タク・トゥルの休日④
ちょっと長くなってしまったので分けました。早めに投稿します。
今はそれを置いといて、火トカゲとの交渉に入りましょうか?
とはいえ、こちらの言葉なんて決まり切っているのだが……な。
『アンタが、あの国の王様かい?』
指定された場所(ゴーレムハウスよりの近くの場所)に現れた体長一メルほどのワニのような、火トカゲの数十匹もの群れの中心に俺たちが居た。……ここはヤッちゃんの事務所か?
砂漠より抽出したケイ石によってガラスを作り、後ろと横からの突進などを阻止していた。交渉といいながら、何とも荒っぽい事よ。土魔法で作ってしまうと、何かあっても後手に回りそうだったからだ。
すでに何匹かが突進しておりその都度、阻まれていた。
それにしても何とも気の荒い連中だ。
『そうだが、何の用だ。』
『場所代を寄越せ。砂漠ワームから聞いているんだろう? とぼけるのは無しだぜ。』
『まぁ、聞いてはいるな。虫のいい話だと。』
『なんだとぅ! ふざけるな。』
『しかし、何で場所代なんだ? というか、何の場所代?』
『知らなかったってぇのは、言い訳にならねぇぞ!』
火トカゲの連中が凄んでくるが、お前らも少しは頭使えよ……。どこぞの国の誰かと一緒の物言い……、呆れるよ。
『まぁいい、知らねえって言うんだったら教えてやらぁ! ここら一帯は俺らの憧れるドラ吉様のもんだ! 勝手に湖やら建物やら作ってんじゃねぇ!』
ゴーレムハウスに向かおうとしていたドラ吉がコケたのが、遠目にもハッキリと分かった。また、鷹の目のスキルが育っているようだな、俺も。
『えっ……………、こいつら、お前らのこと気付いていなかったのか……』
いくら遠くても想転移なら確実に会話出来る。
『………、見た目が少し変わったせいですかね……、ドラ子もそうですけど。……あ、アイツも気付いたようですね、こちらに歩いてきます。』
ゴーレムハウスからの気配に気付いたドラ吉がドラ子の様子を伝えてくる。
ゴーレムハウスで待っていて、焦れたであろうドラ子がイイ笑顔で歩いてきていた。それも人型で。でも、ツノ……生えてるね……。
普段、機嫌のいい時なんかはカチューシャみたいに髪飾りのようになっていて見分けが付かないんだが、ありゃあ、雨が降るかもな。
血の雨っていうやつが。
『おう、黙ってねえで答えろや。誠意っちゅうもんが無いんかい!』
やばっ。想転移を指向性に切り替えていたから火トカゲたちの声が聞こえていなかったわ。
『誠意っすか~、どんな誠意がいいんですかね? というか、おたくらはそのドラ吉というドラゴンと、懇意にしているんすか?』
暗に、俺は知っているぞと匂わせてみた。
のだが。
『うるせえ、誠意っていったら俺らの好物の蜂蜜持って来やがれ!』
そう言われた時、俺の目はドラ吉を拾って抱えたドラ子が飛び上がったのが見えた。
『コヨミ姉ェ、癒やしの雨呼んでくれる? ウェーキは待機な。おっと、装転移!』
コヨミ姉ェに雨を頼み、ガラスの障壁を強化した所で火トカゲたちの頭上から、怒りの竜種の姫様が降臨した。ドラ吉をその成長途上の前途有望(?)な胸に、かき抱いている。
『お前たつかぁ、ドラ吉さぁにダメージ与えたんはぁ!』
『………ドラ吉様? こちらのチビドラゴンがドラ吉様っスか、というか、姐さん、どちらの方で?』
『ドラ吉さぁと一緒になったドラ子ってもんさぁ、あんたらかい? ドラ吉さぁとの共同作業に文句ブー垂れてるのは? 湖も建物もどっちもあたいたちのものさぁ。どこにも文句言わさねぇだょ。そこにお出でのセトラ王は、あたいたちの恩人さ。新しいスキルを得られたんだからね。』
『ドラ吉様と、一緒になった?』
『新しいスキル?』
『竜人化と子供化だよ。あたいたちはこれだったが、そうじゃないものたちも居るから。』




