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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
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物乞いコボルトと戦闘前

「まさか物乞いをするとは思わなかったよ。とりあえずは飯あげれば襲わないんだな?」


 よっぽど腹が減っていたのだろうか、コボルト達は頷く。


「リウス、このパンをコボルト達にあげてもいい?」

「うんいいよ。だけどタクミよく言葉わかるね」


 リウスには巧が魔物の言葉がわかる事やスキルについて、言う機会を逃していた為、まだ教えていなかったのだ。


「ああ、そういや言ってなかったな。人間魔物問わず言葉がスキルでわかるんだ」

「ならこの子達とも会話できたんだね」

「そ、だから腹が減ってるってのもわかったんだ。さあお前らパンやるぞ」


 巧は皿の上のパンを渡す。

 パンがコボルト全員にいき渡ると食べ始めた。


「本当必死だな」

「何だか可愛い……」


 コボルト達はパンを食べ終えるとまだそこに立っていた。

 何かを伝える為に巧達の前に来たのだ。


「何だ?」

『我々ト一緒ニ来テホシイ』

「何で行かないといけないんだ?」

『人間ガ我々ノ言葉ガ解ル、他ノ人間ダト我々ノ言葉ガ理解シナイ。ソレニ、今我々ハ困ッテイル。他ノ敵ニ襲ワレテ逃ゲテキタ』


 言葉の理解、普通なら言葉を理解するのは不可能に近い。

 言葉が通じないとなると相手とのコミュニケーションはとりにくい。

 例え人間同士ならニュアンスで何とかなる場合もあるが、種族さえも違う場合だとどうなるかわからないのだ。


「リウス、このコボルト達は魔物から逃げて困ってると、それを解決するには俺達の力が必要でやっつけてしいと言ってるがどうする?」

「タクミが行くなら私も行く!」

「ついて行くと危険かもしれないぞ? それでもいいのか?」

「それでもタクミが行くなら」

「……わかった。それじゃ行ってみるか、リウスつれて最悪逃げればいいか」


 巧は門兵のニスに同じこと言われたが、あの時と比べて今の巧ならあのゴリラ相手でもリウスをつれて逃げるぐらい容易であろう。

 巧は準備をするため収容空間から出した品を全てなおしてからコボルト達に向きなおす。


「それで、どこについて行けばいいんだ?」

『コッチダ』


(また森か、森に縁がよくあるな)


 巧達はコボルトについて行くと森の中へ入り、洞窟の入り口らしき場所へと到着。


『アノ洞窟ノ中ニ敵』


 洞窟の中は暗く準備もなしで入る事はできない。

 幸い巧は火と光魔法が使えるので、それを使用して洞窟内を明るくすればいいが火で松明を作っても暗い。

 光を照らそうとしても、どこまで奥行があるのかわからないため、光での進行は現状保留にしなければならない。

 更に洞窟内に潜む魔物と出会えば、確実に戦闘になるのと予想。

 出来るだけMPは温存しておきたい巧だった。


「うーん、流石にあの洞窟の中入ってまで危険をおかしたくないな。ちなみにあの洞窟には何が居るんだ?」

『トテモ強イ奴、我々デハ勝テナイ』

「もうちょっと詳細ほしいな、流石に倒すにしても情報なければ対応もきついし」

『トテモ硬イ体、爪モ長ク、全身ゴツゴツシテイル。我々ノ攻撃効カナイ』


(わっかんねえ……どうしよう……)


 曖昧な説明なので魔物の全体像が想像できない。


「あ、洞窟の入口の前で火で炙って出てきた所を攻撃すればいいのか。コボルト達は周りの燃えそうな物をあそこの入り口近くに置いてきてくれ。それを火につけて魔物をおびき出すから」

『ワカッタ』


 早速行動に移す。

 洞窟の入口近くにはコボルト達が集めた葉が山盛りに敷かれている。


「よし早速炙るか」


 火を起こそうとしても火が付かず、代わりにリウスが火を付けた。


「流石リウス。上手だわ」

「へへへ」


 照れるリウス、火で炙った煙は洞窟内に入っていく。

 洞窟内は煙で辺りが白く、暫く経つと地響きか鳴り地面が揺れる。

 揺れを察知する巧とリウス、それからコボルト達。巧は揺れに慣れている為か気にしてはいないが、リウスとコボルト達は揺れに敏感に察知し、慌てふためく。


「一旦離れるぞお前ら」


 巧の指示で離れ、少し遠くから観察すると、中から丸まったボールのような物が洞窟から飛び出してきた。

 洞窟の入口よりも小さいがそれでも大きい、リウスは出てきた物体に驚き、コボルト達は焦っていた。巧は出てきたボールが何か気づく。


「あれってもしかしてアルマジロか? 鑑定してみるか」


 名前:スティールアルマジロ

 年齢:205歳

 性別:男

 種族:鋼甲

 レベル:18

 状態:混乱


(流石魔物だけあって長生きだな。しかし魔物にも通用するとは、レベルは低いが俺等じゃ勝てるのか?)


『アイツダ、早クヤッツケテ』

「んー、悪いが堅そうだし俺等今回……」


 巧のその言葉にコボルト達は落胆の色を浮かべる。

 リウスはコボルト達とは真逆に巧に期待している目を向ける。


「……あのさリウスあれは危険だぞ?」

「タクミなら倒してくれる……」

「いやそれでも」

「タクミなら……」


 巧はあの時のデジャヴを感じ根負けし折れる。


「わかったよ、今回はリウスにも手伝ってもらうぞ? 流石に危険かもしれないから危ないと感じた瞬間、俺がリウスを無理やりにでも連れて離れる」

「うん!」


 巧の言葉にリウスは嬉しそうに頷いた。


「さてどうするか」


 外に出て落ち着いたのか、アルマジロは火が出た箇所を前足で叩いていた。

 巧はアルマジロを観察。


「外皮は硬いだろうし水ビームで貫けるのかな」


 巧の現メイン武器の一つである水ビームが効かないとなると、きつくなってくるが、それは巧一人の場合だ。今回はリウスが一緒にいる。


(まあ一番はリウスの火かな)


「よし俺がまず囮になって足止めするから、リウスは奴に見つからないように隠れて動き隙あらば強力な火を与える事。外れても続けて攻撃する、いいね? あとはコボルト達は俺達の攻撃に巻き込まれないよう離れてくれ」


 リウスとコボルト達は頷く。


「さて作戦開始といきますか」



どんな敵がいいかなと思っていたら何となくアルマジロが浮かび上がりました。

名前に関してもうちょっとカッコイイ感じが良かったんですがこちらも思い浮かびませんでした。


種族はアルマジロに関して色々調べてもRPG系はわからなかったのですがwikiみたら「哺乳綱異節上目被甲目」とあったので何となく鋼甲にしました。


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