている様子はない。斬った動作でも、最小限に動きで巧の攻撃を容易に躱せれると言うアピールも兼ていたからだ。


「でも、お姉さんも負けじと君に激しいアタックかけちゃうね!」


 そう言うと飛び出し巧に迫る。


「チッ! 水ビーム!」


 巧は再び水ビームをフェイリアに向け放つと、フェイリアは見越してたかの如く避けて回避。回避したと同時に地面に足を踏み出し再び飛び出す。

 距離にしてわずか数メートルだがフェイリアが迫る。そして剣を振れば巧に届く距離であった。

 巧は風魔法を使い後ろに距離をとった瞬間、巧がいた位置に斬撃が走る。


「あぶねえ……」

「あら、今のを避けるとは中々やるわね、あれで初級冒険者なら大抵は片づけれるんだけど避けられてお姉さん嬉しい。けど次はそうはいかないよ?」


 初級冒険者、巧の手首に装着しているドッグタグを見て判断したのだろう。

 フェイリアは両手で剣を右下に持ち体勢を少し低くすると、空を斬るように剣を横に薙ぎ払う。


「【光斬こうざん】」


 フェイリアが剣を横に薙ぎ払うと同時に剣が光り、光の横線が走る。つまり光の線が巧を襲う。


「くそ!」


 巧は届く前に高く飛び回避。フェイリアはそんな巧を見越しているのか、再び光斬を放つが、巧は風魔法で自身の体に風をぶつけ、強制的に空中移動し光斬を回避し着地する。


「あらあらあらー? お姉さんびっくりしちゃった。まさかあんな移動ができる何て思ってもいなかったわよ?」

「ああ、俺もあんたがあんな攻撃をするとは夢にも思わなかったよ」


 お互いまだ知らない技が多くいが、それでも巧のほうが不利なのだ。

 フェイリアは各上でまだ技が多いと予想でき、更に身体能力が高く、剣術としても巧より格段に強いと判断できる。

 三度フェイリアが巧に迫ると、巧はそれでも回避する。

 回避する事二桁に及んだだろうか巧は息があがっていた。


「うまく避けるわね……けど、いつまでも回避ばかりだと私は倒せないわよ?」


 そう、実際巧は攻撃していない。否、していないのではなくできないのだ。

 フェイリアからの攻撃が激しく巧からの攻撃するタイミングを見失っていた。そんな巧はフェイリアからの攻撃を回避する際に服に、ローブや服に少なからず掠り破れ身体が見えていたりした。


「……なら……そっちから攻撃やめればいいじゃん、そうしたらこっちから攻撃出来続けるよ」


 巧は口を少し開け、その中に気づかれないように水を入れ飲み込む。

 不思議な事に疲労がとれたのか、落ち着くことができた。だが現状それだけでは有利にはならない。


「ごめんなさいね、君があまりにも避けるの上手かったからついつい攻撃を続けさせてもらったのよ」


 巧は運が良かっただろう、これまでの戦闘により直観力の上昇とレベルによる身体的上昇が大きい。それによりフェイリアからの攻撃を直感であったが、攻撃を回避する事ができたのだ。仮に今までの経験がなければ、連続攻撃の際に確実に斬撃をもらい巧は殺されていた。


「でも、楽しい時間もそろそろ終わりにするね……」


 フェイリアはもう片方の短剣を手にかけ抜くと。


「【流剣りゅうけん】」


 両手の剣は巧に向かい剣が迫る。ただ巧からすれば両手の剣を持って攻撃しに来ただけに見えるだが、巧は何か違和感を覚えた。


「【水の剣】」


 その剣が振るわれる前に水の剣を出し、迫ってくる剣を巧は受け流す。


「え?」


 巧はしっかり両方の剣を受け流し、フェイリアの剣戟を回避した……かに見えた。したのだが、胸から腹にかけて急に血が噴き出す。


「惜しいわね。よくあれを避けず受け流す判断をしたのはお姉さんびっくりしちゃったわよ? 運が良かったね。それで防がなかったら君死んでたよ?」


 巧は水の剣を解除し傷を触り血を確認する。

 血は噴き出していたものだが、幸い血は浅かった為そこまで重症には至らなく触っていたら傷が回復し治る。だが巧は混乱する。


(何故……? 攻撃を受けたんだ……)


「ふふん、私の攻撃をここまで避けたんだから教えてあげてもいいかな」


 フェイリアのそんな発言に巧は驚く、本当に教えてくれるなら攻略方法がわかるかもしれないと。


「教えてくれるのか? でも何故……」

「君の事を気に入ったからね。ここまで頑張ってくれたの君だけだよ? 仮に君に教えて、それでもまだ頑張るなら……お姉さん、君の手足を斬って動けなくしてから持ち帰りたいな。そして君との子供も欲しいなって……。あ、もう一人の子は殺せばいいよね」


 それを聞いた巧は、フェイリアの事を狂人と再認識する。


「いいから早く教えろ!」

「まあ焦らないで教えてあげる。流剣と言ってね、攻撃対象者の近くで攻撃を外して失敗しても、その間に障害物がなければ相手に見えない斬撃を与える事が出来るの。今回のように、君が攻撃を受け止めたとしても、攻撃を外したと同じように相手を斬る。ダメージを与える事ができる言わば衝撃波的な剣技。つまり実質、防御不可能な見えない斬撃の衝撃波を与えるって思っちゃっていいよ? 弱点として両手が剣を持ってないと発動できない上に、今はこの剣しか耐えきれない、君みたいに受け止めたら威力が弱くなるって事かな」


 流剣の利点と欠点を教えたのだ。それほどフェイリアから余裕があるのだろうが、逆に巧はその情報により少なからず希望を見い出す。


「へえ、その剣技を編み出すのに苦労してそうだな」

「ええ、これを覚えるのに私の師匠がいたんだけどね、その師匠が滅茶苦茶いやらしい目で当時の私を見てくるの。まあ私に手を出そうとしていたのだけど、技を覚えたあとで不快だからすぐ殺しちゃったけどね。それにこの技を知ってる師匠はもうこの世にいないから、実質使えるの私一人だけなんだよねぇ」


(そりゃこんな色っぽい人を前に欲情しちゃうわな、その師匠とやらには手を出した相手が悪かったと同情するよ)


「それじゃ教えた事だし続き行くね」


 そう言うとフェイリアは再び巧の前に出る。


「【水の盾】」


 巧も応戦するよう水の盾を創る。


「今度は剣じゃなく盾を出してきたの? それじゃお姉さん攻撃できないよ? 流剣、流剣、流剣!」


 そう言いながら攻撃の手を緩めず、巧に両方の剣で攻撃する。

 巧は受け止めるが盾のおかげで威力は落ちていたが、衝撃波が伝わり巧の着ている服を体を腕を顔を切り裂いていく。


「ああ、これでいいんだよ。水ビーム!」


 巧はニヤリと笑い、盾の一部から水のビームが放出されフェイリアに当てる。

 フェイリアの手首に当たり長剣を持つ手首ごと吹き飛ばした。


「……え?」


 フェイリアは驚いたのか後ろに飛ぶ。少し距離を置くと、巧は水の盾を解除。


「悪いと思ったが流石にお前が殺しにかかってきてるんだ。手首を吹き飛ばさせてもらったよ。剣を飛ばしてもどうせお前の事だ、拾ってすぐ戦闘し直すだろうし。それに驚いただろう? ただ盾を創って守りに入ったんじゃなく、盾から水を放出するってな」


 そう言いつつ巧はMPを確認すると、残り四分の一を切っていた。インベントリからMPポーションを大量に取り出し飲みほしすと、MPを回復させた。

 そんなフェイリアは自分の無くなった手首を見る。手首は血が噴き出していた。そんな様子を茫然と眺めているフェイリアは次第に体を震わしていた。


「どうした? 早く止血しないと出血死をす……」


 フェイリアの顔を見るとニタリ笑っている。

 その表情は一言で表すならば狂喜(きょうき)と言うべきだろうか。

 巧は背筋が凍る思いをする。


「……ごい……すごい……すごい、すごい、すごいすごいすごいすごいすごい! すごいわ、きみいぃぃ!」


 巧は混乱した、自分の手首を吹き飛ばされた相手に対してすごいと言うのだ。

 普通なら恨み言葉の一つをかけてもおかしくないのだが女は歓喜をしていた。


「私を、私をここまで追い詰めたの君が初めて! 嬉しい、あなたが欲しい!」

「なっ! ……水の剣!」


 そう言った瞬間、フェイリアは再び飛び出し巧との距離を詰め短剣を勢いよく振るってくる。流石にそんな事を言ってくるとは思っていなかった巧。急いで水の剣を出し受け止める。


「くっ……重い!」


 剣を交わって、水の剣を弾かれた瞬間、フェイリアが巧に近づき唇を重ねる。

 あまりの行動に巧は体が硬直した。


(な! こいつ何を!)


「んぐ……ん……ぷはぁ……あぁ~、あなたの唇を頂いちゃった」


 そして巧を突き放し離れ、無くなったほうの片腕を抑える。


「このまま襲いたいけど、流石にこれじゃ私の不利ね。今回は私の負けと認めるから逃げようと思うの、その前に最後に名前聞いてもいいかな?」

「……巧」

「タクミね、良い名前だわ。私はフェイリア。覚えておいてね、それじゃまたねタクミ」


 フェイリアはインベントリから何かのアイテムを取り出す。そのアイテムが光ると同時に逃げるようにその場から消えた。気配を確認すると辺り一面、巧とリウス以外誰もいないのがわかると同時に、緊張から解き放たれたのか巧は地面に座り込む。


「つ、疲れた……もう嫌だわあんなの怖いわ。二次元のみならまだ可愛げがあったかもしれないけど、実際会ってあんなのとか本当怖い! 引きこもりたい!」


 巧は涙目になっていたが、リウスの事が気になり立ち上がる。

 戻ろうとするが巧は飛んで行った長剣が気になった。剣身に何かを掘られているが、それ以外は変哲もないただの長剣。その長剣を収容空間に入れ残された手は焼き払う。


「大丈夫だと思うが、魔物に襲われてなければいいな……って、この服どうしよう……」


 巧はリウスを気にかけるが自分の服にも気になった。戦闘によってかローブと服は破け肌は露出、血で濡れたのかTシャツも服も赤く色づいていたそしてかなりボロボロになっていた。


「ローブはまだ替えはあるが、服は着替えないし……気に入っていた一張羅いっちょうらなのに……あの女……フェイリア弁償しろよ!」


 叫んでもフェイリアがいないのはわかっている。

 仮に戻ってきたら巧にはもう戦う気力がないから勝機が完全にない。


「……仕方がないからリウスの所に戻るか」


 巧はリウスの心配される顔が思い浮かび、何て言い訳しようか迷うのであった。リウスの所に戻るとリウスはまだ安心しきっている寝顔をしていた。巧はそれを見て安心する。


(まあ何事もなくて良かった。とりあえず子の事ギルドのほうに報告したほうがいいだろうな。この格好じゃ即バレるし)


 時間が経つと、その日一日が開始するかの如く、朝日が昇ってきた。

 巧の無事を祝いかのように、太陽の光の温かさを巧は感じた。


まさか創ったキャラがこんな形になるとは思いもしませんでした。

しかもまた巧達の前で会うフラグも残しちゃったし……

てか執筆してる最中また腕吹き飛ばす感じなの書いちゃったなって改めて思いました。


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