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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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タク・トゥルの休日②

「『……、はぁ。まあ、そういう訳でディノ、コーネツ。火モグラの連中に総動員掛けとけよ。溜まっていた工事は消化するつもりで、やって行くからな。』」

『了解しました、あるじ殿。その工事について、砂漠ワームのゲンからお話ししたいことがあるそうです。』

 コーネツの言葉に?マークが浮かぶ。


『直接、こっちに話し持ってくればいいじゃないか? 今、なにやってんだアイツ。』

『この国に面している砂漠側の巡回をしていますが、そちら側に住む火トカゲのボスから話を受けたらしいのですが、何とも、虫のいい話で、……。』


 つまりはこういうことだ。火モグラの連中が入ってきているんだな、だったら、みかじめ料を寄越せ。出さなけりゃ、ここに国作りはさせないぞと、そういうことらしい。


『アホか。元々、ここに国があった。その時はどうしていたんだ?』

『そりゃ、その時は魔物は居ませんでしたね、ここには。』

『魔物がいるから、縄張り代を寄越せって言うことか?』

『どうも、その様です……。』

『縄張り代って、そもそも何が欲しいんだ?』

 ヒト族だったら金とか地位? だろうけど、魔物の縄張り代って……。

『アレ? そもそも火モグラと火トカゲと、どちらが上とかあるのか?』

『ないでござるなぁ……、魔王様ならご存知かも。』


『それにしてもこの時期に最初に水、次は火か? チョッカイも、もう遅いんだがな。』

 風も土も最初はそうだったから、分かることは分かるのだが、な。


『アレ? あるじ殿の方でも?』

『ああ、今回、ここに俺がいるのもその為だな。パットの生活魔法の『清き水(ピュアウォータ)』が『水球(ウォータボール)』に変わった挙げ句キナコに向かい、蹴り返されてそれをスキップが喰らったという訳で、パットとルナの記憶が飛んだ。魔王は万能薬探しに大慌てで魔王国に向かったし、こんなのタク・トゥルにバレてみろ……、どんなことになると思う? 周りが迷惑している中でそんなことを言いだしても、もう遅い。』

「魔王も激怒していたからな……。」

『ああ、ま、その連中に話だけでも聞いておくか?』

 今後の対策というものもあるしな。


「じゃあ、立ち会いとしてコヨミとウェーキを召喚するかい、セトラ?」

 リンクしていたヒリュキが対策を口にする。

「そうだな、手伝って貰うか。説明よろしく頼む。」

「了解したよ。」


 雨に好かれまくっているコヨミと、使う魔法の全てが何故(・・)か水がらみの魔法になるウェーキの姉弟は、俺の従姉弟(いとこ)だ。



 ヒリュキと彼らの打ち合わせやらなんやらが終わるまでの間にディノと打ち合わせでもしておくか。作戦もあるだろうしな。


『ディノ。タク・トゥルが図面が出してくるまで時間があるが、どこまで工事が完了している?』


『城の底辺から下にくし状の石柱を伸ばすことを続けています。』

『何本くらいになった?』

『最初に話があった時の計画に従ってやりましたから、この城の柱の下、角の下、階段の下に全て伸ばしています。やり終えたので、明日からどうしようかと話し合っていた矢先だったんですが……。』

『そうか……、良くやってくれた。褒美(ほうび)を…』

『『『『『『『『あるじ様、僕(私)たちも手伝いました!』』』』』』』』

 褒美と言うや否や、床下から、換気口から、天井裏からポコポコと湧き出る火モグラたち……。

『……、ディノ? マジで……。』

『………、はい。マジです。』

『分かった。コーネツに渡しておく。フラレンチ・トゥストでいいか?』

『はい、ありがとうございます。』


『明日からの工事の続きは上の階と同じように間取り、階段、壁と床を形成してくれ。砂は入ったままでいい。今の城は地上に二階分あるが、そっくり地下にも二階分作っておいてくれ。装飾などは俺が手直しするからな。それと一階の外壁の外に水浴びの場所を作っておいてくれ……、そうだな幅と深さ三メルくらいで。出来上がっても砂はそのまま入れといてくれ、ちょっと考えがあるから。』


『『『『『『『『『『分かりました』』』』』』』』』』








「我がセトラ王、必要な石の数とその図面の準備が出来ております。他の工事のこともありますので、あまり無茶をなさりませぬよう、ご留意ください。では私は王の御学友方のご案内とおもてなしの方に尽力させて頂きます。」


「分かった。俺の方よりもそちらの方々のこと、よろしく頼む。」


 扉の所で臣下の礼をしていたが、やがて扉の向こうに消えた。彼の動向は、コーネツの手の者たちに見張らせている。こちらは、ネッツの手の者たちがどうやら見張るらしい。

 すでにネッツを動かせるとは、さすがにタク・トゥル。

 心中でタク・トゥルに対しての査定を行い、感心してはいたが、図面の量を見て俺は唖然としていた。スクーワトルア国のもので一〇〇枚くらいあり、タクラム・チューやガルバドスン、学院都市のもの、ヨタハ・チやク・ビッシのものまである。全部合わせて五〇〇枚ほどで、必要な石の数になると更にそれの数倍の個数が書いてあった。


 タク・トゥルよ………、いくら何でもこれは終わらんだろ?

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