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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第二章
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リウスとデート回その1

まさかのデート回、思いつく限りで執筆していったらまさかこうなるとは。

 朝、それは太陽が昇り人々が活動し、大抵の冒険者にとっても行動を移す時間帯。そんな巧も朝に目覚め、朝食を食べている最中であった。

 隣には誰もいない……と言うよりも強制的に移動させていない、と言うべきだろうか。何故強制的になのか、それは――――


「やっぱり可愛い!」

「そうだねー、お人形さんみたいで可愛いね」


 馬鹿二人ロウナとエルに強制的に席移動させられ、攫われていたからであった。

 馬鹿一人イルベルは一人ポツンと座っている。

 イルベルは寂しさからか巧の隣に移動してきた。


「ははは、タクミどうだ飯美味しいか?」

「いや、美味しいには美味しいけど、お前あの二人をリウスにとられて寂しいからってこっちくんなよ」


 ハーレムをリウスに奪われ、話す相手がいないのか朝食をとる際、巧との交流も増えた。

 巧としてはイルベルよりも可愛い女性のほうが大歓迎ではあったのだが、周りを見ても女性はリウス達やアニスしか居ないので諦める。


「しかしまあリウスに怖がらず接してくれてる事には感謝するよ。あいつは村で孤独になってたから、こうして交流してくれるとはあいつにとっても良い経験だ」

「ああ、タクミの仲間だし歓迎しないはずないだろ」


 巧は困り顔になり助けを求めているリウスを見ていた。

 困っているとはいえ、どことなく楽しそうなのだ。


「おい二人とも、流石にそこまでにしないと嬢ちゃんが可哀想だろ。それに俺の料理が冷めちまう。とっとと食べな!」


 ウオルレットが一喝すると、馬鹿二人は大人しくなり食べ始めた。

 リウスも二人に続いてか食べ始めると、巧はその光景に温かい眼差しで見ていた。リウスも料理を食べているからか、巧と出会った時よりも少ししっかりとした体になっている。


「ありがとうウオルレット、あの二人は俺から言っても聞かないし助かったよ」

「おう、いいって事よ! それに俺が注意しないとアニスの奴が怖いからよ……」


 巧はアニスに視線を向けると、微笑んでいた。

 これで注意しなければアニスが馬鹿二人とウオルレットを怒るのだろう。


(ここのカースト制度的にはアニスが一番高いだろうな)


 そんな考えていた巧だが、イルベルが話しかけてくる。


「タクミ今日はどうすんだ?」

「ああ、今日もあいつらにリウスを奪われてると、いつまで経っても強くできないんだよね。リウス連れて外で練習しに行くよ」


 ここ数日間はリウスはロウナとエルに連れられて、外に出かけて買い物していた。

 女性三人同士での買い物、流石に巧もついて行くわけには行かなかった。

 帰ってくると、リウスは女の子らしい可愛く綺麗な洋服を着ていた。

 ここに来た時リウスは服が一着しかなく、あの村での事だろう洋服を数着何て贅沢はできなかったと予想できる。

 そんな気遣いからか巧は二人には感謝をする。

 ただしロウナとエルは実際どう思っているかは不明であった。


「ええ、何で外に行くの? 今日もリウスちゃんは私達とデートしたいー」


 ロウナはそんな事を言ってきた。


「流石にこう数日間もリウスを奪われていると何もできねえよ」

「けどそんな事言っててもこの服で外行って戦闘するの?」


 リウスの服装は現代日本でもコスプレイヤーが着てそうな、赤色のゴスロリみたいな服装であった。

 これから戦闘しますと言われると疑問に残るだろう。


「いや、お前らが買ってくる服装おかしいだろ? 何で戦闘に不向きな服装ばっかなんだよ」

「じゃあタクミがリウスちゃんと一緒に買って行ったらどう?」

「そうよね、そこまで言うならタクミがねー」

「はぁ……わかったよ、リウスと一緒に買うよ」


 二人はハイタッチしていた。

 そう、二人にハメられたのだ。

 今、リウスが着ている服装は二人に強制的に着させられていた。

 そうしないと、リウスは元のみすぼらしい服を着ようとするのだ。


 食事が終わり、巧とリウスは外にでる。

 歩行者数人の視線が巧とリウスに向けられた。

 巧はリウスを見ると恥ずかしそうにうつむく。

 リウスの頬火傷があるのと服の色と髪の毛の色が相俟あいまって目立つ。そんなリウスを見て巧はつぶやく。


「リウスは堂々としてりゃいいんだよ。可愛いんだしさ。それに頬の火傷何て気にしなければいいのにな」


 その言葉にリウスは顔が少し赤くなったが巧の方を見て微笑む。

 巧は気恥ずかしさを感じたからか、頬をかいた。


「行こうか」

「うん!」


 大通りを歩き、服屋へと到着。

 店内に入ると、巧はある事に気が付く。


(何かファスナーぽいのを付けた服を着た人が店内にいるような)


 現在、今いる場所は前に巧が魔法服を購入した店である。厳密に言えば巧が過去に着ていたジャンパーとズボン、それと財布を今の魔法服を交換したと言うほうが正しいだろうか。

 服屋の中を覗くと巧に魔法服を勧めた店長がいる。

 その店長の制服にはファスナーがこれでもかと言うほどに付けられ、目立っていた。


「おやおや? これはこれは、タクミ様ではございませんか」

「あれ? いつ名前言ったけ?」

「当店にご来店なさいました際に仰られたじゃないですか」

「ああ、あの時か」


 巧はこの店に来た際に名前も言ってたのを思い出す。


「あの後、タクミ様がお売りになられたジャンパー、それを参考にし作られた試作品が私が着ている制服でございます。あの後職人にファスナーとボタンを作らせまして完成しました」


 巧は前の制服を思い出す。

 今の制服のボタンの部分を外しファスナーを付けている制服を見ていたが、どうも制服がダメなのか違和感しかないのだ。


「大変言いにくいんだけど似合ってなくね? ここまでファスナー付けなくてもいいし。これなら俺が着ていたジャンパーみたいにファスナーを隠すようにボタンで閉める感じのほうが良いと思うが」

「なるほど! 大変参考になります」

「あとは、もし服だけじゃなく、ズボンや他の店と提供して合同で作るとかどうだろ?」

「提供し合同ですか? それだと取り分が少なくなるような……」

「いや、あくまで提供し、合同開発に成功すればファスナー元はあなたの店から作られた物だと言うアピールも兼てこう言った商品がありますよって宣伝するんだよ。そしたら普段こないお客もくるようになるかと思う」


 巧の世界でも服以外にもファスナーは付けられてる商品は数多くある。


「なるほど。わかりましたその案考えさせて頂きますね。所で今回はどのようなご用件でございましょうか?」

「ああ、今回はこの子の服を買いに来たんだ」


 後ろにいるリウスを前に出とリウスは困るように顔を隠そうとする。


「これはこれは、とても可愛らしい彼女様ですね」


 彼女と言われリウスは慌てて両手を前に突き出し否定するように手を振る。


「か、彼女なんて……違いますよ……」

「まあとりあえずこの子も戦闘するから動きやすい服が欲しいな」


 巧は気にせず店長に言うと、リウスは巧の顔を恥ずかしそうに見ていた。


「畏まりました。ではこちらにどうぞ」


 案内されるのは女性向けであろうコーナーが存在していた。


「こちらの服はどうでしょうか? 下はロングスカートですが踏まないように調整され、且つ動きに合わせるかの如くスカートがなびきます。更に貴族や冒険者ともに愛用される一品でございます」

「どうだ?」


 首を横に振るリウス。何点か見ていたが、どれも遠慮してるのか気に入ってはいなかったようだ。


「難しいな」


 店長は他に探していると、巧はとある服を見つける。

 黒色のドレスみたいな服だが全身フリルが付いており所々金属が付けられていた。

 リウスが着ているゴスロリとはまた違い上品さを漂わせている。

 触ってみるとまるで羽根のように軽く、リウスを見てみるとリウスはそのドレスみたいな服に見惚れていた。


「あの、これを試着してもいいかな?」

「おお、流石はタクミ様。それはタクミ様と同じ魔法の付与師がつけたドレスでございます。ドレスと言いましても戦闘でも使用できますので防御もかなりのものです。そして場所によっては、これを着て貴族様方のパーティーに参加されても違和感はございません。成長に合わせてこのドレスも大きさの変化がありますけど値段が少々張るのでもしお客様が着ると申し上げにくいのですが……」


 その言葉に巧は店長に圧力をかける。


「ヒッ!」


 店長はビビったがプロ根性なのか一歩も後ろに下がる事はなかった。


「わかった……買うよ。いくらだ?」


 その言葉を聞いたリウスは巧に対して必死に首を横に振る。


「いいんだって、リウスだって気に入った服は着てもいいんだぞ? あと悪いんだけどちょっと他に気に入ったのがあるかもしれないから店内見回っててくれるかな?」


 リウスは少し戸惑うが頷くとドレスを大事そうに持ち店内を見回って行った。


「さて、あのドレスかなり高いでしょ?」

「は、はいそうですね。金額にしてざっと金貨五十枚相当にはなるかと……」

「なるほど魔法の付与もついているからか」

「そう……ですね。あのドレスには巧様がお召しになっている付与と更には自動修復も付与に入っております。布も特殊で金属のも含めると相当……」

「なるほどなるほど! それじゃ金貨十枚でどうだ?」

「金貨十枚だと流石にお売りするわけには……」

「いやいや確かにそこまで値下げするのはあり得ないよな。ほらあのリウスの顔見てみ、あの顔してて断れるか?それにここで空気読まないとね。だからあとこれも付けて前みたいに、さ」

「こ、これは……わかりましたお売り致しましょう」


 インベントリから取り出したのは一つの宝石だった。あの洞窟で手に入れたお宝の一つである。

 巧が適当にぶらついた時に商人に聞いてみたら価値にして大金貨一枚は下らないとか。そのうち売るかもと言いつつも売らずにインベントリ内に放置してた。

 巧は以前衣服と関係ない財布も渡した覚えがあったので、これならいけるのではと思い渡してみた所見事予想は的中する。


(この店長価値わかってて良かったわ流石。まああの宝石は勿体なかったけどリウスが喜んでるならいいかな)


「あとリウスに合うラフな格好も欲しいな。あの戦闘ドレス以外のも」

「畏まりました。持ってこさせていただきます」


 服を受け取ったのち店内を見回っているリウスを見てみると、相変わらず大事そうにドレスを抱えていた。そのリウスに近づき頭に手を乗せ撫でる。


「さて、そのドレスとこの服はそのまま持って出るわけにはいかないしな、どうするか。このインベントリに入れるとドレスも悪くなりそうだし……」


 巧は考える。どうするかを、インベントリを触っているとある事を閃く。

 インベントリから一つの回復薬を掴み上げた。


(そうだ、インベントリを作ればいいのか。空間魔法ってやつかな? インベントリだから空間……棚? 入れ物? ……入れるイメージをしたほうがいいか……)


 巧は気怠さを感じ目の前の回復薬がどうなったかを確認すると消えていた。どこに消えていたかわからなく焦る。

 色々調べてみるとステータス画面の項目にアイテム欄が追加されてたのを発見する。そこを押してみると、現在の収納されてるアイテムが表示。

 更に詳しく調べてみると、ちゃんとイメージすればステータス画面でのアイテム欄を確認しなくても、入れたものならちゃんと取り出す事も可能。

 収納に関してはどれぐらいまで入るかは不明であった。


(インベントリとはまた別のインベントリか、収納袋ならぬ直接な収容空間って感じかな)


 巧はリウスからドレスを受け取ると収容空間に収納した。ドレスが消えた事により少し悲しい顔になったリウスだがいつでも取り出せる事を知ると嬉しそうな顔になる。


「さて服は買い終わったし次は靴だが……大丈夫か」


 巧はリウスの靴を確認すると、前にはなかったブーツを履いていた。あの二人と一緒に買いに行ったときに服と一緒に買ったのだ。

 現在時刻にして十二時過ぎ。


「飯にするがいいか?」

「うん!」


 満面の笑みである。

ちなみに本来なら戦闘練習回にするべきでしたが執筆していくうちにズレていきました。


しかし女性の服装でどういう文章でやればいいのか大変悩みました。次も悩みそうな感じです。



デート回1と2を繋げました。

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