初めての共同討伐依頼
「今日はどうするの?」
「そうだな、リウスの戦闘も慣れた事だし、今日はギルドで依頼を受けてやってみようか」
現在、巧とリウス二人はギルド建物の前にいた。
ギルド入ろうとすると同時に、巧の後ろにリウスは身を隠す。
「シファさん怖い……」
会う度に何度も抱きつかれ、少し怖がっているようだ。
「まあ、シファもリウスの事が気に入ってるし、あの人悪い人じゃないからさ。だからすぐにとは言わないから、怖がらずに打ち解けてみたら?」
「…………」
(あの人リウスを見る目がある意味怖いのは同意だが)
ギルド内に入ると、リウスはシファが居ない事に安心し巧の横につく。
依頼が貼ってあるボードへリウスを連れて行き説明した。
「ここの羊皮紙で、気に入った依頼を見つけたら、受付に持っていき依頼受付完了するんだが……何か良い依頼あるかな?」
巧は鑑定をして依頼を確認すると、一つの依頼を見つけた。
「お、これは良さそう」
討伐 ★★
場所ルイット村にて十匹のバンデットウルフ討伐
討伐証明必要
期限 十日迄
達成報酬 銀貨 討伐数分での提供一匹に付き銀貨五枚
パーティとしても組め、ランクからしても十分に行ける範囲。
巧はこの依頼を外し受付に持っていく。
受付にはシファもメルエもいなく、他の受付嬢が受付をしていた。
「これを依頼受付してほしい」
「このバンデットウルフの討伐依頼ですね……、受付ました。そちらの方とパーティを組むのであれば、パーティ名。現在のランクをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
(受付の人によって変わるのか。それともただ単に忘れていたのか)
「名前は巧とリウス。俺は★三つ、リウスは★一つ。リーダーは俺でパーティ名か……、パーティ名は………『炎水』で。あとこの村に行くような馬車はないかな?」
パーティ名である炎水は、リウスと巧が得意とする魔法をただ組み合わせて付けた安易な名前であった。
「この村に行く馬車は分かりかねますが、この街にある商人組合の待機所にその村へと行く馬車はあるかもしれません。ですのでそこで一度お聞きしたほうがよろしいかと」
「わかった、商人組合行ってみるよ。それでその商人組合どこにあるの?」
「商人組合でしたら、街の玄関口の近くに設置してあります」
巧達は受付嬢に礼を言い、商人組合の受付へと向かう。
「ここが組合受付場所か」
組合の入り口には、プレゼント箱が描かれた看板がかけられている。
近くには屋根付き荷馬車がいくつか並び、商人らしき人物屯っていた。
巧は商人に行先を伝えるが、ランクの低さ、護衛としての実績不足、何より見た目の問題で断られる。
(さてどうしよう。場所もわかんねえし、金払って乗せてもらうか? タクシーみたいな感じになるし、それはそれで有りか)
そんな事を考えていると男の声が巧にかけられる。
「よう、タクミじゃないか久しぶりだな。こんな所で何してんだ?」
振り向くと、ハリトラスが相変わらず親指を立てていた。
「久々、いやな。依頼の為にルイット村まで行こうと思ったんだが、場所もわからないし。村まで行くのに乗せてくれる商人を探していたんだよ。それに今日はあの相方はいないんだな」
「なるほど、けど実績や見た目の問題で断られたと。それからあいつは相方じゃねえぞ? 依頼する時パーティになる回数が多いだけだ」
(ネットゲームの野良パーティみたいなもんか)
「ちょっと待ってろよ」
そう言うと、ハリトラスは離れた。
商人の一人に話をかけると、色々言いくるめて商人を連れてくる。
商人は根負けしたのか、村の途中までの護衛なら乗せて行ってくれるとの交渉をしたようだ。
「ありがとうハリトラス」
「良いって事よ、ちなみにそっちの子は初めて見るが強いのか?」
「ああ、紹介してなかったな。この子はリウス、同じ無詠唱使いの上に俺より炎威力は強い」
急に巧に紹介と褒められたのか、少し赤くなり照れていた。
「その子も無詠唱でタクミより強いって、お前水以外の魔法も使えるのか?」
「ああ、覚えたがそこまで強くないと思う。他の魔法使いに会った事もないから、どのぐらいなのかも判断できないけど」
実際会う事がなかったので判別ができなかった。
ただ一人を除いては。
「けどシファさんのは一度だけ見た事あるな。とても強力ぽかったが」
「あれは別物だ。流石にあの人と比べると他の奴等が霞んでしまう。それでもタクミは俺が見た中じゃ、結構強い部類に入るんじゃないかな? あの武器変身の水は相当強力だ。接近戦になると、次は油断せずにいけば五分五分ぐらいと予想しているが……」
(ふむ、シファは別物としてもこの世界の魔法使いはやっぱり気になるな)
「なるほど、参考になったよ」
「さあそれじゃ行こうか」
「あれ……? ハリトラスも一緒に行くのか?」
「おいおい、俺は別の依頼でベルチェスティア王国の城下町まで乗せてもらうよう交渉したんだ。道中の途中までタクミ達も一緒に乗せて行ってもらえるよう言ったんだぜ?」
「それは申し訳なかった。感謝してる」
「てなわけで行こうか」
巧達は乗せて行ってくれる商人の馬車に同乗して出発した。
また話数かかるかもしれません