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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
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盗賊達の悲壮

 時刻は朝八時。外は人が活動しているのか人々の話声が微かに聞こえ巧は目を覚ます。

 ベッドから身を起こすと辺りを見回した。

 家の中にはベッドが二つ、テーブル、椅子、棚と質素ではあるが必要最低限の生活は可能であると見受けられた。

 巧が起きたのに気づいたのかリウスは近づいてくる。


「おはよう巧、朝飯の用意できてるよ」


 そう言い、微笑みかけるリウス。

 巧はテーブルの上を見ると、美味しそうな食べ物が並び喉をゴクリと鳴らした。


「食料は昨日貰ったからそれで作ってみたのどうかな?」


 リウムは少し照れるような仕草に巧も釣られて照れた。


「ああ、美味しそうだよ。少し外で顔洗ってから戻って食べるよ」


 気持ちを抑える為に巧は小屋を出たら、村人から感謝の言葉をかけられる。


(そういや昨日、バンデットウルフを倒したんだっけか……)


 そう考えながら顔を洗いリウスの待つ小屋へと戻る。

 リウスと朝食を食べ終え、討伐報酬を貰いに村長の所へ向かう。


「おお、昨日はよく頑張ってくれた。お陰様で村の皆は安心して働けるようになったよ。これは報酬だ、受け取ってくれ」


 報酬が入った袋の中身を確認すると、白銀貨二枚。

 倒したバンデットウルフは子犬も含め、合計十八匹。

 本来なら銀貨二十枚にも満たないはずなのだが、多く渡されたのだ。


「あれ? 少し多いような。数はそこまでいなかった気がしますが」

「あれだけのバンデットウルフを倒してくれた上、素材まで提供してくれたんだ。もっと金は出したいぐらいだが現状村は厳しくてね。今はこれぐらいしか出せなくて逆にこちらが悪いほどなんだよ、申し訳ない」


 申し訳なさそうに謝罪を述べる村長。


「気にしなくてもいいですよ。俺達もこれだけ儲かるとは思っていなかったのでびっくりしました」

「そう言ってもらえると助かるよ。今日はどうするんだい? まだこの村に残ってくれると助かるのだが」


 巧は考える。ランクアップが目的の一つでもあるので、今この場に残っていても時間がかかってしまう。そしてお金を稼ぐとなると、このままルビアリタの街に帰るのも選択肢の一つと。


「そうですね、ご厚意に甘えたいのですが俺達はルビアリタの街に戻ろうと思います」

「そうか……残念だがタクミ達がそういうなら止めはしない、本当助かった。また依頼をする時は君達に頼むよ」


 村長はそう言うと、巧に握手をする。

 巧達は村の外へと出てカーナビの魔法を使用したのち、ルビアリタの街を目指した。


「良い人達だったね、タクミ」


 巧はそんなリウス顔を見るとトレン村とは違い嬉しそうにしていた。


「ああ、そうだな。また次どこかで依頼を受ける時は改めて行ってみたいな」


 村を出発し数時間が経ったのか、巧の腹が鳴ると時間を確認。

 時刻にして昼の十二時を回り昼食をとる。

 幸い、魔物と言う魔物は現れず順調に旅を進めれていたので、巧は明日の夕暮れには街へと到着すると予想していた。


「タクミ、向こうから人が近づいて来てるよ?」


 リウスの言葉に巧は視線を向けると、開けた道から八人の男が近づくのが見える。男達全員、体には皮の鎧を装備していたりいなかったり。背中には剣や槍、腰には短剣などを装備していた。

 表情はどこかニヤニヤとしているのがわかり、盗賊だと判断することができる。


(旅の定番、お約束の盗賊辺りかな?)


 巧達は立ち上がると、盗賊達が近くに来るのを待っていた。


「坊主、赤色の長い髪の女と金と袋を置いてきな。置いてけば命だけは助けてやるぜ」

「まあまあボス、穏便に。俺達は”風月の灯”という有名な盗賊団ですぜ? こんな小僧ビビってションベンちびっちまうよ」

「それもそうだな。抵抗しても俺のランク三の風魔法で潰してやるよ」


 笑うボスとその仲間達。巧は呆れていたがリウスは少し怖がっている様子。


(あまりにも茶番すぎだろ……盗賊名を出して怖がらせる。有名な盗賊。ボスは風魔法か……)


「どうした坊主、ビビったか? 母親が恋しくなってきたか? まあ俺達は優しいからな、金とおんぐはあああああああ!」


 巧は喋ってる盗賊の一人に水ビームで吹き飛ばし、続いて別の盗賊三人吹き飛ばし気絶させた。


「な! この坊主も魔法を使えるだと!?」

「今詠唱しなかったよな……」


 巧の攻撃にビビる盗賊達。

 巧は追い打ちをかけるよに、もう一人の盗賊を水魔法で吹き飛す。


「さて残り四人だけどまだ続けるの?」

「う、うるせえ! お前ら俺が魔法撃つまであの小僧を止めろ!」

「む、無理だよボス。あいつらむっちゃどわああああああああ!」

「そうだぜボ……ぐほあああああああああ!」

「ぎゃあああああああああああ!」


 巧はボス以外の盗賊を言い終わる前に全て水魔法で吹き飛ばし気絶させた。


「くそ! こうなったらやってやる!」


 ボスは両手を合わせるかのような体勢をとり、おもむろに呟き始めると両手には次第に風が吸い込まれ始める。

 そう、この盗賊団のボスは魔法の詠唱を唱え始めたのだ。


「【我、欲する風に来たりし旋風つむじの】ぐああああああああああ!」


(詠唱とその魔法の効果気になったが、めんどくさいしまあいいか)


 ボスとその仲間達を見回すと巧の攻撃を受けて全員気絶していた。


「さあ、行こうか。飯は……食べ歩きでいいか」


 気絶している盗賊達を後目に、その場に放置し食べ歩き始めた巧とリウスであった。


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