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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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59, ダンジョンで、………戦後報告⑥ 終

 九階のボスは九牛車(キュウギュウシャ)という名前なんだそうな。今でこそ、後ろに牛車(ぎっしゃ)が付いていていれば、腰が上がって牛みたいなスタイルになるそうだが。

 牛車を外せば、カエルのように飛び跳ねるそうだ。その時は牛ガエル(カウエル)と言うらしい。らしいって魔物を決めたのはアンタだろ、魔王様……?


 その後ろの牛車は救急設備が整っており、何でも九の数まで収容することが出来る、らしい。魔王城の魔物図鑑で見ていた時に、何故かこれだと、閃いたらしい………。魔物図鑑ってあったのか? ということは、すでに満員なのか、あの牛車は。


 そして、一〇階の魔物の夢幻狼(むげんろう)の特徴は言うまでも無く、存在を消して、襲いかかれること。


「なぁ、ヒリュキ、その夢幻狼とかってヤツは何匹いるんだ?」

 俺が疑問に思ったのは、セーフティ・エリアを簡単に越えられるのかってこと。


「俺に見えているのは、お前の魔力放射で動けなくなった一匹だけだが、パトリシア、今の君には何匹の音が聞こえる?」

「他に三匹だよ、ヒリュキ君。リウちゃんもリメちゃんもそう聞こえるって。ただ、足音は小さいから、あの狼の子供だと思うんだよね……。お腹の音が結構いい音………。あっ。」

 くぅ。と、近くからも何かの音が………。パットが赤くなっていました。

「………………。これが済んだら、おやつタイムにしよ。な。」

「う、うん。ありがと、ヒリュキ君。」


 あ…、あつー。

 そ、そういえば、パットとリウス、リメラの三人は耳が……、というより音に対してスペシャリストだったか。


 ということは、飢えが限界だったのか? 


「いや、お持ち帰りするつもりだったんだろう。ただ、こちら側からセーフティエリアを越えられなかったんだ……。」


「ふ~ん、なるほど。ねぇコヨミ姉ぇ、雨降らせて。そして、『あの時』のこと覚えてる? やってみようよ。レイ、形が浮き彫りになったら「第三の手」で、こっちに持ってきてくれるかい……、んーと、イクヨは風に頼んで、砂漠の熱気を運んで貰って。風の民のみんなは風盾で高さ三メルの壁を作って。ショッツ、ヒィロ、リィカ、サーリィの四人で癒やしの水を呼んでくれるかな? あとのみんなは、水を使った『手当て』の準備をお願い。」


「わかった。やってみるね、セトラちゃん。『雨よ、我が願いに応えその姿を変えよ、ホワイト・ドリーム』」

 という、コヨミ姉ェの言葉と、続く詠唱は本人が考えたもののようだ。


「浮き彫りねぇ。どうゆう風にやるのかしら?」

「風に頼む、かぁ。うん、やってみるね。『風よ、我が願いを聞いて。砂漠の風を頂戴!』」

 レイは不思議がり、イクヨはいつものように頼んでいた。



「セトラが言うんだ、やるしか無いか………。」「「そだね。」」「ああ。」



 名指しで頼んだ連中は、自分の役割を確認しつつ詠唱を始めたり、杖を(かざ)したりし始めた。今回重要なのは個人の役割。でも、これが上手くいけばそれなりの成長が見込める。そして、みんなが、『手当て』を前世の考えで行うことで、上手くすれば驚くことがあるかも知れない。








「さて、やるか。雪狼のジョン、森林狼のフォル、準備はいいか? よーしよし、さあ『取ってこーい』!」

 魔法で夢幻狼たちの頭上遙かに、かっ飛ばしたのは三メルくらいの中型の竜頭、この言葉に反応するでしょうか夢幻狼たち………………。
















「行ってしまったか………」「「行っちゃった………。」」「うん、行っちゃったね………。」

 ヒリュキとパット、リウス、リメラの言葉が少々もの悲しく聞こえるのはしょうがないところでしょう。


「取ってこーい」の言葉が、こんなに狼系に強く働きかけるとは……思ってもみなかった。


 さて、コヨミ姉ェの『あの時』は再現できたのかと言われますと、出来ました、一応は、ね。いま、ようやく雪に変わったところです。しんしんと降り積もっていきます。


『レイ、形が出てきただろ? じゃあ、こっちに引っ張ってきて。ああ、出ちゃ駄目だ夢幻狼の匂いがしているから……酔うぞ。』

 夢幻狼は最終段階に移ろうとしていた。ということは、自分たちの匂いを振りまき、自分たちの獲物であることを証明するためにえさ場として認識させるのである。がその匂いには人間の飲む酒に換算すると、酒豪という方々の呼気に相当しており、人は酔ってしまうのである。


 そうこうしているうちに、どこからか熱風が吹いてきた。やるな、イクヨ。どこから(・・・・)持ってきたのかは知らないが、風を意のままに出来るなら今後も楽しみになってくるな。ユージュには前世での魔法の発動の失敗というアドバンテージがあるから、そうそう追いつかれることもあるまい。


 イクヨの発動した風は夢幻狼の匂いを昇華させつつあった。


「「「「「我ら、請い願うは、風の壁。『風壁(ふうへき)』!」」」」」














「あぉぉぉぉぉ~ん」

「ガルル」「ガルルルル」「がうがッ」

 反応しまくりの狼君たちでした。子狼たちも負けてはいません。大人に混じって追い掛けていき、取り合いをしていました。























 セーフティエリアの障壁の前に戻ってくる頃には、どれがどの狼やら子狼やら…………。

 障壁の前でお座りしてました……。


 障壁の中には牛ガエル(カウエル)さんたちが丸く(コロニー)を作っていました。

 ショッツ、ヒィロ、リィカ、サーリィの四人で呼んだ癒やしの雨の水は用意されていた一つの桶へと流れ集まりました。その水桶は残りのメンバーによる『手当て』なる行為にとても役立ちました。手を水で濡らして患部に当て、一言【治療ヒール】とやれば御の字。

 コレを切っ掛けに「初期治療ヒール」が広がっていきます。何人かは、今後に期待、大です。

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