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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第六章
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侵攻開始


 大人数が重なり軍靴の足音が周囲に鳴り響いていた。

 上から見下ろせば、訓練を怠ることのなく隊列のを崩さないよう綺麗な進行に見えるだろう。

 その中で指揮をとるのはアンドレア、そして進軍している司令塔のフェス。

 この二人が主軸であるが、他に数人の軍人貴族がそれぞれの部隊指揮のもと行進している。

 各部隊には一個師団ともなる大部隊、そして部下がつき、今回参加した冒険者達はそれぞれに後ろへと隊列をなして歩いていた。

 馬車は存在するが、一部以外の馬車には遠征の際に伴い、天幕てんまくを張れるようにするためのテントや支援物資などが詰められている。

 ここらは前回の魔物の軍勢での経験が活きたと言っていいのだろう。

 ベランジェが宣戦布告をしてから丸一日が経過した時刻、ベルチェスティア王国を統率し軍隊が作られ、王国軍としてテルヌス帝国へと侵攻を開始する。


 現在行進している部隊は全体で約五万といるものの、これらはまだほんの一部。

 王都にはまだ十二分に余力は残していた。

 だが、全員を出兵しては本土の守りが薄くなり他諸外国から攻め入られたら元も子もないからだ。

 ベルチェスティア王国内の属している街や町などからも、兵士や冒険者が出兵すれば更に人数は多くなるだろう。

 勿論、王国内だけではなく同盟諸国に要請すれば更に戦力は上がる。

 それほど総戦力で今回の戦争を終わらせようという魂胆が見えていた。

 しかし王国軍とて馬鹿ではない。

 正面から突撃すると呪い子により確実に返り討ちに遭うのは目に見えていた。

 この場にベランジェやホルズいないのもこのような考えがあっての事、逆に言えばこの軍隊が何かあればすぐに別の対策を講じることができるからである。

 フェス率いる王国軍は間もなく平原を歩き終え、森林地帯の入り口に間もなく到着する頃。


「全体止まるんだ!」


 フェスは全部隊を止めるように指示をだした。


「フェス様どうなされましたか!?」

「ひとまずここで休息に入るため停止する。他部隊の様子もあるが、今は休める時に休むのが先決だ」

「なるほど」

「それと今後の展開としては、特殊部隊含め先行部隊を出し様子見をする。高受声石を出してくれ」

「はっ!」


 フェスは進行方向へと視線を戻した。

 目先に広がる森林に険しい山々。

 フェス率いる王国軍はベルチェスティア王国を出陣してから、平原を歩き渡っていたがそう長くは続かない。


「このままだと山を越える事は難しそうだ」


 ぽつりとフェスは呟く。

 森林も山もそこまで高く広くはなく、テルヌス帝国までの道は開拓され、歩き渡るには問題はない距離である。

 問題があるとすれば天候のほうである。

 曇り空で覆い陽光は遮られ、薄暗い状況。

 薄暗い状態での山道を歩くとなると屈強な兵士とは言え、敵兵以外にも森林や山には魔物の存在での危惧せざるを得ない。

 フェスはどういう侵攻で行くかを考えていた所、兵士の一人が高受声石を持ちフェスへと渡す。


「ご苦労。下がり他部隊にも同じように休息の伝令を伝えよ」

「はっ」


 フェスが手に持っているのは、十センチほどの球体で光を帯びた水晶。

 その水晶に語り掛ける。


「あーあー、フェスだ。特殊部隊指揮隊長ヤマウチ・タクミ、聞こえているか?」

『こちら特殊部隊指揮隊長山内巧。感度良好。聞こえております』

「現在、我が軍隊はテルヌス帝国へ向け侵攻中だ。だが、まだ到着でもなければ交戦の気配もない」

『そのようですね。今、私達がいる位置からでも交戦による音もなければ緊張感はありますが緊迫感はありません。皆、一様に侵攻を止め休息をしているようですが』

「そうだ。いつ敵がいつ来るかわからない現状、一度ここに休息をとっている」

『なるほど、確かに相手が未知数であり敵の呪い子も含め、このまま攻め入るのは得策ではない……と。そこでこの森林に入る前に開けているこの場所で、もしもの場合は迎え撃てる寸法ですか」


 相変わらず巧の勘の鋭さに驚きつつも、フェスは口元が上がる。


「まさにその通りだ。だが、このまま長時間ここで休息、停止するわけにもいかない。そこで、貴君ら特殊部隊には索敵さくてき、探索し危険と及ぶ魔物と敵兵がいれば排除をせよ」

『索敵というと、敵がいるかどうかでしょうか? それとも敵国まで攻め入り偵察をしてこいと?』

「敵国までと言いたい所だが、距離がまだある。貴君らにおいては現状、この森林の周囲を見回り軍の侵攻の安全確認、確保をして来てほしい」

『なるほど、確かに敵兵がいた場合迎え撃たれる可能性があるわけですか。しかしながらこの広さ。我々だけの少人数部隊では足りないのでは?』

「それには及ばない。少なからず私の知る限り、貴君らの索敵能力はベルチェスティア王国の兵士含め冒険者の中では群を抜いて優秀だ。下手に人手を増やした所で悪手になりえると思うが」

『そうですか……それについては了承しました。ですが、この森を越え山を越えずとも回り道をする手立てもあるのでは?』

「それは容認できない。テルヌス帝国は着々とこちらに向かってきているかもしれないのだ。敵国との接触まであと数日とは言え、時間を今以上に掛からせることはできない」

『……しかし、あんぜ……いえ、畏まりました。では、私達はこれより索敵行為に移ります』

「ああ、よろしく頼む」


 それ以降返事がない高受声石を兵士へと返すと、フェスは空を見上げた。


「雨が降りそうだな」


どういう風に話を進めるか、どういう隊列で侵攻していくかを悩みつつ書いてみましたが、あんまりうまく行かない感じですね。

大規模で動かす感じを書こうとすれば違和感が生まれ、小規模にしようとしても戦争だしおかしくなるなって・・・

上手く表現できてる人は羨ましいです。


それにしても3ヶ月も開くとは思いもしませんでした。次はもっと早めに投稿できたらいいなぁ・・・

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