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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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タク・トゥルの休日③

 タク・トゥルは自分の娘と孫を引率出来るとあって、喜び勇んで出掛けていった。

 もちろん、護衛なんかも彼のことだ、抜かりはあるまい。

 いい一日を過ごしておくれ。


 こちらはその間に為すべき事柄が山積みなので、さっさと終わらせていくことにしよう。


 ひとまず、魔王に手鏡で進捗状況を聞く。

『魔王のシャイナー、状況はどうだ?』


『万能薬は見つけた。少々古いものだが、使われている素材が品質の高いものだから、劣化は無いと思う。ただな、一本きりだ。効果的には足りるとは思うが、今、レシピを探させている。夕食までにはそちらに向かいたいと思っている。だが、私はパレットリア新国までの転移の魔力が足らん。途中のタクラム砂漠に落ちるくらいか……。』


『ちょっと待て、シャイナー。行く時はどうしたんだ。何人も送ってから自分の所に戻ったんだろう?』

『お前のように少しだけだが、私も貰えるんだよ。最近になってから分かったことでな、まだ何故なのかの検証が出来ておらん。』


『はあ……、マジかよ? しょうがない、近くに来たら連絡寄越せ。迎えに行く。』

『助かる。魔物・薬草図鑑が出てきたから、一応持っていくわ。』


『頼むな。……ああそういえば、魔王にちょっと聞きたかったんだけど、いいかな?』

『なんだ、改まって……。』

『魔物で火モグラと火トカゲが居るよな、どちらが上なんだ?』


『どちらが上とか、ある訳が無い。ただまぁ、強いて言うなら火の系統と言うことであるならば火竜が一番てっぺんだろうな。お前の従魔のドラ吉とドラ子はともに火竜だな。』

『そうか……、ありがとう。』



 魔王との通話が終了して間もなく、『セトラ、雨、お願い。』のコールが届く。

 想転移(パシスタ)を繋いで、詳細を聞くと、前回と同じ規模の雨量で、対応する国の名前が一つ増えていた。

 さっさと終わらせよう。


「ヒリュキ、鉱山に必要な個数の入力をしてくれ。火モグラの連中に図面の焼き付けを手伝わせろ。コーネツ、連絡は取れたか? 取れ次第、指定場所に向かうぞ。…ああ、良く来てくれたな、コヨミ姉ェ、ウェーキも。ドラ吉、連絡の出来る所で待っていてくれ。話の展開によっては介入してもらうからな。それと実家に行って雨降らせてくるから。じゃ、ちょっと行ってくる。『転移』!」


 説明しよう……、見えている範囲でも雨は降らせられるがその場合の範囲というものは凄く甘くなってしまう。そのため、ある程度の確実性を増すためにも現地に行って【ここから見える範囲で……】というのが基本なのである。


 という訳で、俺はエドッコォ領とヨタハ・チやク・ビッシ、ド・コーアなどからのシノブさん経由の降雨の要請を現地にそれぞれ転移で飛んでさっさと終わらせた。


 が、その際にシノブさんにゴーレム鉄板について質問攻めにされた。


 試作段階であること、売るか貸すかはまだ未定であることを告げた。

 どうやら四枚の鉄板が入れ替え可能であることに気付いていたらしい。

 そのサイズに合っていれば、いろいろとやれると思ったらしいのだが。


 サンドイッチを囓ると、鉱山に(チョク)で向かった。


 ヒリュキに出した要請で鉱山から産出してきた石に対して施工していく。


 100メルくらいの石柱で出して貰い、必要な穴を貫通させて長さをカットすればいいようにしておく。


 超堅い石だけに風化はあっても劣化はない。

 これなら、個数は稼げるだろう。


 ただこれも、俺にしか出来ない施工だけど……。


 もちろん、立体交差や曲りなどの複雑施工も頭の中にその図面通りのイメージを作り上げ、スパッと抜いていく。カットする場所はきちんとマークしておく。数ミメの転移を行えばいいだけだからな。


 出来上がった部材をそのまま層庫に入れ、これまた指定された現地に飛ぶ。代理人を通じて、許可を得た場所から相転移(イコスタ)していく工事になる。今まで長い部分も決まった長さで継ぎ足していたが、長い部分に関してはほぼ一本分の長さで対応出来ることになり、先にそれを設置し、のちに曲りや立体交差を付けていくようにした。


 この工法のお陰で、今まで延び延びになっていた所も基本的な工事を終えられるようにはなってきた。人間困れば何とかするものだな……はははは、はぁ。



 苦笑いをしながら、工事を進めていた俺に火モグラのコーネツから想転移(パシスタ)が入った。


『あるじ殿、火トカゲと連絡が付いたでござる。話し合い(?)に行くでござるよ。』

『分かった。タクラム砂漠の中か?』

『ドラ湖の近くでござる。』

『分かった、行くとしようか?』


 俺はコヨミ姉ェとウェーキを連れて、ドラ吉を抱えてドラ湖へと転移した。

 そこで昼を摂り、涼を取ってから会談に臨もうとしたのだが? 俺以上にせっかちなのは、ドラ吉だった。


『あるじ様~、ドラ子と待ち合わせていますので、早く行きましょう~』

『なんだ? デートかい……』


 ほぼ砂漠のど真ん中のドラ湖の周辺は、立ち入り禁止の区域になっているのだが、たまに迷い込む者のための施設がある。ドラ吉やドラ子の起こした衝撃による崖のような境界線がドラ湖の周辺にはあるのだが、その外側にゴーレムハウスがひっそりと建っている。


 そこにドラ子が住んでいた。人間社会のアレコレを学んでいる……、いや、食べている。


 最初はドラ湖にその雄姿? を顕現させていたが、ある時、自分のスキルを確認していたら、最後の所に小型化の次に?マークがあったそうだ。ぽちっと押してみると人化が顕れたらしい。


 ドラ吉とドラ子が獲得したスキルは小型化ともう一つ。


 竜人化。


 魔人となったコーネツのように人化が出来るようになった。従魔になったからか、結婚したからか、はたまた別の要因か、それは分からなかったのだが、これを知った他のドラゴンたちが自分のスキルを確認しに来るようになった。で、確認後に泊まっていくようになった。そう、竜人化は一定のドラゴンにスキルとして定着していた。

 今も検証中である。

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