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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第六章
136/144

視察と作戦

今回は短めです


 森林街道を抜けると、平地を進む兵士の大群を視野に入れる。

 馬を止め、降りた巧とウエインは素早く木の陰に隠れ、軍隊を視察する。

 まだ時間があると踏んでいた巧は予想が外れたのか眉を上げた。


「まさかもう、テルヌス帝国がここまで来ていたとは。遭遇するにしても早すぎだろ」

「ああ、だけど予想はできていたのかもな。どうして災厄の魔女とルルシやマグワイアを先行させたのか。そして途中にいたあの兵士達がいたのか」

「つまりはこっちの進軍するのが遅すぎたって事か」

「逆に言えばそうなるように予め見越し、帝国側がギリギリに宣告したのかもな」


 賢いやり方だ。そう巧は思った。

 状況、手段から考慮したとして、あと一日でも遅けをとっていたならば、まず間違いなく帝国は王国へと攻め入られてただろう事が見受けられただろう。


「しかしどうすんだ? こんな大群を相手だと流石に一苦労だろ」

「確かに……ならあいつ等の鎧を奪って紛れ込むか」

「紛れ込むってどうやってだよ。あんだけ大群だと奪う前に見つかると意味ないぜ?」

「そうだな……ならこうするか」


 何かを思いついたのか、乗ってきた馬に、水を集めると次第に人の形となす。

 巧は収容空間に手を突っ込むと一枚の布切れを掴み人の形をいた水に布をかぶせた。

 するとウエインは感心するようにいう。


「すげえな、まるで人が乗ってる風に見える。まるで水人形だな」

「こいつを誘導し数名おびき寄せる」

「ただ一体じゃきつくねえか?」

「ああ、こうして複数体創り出す」


 ウエインの目の前には馬に乗っている人の形をした水と同様に五体の水人形が現れた。

 巧は手を前に差し出すと、馬を先頭に後続には水人間達がテルヌス帝国兵士へと突込みをかける。


「これで相手が釣られればこっちへ向かってくるはずだ」

「いけるのか?」

「見てな」


 向かっていく水人形達はテルヌス帝国兵に気づくと、合図とともに複数の矢や魔法が放たれ始める。

 矢は貫かれるがすり抜け、魔法も同様に水人形の身体を貫くがすぐさま修復し戻る。


「目の前にこんな敵と遭遇するとは思ってなかったからか、焦ってるぜ」

「ああ、これであいつ等が何人か動き出せばって、釣れた」


 テルヌス兵騎馬部隊数名が大群を抜け水人形の元へと向かう。

 水人形はテルヌス兵に追いつかれると剣で斬り裂かれ、跡形もなく消え去った。

 馬に乗っている水人形は兵士を乗せた馬を連れ巧達の方向へと引き連れていた。

 誘導に成功したのか部隊とは離れ数名が巧達の方向へと向かってくる。

 水人形を乗せた馬を先頭に、後方からは馬を止めず次々と森の中を入り始める。

 兵士の一人は水人形に追いつくと、剣で布ごと斬り裂く。


「へへっ、やっと仕留めたぜって、あれ? 斬った感触もない。こいつもあれと同じって……あれ? どうして俺は地面に……」


 兵士達の首と胴体が次々と切り離され、地面に落ちる複数の首。

 未だ走りだしている馬と、その上に乗っている首から上が無い複数集団。

 見ようによっては首なしライダーともデュラハンのようであった。


「落馬した兵士を捕まえたぞ」


 巧の前に連れてこられた兵士はウエインに槍を突き付けられていた。

 兵士は軍隊のほうへと視線を向けるが、奥まで来たのか後方部隊から離れ更には森林にて見えにくくなっていた。

 一人きりで捕らえられた兵士は絶望の表情を向ける。


「さて、時間はない。簡潔に教えてほしいのだけど、あんたがいた部隊。何名いて、編成がどのぐらいか、規模はどの程度かを教えろ。お前の返答次第で生かすか殺すかわかれるがな」

「こ、答える答えるから殺さないでくれ! 規模は三百程度。俺がいた所では中隊だが、後方にて大規模部隊が待機してる」

「その中に火の呪い子である少女はどの位置にいるんだ?」

「後方部隊と聞いているが、正確な場所まではわからない」

「そっか、なら最後に俺は誰だかわかるか?」

「わからない……」

「ならいい」


 巧は兵士の顎を殴ると、兵士の意識は飛び気絶した。


「こいつの装備を剥いで紛れ込むぞ」

「いいが、紛れ込んだあとどうするんだ?」

「どうするかか、そうだな。なら俺の指示に従ってくれウエイン」


 フードを被る巧は口元は口角を上げ、視線の先は平地を進む軍隊へと向けられていた。


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