表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
34/144

討伐決行前

「水ビーム」


 隠れていた昆虫の体を貫く。

 

「まだあんな所に隠れていたのか」


 巧はスキルによる闇眼により月明かりしかない暗い場所でも、巧の目は昼間のように明るく、周りを見回せる事ができていた。

 更に気配探知スキルがあるのでどこに魔物がいるかなども把握可能。

 貫いた昆虫はまだ足がまだ動いているのだが、徐々に動きが悪くなり絶命。


「いや何となく気配を感じたからだよ、そこで撃ったら当たったからさ」

「へえやるな、これで二十匹目だったぞ。リウスとの時は来なかったのにどうなってるんだか」


 ハリトラスにはスキルの事は一切喋ってないので気づいていない。


「珍しいのか?」

「旅をしていたらそりゃそれだけ出くわすのも珍しくもないが、それでも野営してこれだけだと多いほうかなって」

「ふむ、なら何かしらの原因があるのか?」

「…………もしかして、最初に倒したあの魔物が原因か?」


 巧がリウスと交代し数十分後に一匹程度魔物が現れる。

 すぐに対処したのだが、その後に定期的に先ほどの昆虫の魔物が現れるのだ。


「なら、あの最初に倒した魔物を完全に燃やしたほうがいいかな?」

「ああ、そいつが死んでもなお魔法か何かで操ってる可能性があるとすれば、早い方がいいな」


 巧はその倒した魔物に近づくと、昆虫のような顔、背中には甲虫かぶとむし彷彿ほうふつとさせる硬い甲羅、六本の手足があった。

 普通なら洗脳だとしても、かけた対象者が死亡すれば解除されるはずなのだろう。しかし、この魔物は未だ操れていると言うよりも、死亡して更に強力な洗脳スキルになったと考えたほうが早い。

 それとも魔物から発せられている洗脳物質が特定の魔物を操っているのか。

 魔物を焼き殺すため、穴を空いた中に木の棒を突っ込み集中するように炎を出すと、昆虫は燃え上がる。

 消滅後、暫くしても魔物の姿が現れなかった。

 ハリトラスの言った事が正しかったと証明されたのか、全滅させた後に燃やして出てこなくなったのかは不明。


「魔物は出ないしそろそろ交代かな。悪いが巧、リウスを起こしに行って来てくれ」


 巧は頷くとリウスが寝ているテントの中に入る。

 テントの中にはリウスが寝ていたので起こそうとすると、寝ぼけて巧に抱きついてきた。


「ふぇえ、何だかタクミの匂いがする……タクミ? え?」

「…………交代の時間だけど起きた?」


 リウスは慌てて巧を離すと、リウスから甘い匂いが鼻孔びこうをくすぐるのを巧は感じた。


「おはよう、もうハリトラスとの交代の時間だけど大丈夫?」

「う、うん……」

「そか、外出るから準備できたら出てきてくれな」


 暫くするとテントから出てくるリウスまだ眠たそうな顔をしていた。


「あと数時間の辛抱だ、少し眠いと思うけどほら水とタオル」


 リウスは顔を洗いタオルで拭き、眠気を覚ますと先ほどの事を思い出したのか巧の顔を見れてはいない。

 朝日が迎え、時間にして七時回った所で商人が起床。

 雑談を幾度かしてから馬車の中にある食べ物を取り出しリウスが調理する。

 匂いに釣られて、ハリトラスが起き始め馬車から顔を出す。


「何だかいい匂いがするな、これどうしたんだ?」

「この人が食べ物を出してくれて、リウスが調理したんだよ。それなりの量もあったし」

「ええ、タクミさん達が頑張ってくれてるのに私だけ何もしてないので食事だけでもと思いまして……」


 商人は何気に自分だけ何もできない不甲斐なさと負い目を感じていたのだ。


「ああ、気にすんなって、冒険者は冒険者、商人は商人の役割があるから、今回は俺等冒険者の役割だったってだけだ。だからあんたは気にすんな」


 商人はハリトラスの言葉に何故か感動していた。

 そんな茶番も済ませ飯を食べたのち出発する。

 道中は盗賊に襲われる可能性もあったが、特にそんな事もなく無事に目的の分かれ道に到着。


「この先を曲がればルイット村に到着しますよ」

「そうなんだ、ありがとう途中までだけど色々助かったよ」

「いえいえ、次また会う時は護衛の依頼をしたいと思いますので、その時はよろしくお願いします」


 商人は腰の低い人であった為、巧には好印象を与えていた。


「それじゃ気を付けて依頼受けて来いよ」


 商人とハリトラスに別れを告げ、巧とリウスはルイット村へと向かう。

 居場所探知と地図と組み合わせて使用しているので、道に迷わず十数分で無事到着。


「あの、ルビアリタの街からバンデットウルフ討伐依頼に来た者ですが村長の家はどこですか?」


 村人であろう人に声をかけると、村人は依頼を受ける人物が子供と予想できなかったのか驚く。巧は冒険者だと説明すると納得させ、村人を村長の家へと案内させる。到着したのち依頼書の羊皮紙を村長に渡す。


「よく来てくれた、さあ座ってくれ。私は村長のマーク・フィーベルよろしく頼む」


 見た目は五十代ほど、相当苦労して疲れているのか顔が少し皺になり白髪であった。そんな村長の周りにはこの村人であろう人が数人、巧の周りを囲う。


「俺は巧でこっちはリウスです。今回バンデットウルフ討伐と聞いているので、現在の状態を教えてほしいです」

「ああ、あの魔物達は今村のすぐ近くにあるの山へ行っている。賢いのか私達から食料を奪い去って行くが、与えないと噛み殺されてしまう。現に村人の若者や村の兵士が戦ってくれたんだが数が多いからか勝てず。仕方がなく冒険者を頼る事にしたんだよ」

「なるほど、知恵があるから他の魔物を襲うよりも村人襲ったほうが手っ取り早いと言うわけですか」

「その通り、いつ下りてくるかもわからないので我々は怖くて。中には村を出て行く人もいるほどに、だが残っている私達はこの村を捨てれなくてね」


 フィーベルは手を額に抑え悩むようなポーズをとっていた。


「大変でしたね、わかりました私達が倒してきましょう。あとその魔物の特徴を教えてほしいのですが」

「ああ、狼の形をして大人一人よりも小さいが、やはり狼なので速い。全身白黒の毛皮に包まれてて火や氷に強そうな所ですかな」

「わかりました。あと討伐した討伐部位なんですがどうしましょう? もし額に穴を空けたりしても問題ないですか?」

「あの魔物は毛皮が売れそうだから穴を空けても切っても倒したら問題ない。それに半分を頂けると助かる」

「なるほど、わかりました。では早速山へと入り倒してきます」

「ここまで言って悪いんだが大丈夫なのか? 大人でさえ無理だったんだ。こんな子供二人だけで信用できにくいかも……」


 村長は囲っていた村人一人の発言に対し焦っていた。

 村人が言った事に対しては一利あったので、他の村人たちはその意見に同意し頷いた。

 巧達は見た目からしても弱そうに見えるのは同意見であったから、山へ行かせても無駄死にだと判断されたのだろう。

 

「わかりました。では実力を見せるってのでどうでしょう? 俺達は魔法使いなので何か力試しできるのは」

「この家の隣に空き地がある、そこで魔法を撃つのを試してほしい。それを見て判断するが皆どうだろ?」


 村長の意見に否定する村人はいなかった。

 空き地に移動して数体の案山子かかしが置かれていた。


「あの案山子に対して魔法を撃ってもらえるかな?」

「わかりました、リウス」


 リウスは前に出て炎魔法を撃つ、威力は強めで周りの案山子にも燃え移ってしまい、すぐさま案山子は灰と化す。


「ごめんなさい……」

「気にするな、村人達驚いてただろ」


 実際、村人たちはリウスの炎の威力に驚いていた。

 案山子はまだ残っていたらしく設置完了したら巧の番が回ってくる。


「じゃあ次俺だな、水ビーム! そして武器変化っと」


 巧は水の塊を出すと案山子に向かい水ビームを案山子に撃ち込む。ど真ん中を貫いたのち水を剣に変え、風魔法で案山子に近づいた瞬間、斬る。

 案山子は斬られてから数秒経ったのち、半分に別れ地面に落ちた。


「どうです、これでもまだ不満ありますか?」


 村人達全員茫然としていたが不満はない様子。


「では早速山へ向かいますね」

「あ、ああ頼んだぞ」


 こうして巧達はバンデットウルフ討伐の為、村近くの山を登る。

そろそろ魔法にも変化ほしい所です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ