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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第一章
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帰還

やっと一段落することになります。

 「洞窟内でも入口から魔物が入ってくるかも知れない」

 

 そう進言してきたのはイルベルであった。

 事実いつ襲われても仕方がない状態。戦闘が即座にできるよう巧達はローテーションで見守ることにしたが、何事もなく朝を迎える。

 巧は欠伸をしてまだ眠たそうな顔をした。

 日本にいたときは昼夜逆転生活をしていたのだが、そこまで堪える事はないはずなのだ。

 しかし、ここ数日ちゃんとした睡眠生活をしたためか、睡眠不足で眠たそうにしていた。このままでは支障きたす事も考え巧は目を覚ます魔法を試してみる。


(睡眠から回復させるってどうやるんだ? 目覚ましか? それともあのカフェインたっぷりな飲み物ですっきりさせるような感じか? あ、そうかあれだ)


 巧はある事を閃き、早速試してみることにした。


(えと、辛子……あとは刺激かな?)


 そう想像していた瞬間、巧は体をビクッとさせ、痛みを堪える顔をする。

 刺激が想像以上に強いのか目が涙目になる。

 そんな様子を見ていたロウナは慌てた。


「ちょっ! どうしたの急に、タクミ大丈夫?」

「ああ、大丈夫大丈夫、ちょっと目覚めの魔法を自分にかけてみたら思いのほか強くてね」

「そうなんだ、びっくりさせないでよね」


 笑うロウナ、そんなロウナを見て可愛らしいと思ってしまう巧。

 あの時止めず、そのままロウナを受け入れてしまっていたら、どうなったのかは神のみぞ知る所だろう。


「おーい、準備できたならそろそろ行こうか!」


 イルベルとエルは先に洞窟の外に出ていたが、大声で叫ぶことによって洞窟内で声が反響していた。


「行こうかタクミ」


 巧の手を取りロウナと一緒に洞窟をでる。

 道を歩いているが魔物達は一向に出てくる気配がない。


「まだここのボスは死んだ事、知らないから魔物達現れないのかな?」

「ああ、多分そうだろうな。野生だから気配は感じるはずだろうけど、それでも数日はここら辺はゴブリンもコボルトも来ないだろう」


 暫くし、森を歩いているが一向に街に戻る気配はない。

 地図はあるが確認しても方向性がわからないのか迷っているのだ。


「どうしよう……」


 不安だからか、涙目になってきているエル。


(どうするか、日本じゃカーナビの道案内があるから迷うことないと思うが、この世界じゃ厳しいよな)


「まだ時間はあるんだ、焦らず落ち着いて行こう」


 皆を落ち着かせる為にイルベルが言う。


「ロウナ、地図ってない?」

「地図? あるけどこの辺りはどこにいるのかわかんないよ。それでもいいの?」

「うん、試してみたいことあるから」

「わかった。渡すね」


 ロウナは地図を巧に渡すと、巧は地図を広げる。

 広げた地図は街の周辺が描かれており、城や村の印がありその印の下に小さく名前が書かれていた。


(大陸地図ではないんだな良かった。周辺地図で俺らがいる場所は)


 目を瞑り森の上を想像し、思い浮かべてから目を開ける。すると、地図の上には巧の居場所を知らせる”逆三角形”が浮かび上がっていた。


「今この辺だね」


 指をさした場所は街から遠くの距離を離れていた。


「ここなら歩けば数時間ぐらいで街につく。すごいぞタクミ!」

「やった!」


 喜ぶロウナ達。


(本当に万能だわ魔法って)


 巧の案内通りに進んでいくロウナ達、数時間したのち街の壁が見えてくるのを発見する。


「もうすぐ街だわ。タクミやっと帰れるね」

「やっと街か、帰ったらゆっくりしたいな」

「確かにそれは賛成」


 巧の意見に同感するロウナ達。


「まあ一応ギルドに報告しないとな。悪いがタクミも付き合ってもらうがいいな?」

「仕方がないなー」


 本来ならさっさと宿に戻り、ゆっくりベッドの上ゆっくりしたいのだが、報告をしなければいけないのだ。巧は仕方がなく頷く。


「悪いな」


 街の門へと到着すると、門番のニスが出迎えてくれた。


「タクミとロウナじゃねえか、昨日から帰ってきてなかったし心配してたんだぞ? 無事だったんだな」

「ああ、心配かけて悪かったな。ロウナの仲間は無事見つかったよ」


 イルベルとエルに視線を移すニス。


「そりゃ良かった。さあ受付するからドッグタグ見せてくれ」


 無事入場受付をすまし街に入る巧達、街は巧達がいなくても活気ついていた。

 巧達はギルドへと入るとイルベルが受付嬢に話をする。今回はシファが受付にいた。


「ギルド長に報告したいことがあるが、いいか?」

「どのようなご用件でしょうか。ギルド長も忙しい身なので簡易的な要件なら私達が受け付けます」

「ああ、ちょっと”白い魔物”の事でな、俺らはあいつにさらわれた。あとこいつも精算しといてほしい」


 白い魔物の単語が出た瞬間、シファとその周りの受付嬢の顔色が変わる。


「わかりました。バックパックはそちらへ、私はギルド長に報告しますので少々お待ち下さい」


 シファが受付から離れて数分が経ったのち、シファが階段から下りて巧達に近づいてきた。


「ギルド長がお待ちです、三階扉の一番右端にある扉から入って下さい。更にその奥にある扉を開けばギルド長がお待ちしております」

「ああ、ありがとうな、じゃ行くぜ」


 部屋へ行く途中巧はロウナに一冊の本を取り出し渡す。


「悪いけど、何だか嫌な予感するから、これをインベントリ内に入れてくれ。出してほしいって指示しても断ってくれ」

「ん、わかった」


 巧達はシファの指示通りに進み、扉をノックしたのち開け、中にいるギルド長と面会する。


「やあ、君達があの白い魔物と対峙した冒険者かね? 初めましてと言うべきかな。私はウエルトロス・ファミルナントだ。よろしく。」

「ああ、俺はイルベルこっちの弓使いがエル、そっちの剣士がロウナで魔法使いがタクミだ。まあ詳しく言えば、俺とエルは攫われ、タクミとロウナが倒したんだがな」

「ほう」


 ギルド長は巧とロウナに視線を移す。視線を受けた巧とロウナはギルド長の視線というよりも、その眼に対して違和感を感じた。


「君達があの白い魔物と対峙したのかい。白い魔物は一匹と思っていたが……、まあ何故その魔物と対峙しようと思ったのかを聞かせてほしい」

「対峙しようとは思っていなかったよ。白い魔物は俺等も一匹だけで、それを黒鉄の刃が倒したって聞いていた。だから、安心してイルベル達を探しに行っていたんだ」

「なるほど、それで旅の途中で白い魔物と遭遇したと」

「そうなるかな」

「しかし君達は何故、白い魔物と対峙して生き残ったんだ? あの魔物は少なく見積もっても★六つか七つ相当の実力はあってもおかしくないはずだ。正直言えば、君達のランクなら死んでもおかしくはない」

「確かに俺達も会った瞬間、死ぬ覚悟をしたよ。けどあの魔物は大怪我と言うより大火傷を負っていたのが、幸いしていたんだ」

「大火傷か、なら会った時はその魔物は弱っているわけか」

「そう、だからギルド長なら俺の魔法知ってると思うけど、ロウナの剣と俺の魔法で仕留める事ができた」


 ロウナは巧に視線を送るが巧は視線を無視する。


「なるほど、君の魔法は大変興味深いからな。メルエから聞いた時は正直、疑ってしまったりするよ」

「まあ俺の魔法は、他より少しおかしいらしいからね。そう思われても仕方がないか」

「で、その魔物は今どこにいるんだい? 持ち帰ってないのかな?」

「ええ、持ち帰っていないよ。あの時、俺達必死だったからね、更にはどこで戦ったのかもわからない。もしかしたら開けていた場所にいるかもしれないが、よく覚えてないよ」

「そうなのか。気になったりもしたがしょうがない。攫われた君達二人にはどうやって会ったんだい?」

「ああ、戦闘が終了したあと暫く歩くと、洞窟を発見したんだよ。その中に入ってみたら、イルベル達がいて再会できた」

「ああ、その後は」


 イルベルが喋ろうとした途中、巧は咳ばらいをしてイルベルの話を中断させる。


「ああ、イルベル大丈夫。その続きも俺が話すわ」


 何かを感じとったのか、イルベルは頷き黙る。


「すいません、イルベルと再会したあと俺達はそこで一泊。その後に、外に出てから街を数時間かけて戻ってきて、今に至り以上です」

「なるほどそうなのか。その魔物に倒された冒険者は数多くいるとは聞いているがこちらでは判断しにくいのだよ。その冒険者の死体。現状確認できる遺品とかないかな?」

「ああ、遺品は色々あったな。冒険者の死体は、あのゴリラが食べたのか捨てたのかしらないが、なかったな」


 イルベルの言葉に頷く巧達。


「そうか、悪いんだが確認してもいいかな? 念の為に」


 ギルド長の言葉に巧達は持っていた遺品を出す。

 インベントリの中身も出してみると結構入っていたが、あの洞窟で取ってきた物だけを出し全て確認する。

 ただし、ロウナは巧が事前に話していた本だけは、インベントリから出さなかった。


「確認できたので、これら全てあなた達に差し上げる事を承諾しよう」

「ありがとうございます!」


 出した物は部屋がごった返していたが、全てインベントリ内にしまうと部屋はすっきりした。


「君達がいたあの森へと他冒険者を派遣して探させ、白い魔物が発見したときは随時報告しよう。その時は別途報酬もだそう」


 ギルド長の言葉に喜ぶ巧達。


「ああ、それなら俺とエルは報酬なしでいいよ。活躍したのこの二人だし、それに俺達はこれが手に入ったわけだ。いい収入になった」

「けど」

「いいんじゃない、あなたたち頑張ったんだしね」


 イルベルとエルはそう言うと巧とロウナは頷く。


「他になければ行っても大丈夫だ」


 扉を出ていく巧達。


「あれはなかったか……あの子たちを拘束しなくてよかった」


 ギルド長は一人ソファーに座り呟く。



 巧達は階段を下りている。


「何でギルド長に嘘ついたの?」

「いや嘘はついてないよ、ぼかしただけだって。けど、まあ何でだろ? ギルド長に違和感みたいなの感じたからかな」

「ふーん」


 ギルド受付前に到着するとシファが立っていた。


「これが今回の報酬です」


 ゴブリン収入とコボルト収入からか銀貨四枚を受け取り、ロウナと折半する。


「さて宿に戻るか」

「賛成」


 イルベルがそういうと皆頷きゴブリン亭へと戻る。

 ゴブリン亭へと戻った巧達は、ヴォルゲット夫婦に心配かけていた。


「無事帰ってきて良かったな!」


 笑うウオルレット、泣きそうになるアニス。

 こうして巧達の平穏の日々が戻る。


 時刻は二十二時。

 巧はロウナから返してもらった本を読んでいた。

 この世界の文字は読めなかったが鑑定により普通の本として読める。

 その本に載っていた内容はこう書かれていた。

 とある国でのあり方と人体実験、禁忌と思われる行為など。

 とてつもなくひどく目を背ける内容だが巧は本を閉じ、その本をインベントリ内にしまう。

 巧はベッドから立ち上がり何を思ったのか




「よし、見なかったことにしよう!」




 この一言に尽きる事にした。

あの本による内容ですがこれもいつか執筆できたらなと思います。


こう執筆してきましたけど広がりすぎてしまったためちと今後が大変です。


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