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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第五章
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テルヌス帝国の歴史

 巧はハリトラスとルフラを除くメンバーとともに雑談にふけっていた。

 テーブルの上には紅茶が人数分置かれ、巧は一口飲むと驚く。

 茶葉の香りが鼻腔びこうを通りぬけ、口に含むと仄かに甘みが味わえ、幸福感に満たされた。


「この紅茶美味しいな」

「うん。何だか甘くて美味しい」


 リウスも巧と同意見なのか、頬を緩まして飲んでいた。

 そんな二人に嬉しそうに微笑むルイス。


「お褒めの言葉ありがとうございます。皆様方が飲んでいただいたのは、昨日市場にて良質の茶葉を見つけたので購入したものです」


 巧は紅茶を一気に飲み干すと、ルイスは察したように、空になったカップにティーポットに入っている紅茶を注ぎ込む。


「そういえば、テルヌス帝国との戦争は聞いたけどテルヌス帝国自体の歴史に関して知りたいや」

「あれ? 巧は知らないのかい?」

「ああ、勉強はしてこなかったからね」

「へえ、意外だね。冒険者とはいえタクミは結構良い所の貴族として育てられてるから、歴史も教えなくてもいいほどに完璧だと思っていたよ。それでも冒険者として認めるって、タクミの両親は理解ある人物なんだね」

「そんな大層なもんじゃないよ。俺は極々平凡な家庭に生まれ、極々平凡な人生を歩んできただけ。でもこの世界に来てからは、その平凡を捨て日本(故郷)を捨て生活せざるをえなかったからね」


 日本の教育や文明からしても、この世界と比べれば裕福なのは実感していた。

 だが、どうして巧がこの世界に来たのかと言う状況説明はしずらくもあり、日本に帰る考える余地は今の所巧にはない。

 仮に日本に戻れる手立てが存在するとしても、その時はどうするかは不明である。

 シロやリウスは何かを言いたそうであったが、追及する様子はなく口をつぐむ。


「それはさておき、今は俺も関わる以上知識として知る必要性もあるし教えてほしい」

「……わかった。なら三百年前のテルヌス帝国の出来事から――――」


 テルヌス帝国は国土にいる大衆を含め、約七百万人ほどの大陸第四位。

 歴史的には浅く元々小国であったが、周囲の小国や民族を取り入れた。

 不特定多数の民族や国家が集まるのだ、国内で争いも起こるのは本来なら必然。

 だがこの時、大規模な内乱に至るまで発展しなかったのは、歴史上に表沙汰になる前に収める人物がいたと言われている。

 そうして建国したのが今のテルヌス帝国である。

 この国は過去二度において、近隣諸国へと戦争を仕掛けにいった。

 それもそのはず、テルヌス帝国自体海沿いに面し国土が広がっているため漁業は盛んであるが、代わりに陸地での取得資源割合が低い。

 そのための植民地を広げるため、国土を広げるための侵略戦争とも言える。

 一度目の侵略戦争はルイン帝国。二度目がベルチェスティア王国であった。

 ルイン帝国においては勝利したため、領土を奪う事に成功し拡大するが、ベルチェスティア王国との戦争では敗北を期して、領土を一部逆に取られたことになり終戦を迎えた。


「大体こんな感じかな」

「なるほどね。ちなみに第四位とあったけどテルヌス帝国とベルチェスティア王国以外にはどんな国があるんだ?」

「第一位サールラウ皇国、第二位メルリス王国、第三位ベルチェスティア王国、第四位テルヌス帝国、そして第一位のサールラウ皇国の庇護下に置かれているデルス神国の計五ヶ国がこの大陸を占めるね」

「大陸を? 大陸と言えばもっと多くの国があるイメージだったけど少なくない?」

「大陸といってもまだ他に諸外国があり、今あげた五国は南大陸だったりする」

「つまりは今争ってるのはこの南大陸での出来事なのか……」

「そうだね、北大陸や中央大陸の含めれば大小関わらず二十の国があると思っていいかな」

「まじでか……」


 大陸全土また世界大陸での出来事ではなく、これがいち大陸での争いごとなのだから愕然とする。


「ちなみにこのベルチェスティア王国はどの辺りなんだ?」

「この国は中央大陸に近い、南大陸と思えばいいはず」


 同盟国から手助けがあるとはいえ、もしも中央大陸や北大陸からの軍事的侵攻が起こればどうなるかわからないだろう。

 それだけこのベルチェスティア王国は危ない橋にいるのだ。

 だが逆にそうさせないように強固な守りで徹してるともいえた。


「それでこの国はどうするんだろうな」

「どうするって?」

「テルヌス帝国を払いのけたあと大陸統一でもするのか?」

「んー、それはわからないね。ただ現状はテルヌス帝国は自国の領土を広げるって名目上の理由があったからね。この国ではそれがないと思う」

「それにしても三百年前程度で吸収合併するとか、出る杭は打たれそうな気がするけど」

「当時の事はわからないけど、国を統一するに優秀な人物がいたんだろうね」

「ちなみにヘルデウス、その歴史話はこの国に伝えられた事なの?」

「ああ、ルイスやその他の学者に家庭教師として学ばさせてもらったので間違いはないよ」

「そっか……」


 ルベスサは紅茶を飲みながら何かを考えるように、明後日の方向へと向けていた。


「ルベスサどうした?」

「あ、ああ、いやその話で出てきたテルヌス帝国を統一した人物。その人は今でも生きているって噂は、僕がテルヌス帝国で実験する側に回っていたときに聞いたことあるのを思い出してね」


 巧はルベスサの言葉に内心驚いた。

 帝国は建国してから三百年という歳月が流れ、それでも尚生きているとなるとエルフなどの長寿生物なら納得する。

 だが果たして、昔の惨状で三百年をも何事もなく、生きながらえる事ができるのかはまた謎であったからだ。


「まあそんな人がテルヌス帝国をまとめあげてるかと思うと、敵だとしても少しは会って話してみたいかもな」

「どうして?」

「考えてみろよシロ。一国を導くってことはかなりの労力が必要なはず。それが今尚滅ぶことなく存続できてんだからすごいと思うよ」


 騎士道精神などではなく、巧は純粋に相手を評価し称賛する。

 そんなシロは微笑みながら巧の頭を撫で始めた。


「そういう所はやっぱりタクミはタクミだね」

「どういうことだよシロ」

「ううん、気にしないで、うふふ」


 巧はどこか不服そうな顔をするが、撫でられてる手を払いのけ溜息をつくと紅茶に口をつけた。

 冷めていても味は変わらず口に含むと甘みが広がり、喉に流し込んだ。


本来ならこの話はもっと早い段階で主人公の巧が自ら書庫などで調べるって感じで出してたほうがよかったですね。

もう少しいい感じに歴史をかければなと思いましたが思い浮かばず・・・

あと、大陸名も早い段階でつければよかったかなと思いながらも、もう北大陸、中央大陸、南大陸の3別けでいいかなって思いました。

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