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神隠しによる放浪記  作者: レブラン
第一章
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お風呂回

主人公のだけどね

 ステータス画面が光っていたのか、作業に集中していたからか、外が完全に暗くなっているのに気が付かついていなかったのだ。

 部屋を見回すと薄暗いが机の上に一部、発光塗料みたいに光ってる箱が発見する。蓋を開けてみると中には小石ぐらいの光ってる石が複数個あり、一つを取り出す。鑑定すると[光石]と表示されていた。


(この石を使って部屋を明るくしろって事か)


 石は一つだけじゃそこまで部屋を照らさないが、複数個を机の上に置くと部屋が明るくなる。


「これで大分明るくなったな」


 多少隅っこや机の陰になっている部分はあるのだが、部屋での支障をきたすことはない。


「腹減ってきたな」


 腹の虫が鳴るのに気が付くと、机の上にそのまま光石を置いて一階に降りる。

 賑わっているのか人々が飯を食べ雑談をしていた。冒険者の宿なのか席の半分は埋まっている状態、巧は座れる場所がないか探してみたが複数人が座るようなテーブル席ばかりだったためカウンター席へと座る。


「お、今回はちゃんと来たな」


 巧を発見するとおっさんは近づいてきた。


「流石にあの時みたいに疲れきってるわけじゃなかったしね」

「そうだな、流石に二日も連続で出てこなかったら叩き起こしてでも食べさせてやるのにな!」


 笑いながら背中を何度か叩いた。

 強めに叩かれたのかHPゲージが少し減る。


「それで何食べるんだ?」

「えと、おすすめの食べ物で」

「わかった、今作ってやるよ」


 巧はテーブル席にいる客を見回した。

 食事処には十人はいただろう。それぞれテーブルにある食べ物を飲食し、中には肩を組んで歌ったり、腕相撲をしたり、ばか騒ぎしてる人もいる。その中にあの井戸で会った女性はいなかった。


(そういや人には鑑定使ってなかったな。やってみるか)


 テーブルに囲って食べていた一人の女性を鑑定してみる。


 名前:ウエル・ヴィルティン

 年齢:23歳

 性別:女

 種族:人族

 レベル:8

 状態:酒酔い


 ステータスを開くと確認でき、巧はある自分自身のステータスとの違いに気づく。


(なんでだろ? 鑑定使いまくればそのうち他も見えてくるのかな? しかし個人情報ダダ漏れだなこれ。女性は年齢を誤魔化せれない天敵スキルか)


 そんな事を考えていると目の前に料理が置かれる。

 料理は野菜炒めに肉の炙焼きにスープ、ここに到着して初めて食べた料理が並んでいた。


「待たせたな、これがうちの一押し料理だ。ゆっくり食べな」


 料金を渡し目の前に並んでいる料理を食べ始める。

 食べながら、おっさんに鑑定をかけてみた。


 名前:ウオルレット・ヴォルゲット

 年齢:33歳

 性別:男

 種族:人族

 状態:なし

 レベル:34


 あの貫禄で三十代、レベルも高めの34。

 しかし、先程鑑定した女性と同じで見えないステータスは同じであった。


(見た目は四十代ぽいのに苦労してんだな)


 ウオルレットの奥さんにも鑑定する。


 名前:アニス・ヴォルゲット

 年齢:33歳

 性別:女

 種族:人族

 状態:なし

 レベル:33


 こちらも同じ三十代。


「そういや、風呂ってあるの?」


 巧はこの異世界に来てから風呂に入れてなかったからか、流石にそろそろ風呂に浸かりたい心境ではあった。


「風呂か、他にも要望が多かったからな作ってあるぞ。あの階段の隣に扉があるだろ? そこが風呂だ。利用するなら銀貨一枚必要で井戸の水で風呂に溜めろよ? 火石を渡してやるが入れれば温かくなるから調節は自分でしな。暫くすれば火石は溶けてなくなるから捨てなくてもいいぞ」

「おお! 入りたい!」


 風呂、日本人としてはなくてはならない存在。

 風呂に入らない人もいるが巧はそのような事はなく、むしろ風呂は好きなのだ。その風呂に入れるなら至福のときでもあるだろう。

 晩飯を食べたのち代金を払う。


「ほれ火石とタオルだ。タオルは箱の中にいれてくれればいいから」


 渡された火石数個とタオル。

 火石は光石と違って少し大きめだったが複数個ある。タオルも水を吸いそうであるのと同時にわりとふかふかしていた。


「それじゃ行ってきます」


 風呂へ向かうと中には一人が楽々入れるスペースがあり、床は土で一部にはベニヤ板と箱が置かれていた。店の床より少し深めであったのは風呂から水があふれても店内に水が入らない考慮だろう。外に繋がる扉もあり、その先に井戸もあったが幸い巧には水魔法が使用可能だ。

 巧は風呂の中に水を溜め、火石を入れた。風呂は湯気がでてきてくると丁度良い温度になる。

 箱に衣服とタオルをかけて、風呂に入る準備をしたが桶がなかった。


(桶がないって事は直接入れって事なのか)


 巧は水魔法を使い身体を洗う事にした。洗い終わった水は外に捨て、冷たくなった体を風呂へとダイブする。


「くあぁ~、やっぱ風呂は最高だ!」


 水で冷たくなった体に芯から染み渡るのを巧は感じる。

 温かくなる体、肉体的精神的にも疲れがとれるであろう。


(下着どうしようこのまま履くか? いや汚いな……あ)


 脱いだ下着を手に取り見ていた巧、下着と一緒に持っていた靴下が湯に浸かっていたのに気が付き慌てて拾い上げる。だが靴下は完全に濡れていた。

 乾かす事ができないかと考えていたらある事を思いつく


「乾燥させれば乾くんじゃね?」


 巧は目を閉じ濡れた靴下を持ち乾いた想像をする。

 少し気怠さを感じて目を開くと。


「おお! 魔法すげえ、こんな事もできるのか」


 手に持っていた靴下は完全に乾いており、匂いも確認してみると一切しなかった。乾燥ができるとわかると肌着である残りの下着やTシャツなども洗濯した。


 十分に温まったからか風呂の栓を抜き、水が外に流れ出る。風呂の中は完全に空になるとタオルで身体を拭き、服を着たのち箱の中にタオルを入れた。

 拭き終わり、喉が渇いたのか水の魔法を使い喉を潤す。巧は飲んでいるとその分だけMPゲージが回復しているのに気が付く。一度、水魔法でゲージを減らし捨てたのちに新しい水魔法で飲んでみても、捨てたMP分は回復せず飲んだ分だけ回復したのである。


(もしかして、魔法で作った水だからMP回復効果があるって事なのか? ならすげえ、一人で飲み続けたら永久に魔法を使い続ける事ができるってわけなのか)


 そんな事を考え扉を開けたら、ウオルレットが声をかけてきた。


随分ずいぶんと長風呂だったが風呂はどうだった」

「ああ、最高だったよ。風呂の広さも深さも申す分なくて」


 感想をきいて、ウオルレットは嬉しそうな顔をする。


「嬉しい事言ってくれるじゃねえか! また利用したければいつでも言えよ、金があるうちはどんどん使わせてやるからな!」


 笑いながらまだ騒いでる他の冒険者のほうへと行った。

 階段を登り部屋に戻った巧はベッドの上に横たわった。


(まだ濡れてるな)


 髪を触るとタオルで拭けてなかったのか髪が濡れていた。

 乾燥の魔法を使ってみるが、効果は得られる事はなく諦め、風魔法が使えるのを思い出し使用する。

 髪がなびく程度の風を出しながらステータスを確認していた。

 ステータスの取得スキル欄に火が追加されてるのに気づいた。


「あの時の乾燥魔法で火の魔法が使えるようになったのか」


 試しに火を想像してみることにすると、手の平の上には小さい火が現れた。


「おー、これで使える魔法は火、水、風、回復、乾燥か。これって食べ物と住む場所さえどうにかできれば外でサバイバル可能なんじゃ?」


サバイバル生活をしている自分を想像しようとしたが、思い浮かばずやめた。風魔法をだしていた手を休め髪の毛を触ってみるとまだ濡れていた。


(やっぱただの風なら乾きにくいか、なら”あれ”はどうだろ?)


 ある機械を思い出しながら風を吹かせほんのり温かさが混じる。

 そう、ある機械とはドライヤーの事、風と火の複合魔法である。

 少ししてから髪の毛を触ると完全に乾ききっていた。


 時計の時間を確認するといつの間にか二十二時を回っていた。

 机に置いている光石を箱にしまい、蓋をしたら部屋は薄暗いくなる。ローブをかけベッドに潜り巧は目を閉じ今日一日の事を思い出していた。


(今日は色々したな、服を買いにギルド登録に色んな人に出会った。ギルド受付嬢のあの娘可愛かったな一度触ってみたいや。そういやチンピラにも絡まれたな、あのチンピラ……まあいいか。明日は靴を……)


 そう考えながら巧は夢の中に入った。

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