表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
29/144

スライムと物乞いコボルト

「タクミいくね」


 リウスの目の前には一匹のゴブリンがいる。

 ゴブリンは棍棒を持ち身構えて、リウスをいつでも攻撃できる体勢。


『コンナ小娘ニヤラレテタマルカ!』


 そう言い放つと、ゴブリンはリウスに向かって突進して棍棒を振る。

 リウスはゴブリンの棍棒を目を閉じず杖魔祖で受け止め、止まった所を炎の魔法を放つとゴブリンは声をあげれずに一瞬で焼け死ぬ。


(思うんだが、魔力高くね?)


 ゴブリンを殆ど一撃で焼き殺してしまうのだ。

 リウスに魔法水を飲ませMPを回復させる。MPポーションでも良かったのだが、何故か巧と同じで回復速度が遅い。

 遅いだけで回復しないわけではないが、それでもMPポーション飲ませるよりかは、巧が魔法で出した水のほうがMP回復が早い。


「大分慣れたな」

「うん、最初は怖かったけど今じゃ安心して戦える。これもタクミのおかげだよ」


 そう、最初の頃はリウスはゴブリンを怖がり、魔法を撃つのもためらうほどだった。

 だが巧がリウスの前に出て見本を見せ、倒していくとリウス自身から倒してみたいと、はっきりした意思を巧に伝えてきたのだ。

 それからはゴブリンを相手にリウスは倒していく。

 ゴブリンの攻撃を危なげなく受けそうになる時もあったのだが、リウスの頑なな意思で巧の助けを拒む所も多々。その度に巧はリウスを見守る。


(ああ、本当に強くなったな……)


 巧はリウスの成長を実感していた。


「どうしたの?」


 リウスは巧の顔を覗いていた。その顔は心配するような表情で巧を見ていた。


「いや、何でもないよ。しかし成長したな。さっきより上手く魔法も使いこなせてたぞ」


 巧はトレン村でのリウスの事を思い出し今のリウスと見比べる。


「う、うん。巧が教えてくれたおかげだよ。だってここまで魔法を使えるとは思わなかったもん」


 笑うリウス。巧はリウスに魔法のイメージ、想像する事だけを教えただけだ。その後の努力はリウス自身が頑張って手に入れたものだが、リウスはそれでも巧の事を感謝していた。


「まあけど一匹だけだからいいが、これが二匹三匹となると周りにも注意しないといけないからな。油断せずにいけば問題ないが、それにあれ以上の強力な攻撃もほしいな」


 今の所一匹ずつなのだ、これが複数匹ならどうなるかわからない。更には炎が効きにくい敵にはどうすれば効くようにするのかも考えないといけないのだ。


「大丈夫だよ、炎を二つ作ってタクミがこの前したみたいにやっつけるから」

「まあ確かに今のリウスならMPに気を付ければいけるか」


 巧はリウスのMPを調べる為に鑑定する。


 名前:リウス・トラルスト

 年齢:15歳

 性別:女

 種族:人族

 状態:なし

 レベル:2


 いつの間にかレベルが上がっていた。

 ちなみに巧はこんな感じである。


 名前:山内 巧

 年齢:15歳

 性別:男

 種族:人族

 レベル:9

 状態:なし

 HP:290/290

 MP:200/200


(リウスのHPとMPがどうなってるのかわからないけど、レベル上がれば魔法を使いまくれるのかな?)


 巧はふと何かが視界で動いてるのを発見する。

 観察してみると、緑色でくねくねと動いている生物が動く。


「なんだあれ?」


 緑色のくねくねした生物は巧達にどんどん近付くと、巧はそれが何か理解する。


「スライムだ。リウス気を付けろ」


 巧は鑑定をして名前からしてもグリーンスライムと付けられてたので、スライムだと確信する。ゲームの序盤に出てくるRPGの定番の魔物、その魔物は弱く主人公達の序盤の経験値稼ぎ。

 しかしこれはゲームだけで小説などではスライムは恐ろしい存在、物理攻撃は無効にされ、生物を体内に入れ溶かし栄養源にするとも言われている。


(多分後者なんだろうな)


 巧とリウスは身構える。巧はスライムがいつ襲ってきてもいいように風魔法のを展開しようとしていたが、スライムは巧達の元へと行かず焼かれたゴブリンの元へと向かう。

 そして何を思ったのか、スライムはゴブリンの焼死体の上に徐々に覆い被さる。

 スライムはゴブリンを完全に覆うと、溶かしているのか山のようになっていたのが次第に小さくなる。

 そしてスライムはどこかへ行き、巧達の前から姿を消した。スライムが去ったあとのゴブリンの死体を確認しようとするが、ゴブリンの死体は消滅し存在が消し去られた。


「弱肉強食みたいなもんか」


 今まで殺してきた魔物を思い浮かべていたが、それらも全てスライムの餌にされたのだろうかそんな事を思う巧。


「なんかすごかったね」

「ああ、これで倒した魔物は放置していても問題ないわけかって……あ、なら素材とかその場で剥ぎ取らないとスライムの餌にされてしまうのか。気を付けないと」


 時間を確認すると昼の十二時を過ぎ。巧は収容空間から座る大きい布を下敷き座る場所を確保。地面に敷いた布の上にパンに挟んだ肉や野菜を取り出し皿の上に乗ると共にリウスと食事を行う。


「良いピクニック日和だな」

「ピクニック?」

「ああ、遠くに行ってこうして今みたいに外で食事をとって景色を楽しんだりするものだよ。流石に戦闘はしていなかったけども」

「ピクニック……えへへ、そう……だね。私こんな事できるとは思ってなかったし。今とっても楽しい」


 何事も初体験。全てが新鮮で楽しく嬉しいのか、リウスは自然と笑顔になる。


(子供ができて遠足とか連れて行ったらこんな感じになるのかな)


 巧は日本で三十歳になっても恋人もいなかったため、結婚もしていない。

 養子なども受け入れれるわけがなかったのだが。子供みたいな感じがするリウスを見て微笑ましく思えた。


「まあ今は練習も兼てみたいなもんだしここまでだけどまたもっと遠くまで行って景色見て弁当食べて楽しもうぜ」

「うん!」


 皿の上に乗っているパンを食べていると複数の気配を察知。

 気にせず食べていた巧だが、気配は確実に近づいて来てるのがわかる。

 座りながら撃退の準備をしていると、巧達の前にコボルトが現れた。見た目からして犬科の仲間、風上だからか鼻が利き、遠くからでも容易に発見されたのだろう。

 周りには木々があるが、巧達が休憩場所からすると発見されやすい。

 リウスと巧はいつでも動ける体勢に移る。

 

「どこか行かないと魔法で蹴散らすぞ」


 コボルト達は動かない、何かを考えるように巧達を観察していた。

 何故動かないのか、何か策があるのか、そう思考を巡らしているとコボルトの一匹は口を開く。


『人間……頼ム、我々ニソノ飯ヲ分ケテクレ………』


 物乞いをしてきたのだ。

スライム「ぷるぷる、僕は悪いスライムじゃないよ」

巧「でも経験値欲しいからごめんね」

 スライムは絶命した。


とまあ冗談で、あのゲームは最初にしたRPGなんですよね。当時はハマって楽しかったな~

本編で出てきたスライムですが最初は喋らそうかと思ったんですが、まあ口ないしいいかなって感じで喋らずに栄養を吸うだけにしときました。


あとまだ魔物は少ないですが街から近いですのでそこまで数多く現れないと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ