57, ダンジョンで、………戦後報告⑤
読んでくださっている方、ありがとうございます。
おやつタイムを終了して、本日の最後の階層にチャレンジすることに。
これが終われば、夕食と風呂だな。ダンジョンに潜っていると時間が解らなくなりそうではあるのだが、俺の鑑定の画面には何故か時計がセットされている。度重なるレベルアップで、手に入れた物の一つではある。
今夜は、俺はパレットリア新国に行くが他の面々は分からない。
たまに実家に帰りたいとするならそれでも良いのだが? 送っていってやるぞ。
魔王様の手鏡簡易タイプがあれば、その場所を特定するのも可能だから、まぁ最悪拉致られても大抵の場所には出入り可能だぞ?
天高く聳える塔の中とか水の中とかも可能になりつつある自分の魔法が、最近怖いわ。
さて、攻略の続きをということで、八階に向かいますと女性魔法士の方々はなかなかセーフティエリアから出てきません。
見た目はアレで、でもカエルなんですよ。確かに女性陣は嫌なのかも知れませんが、ね。
まぁ気持ちが分からない訳ではないのですが、俺的には、新しい食材にウキウキしているところなんですがね。
俺の鑑定によると、八階の魔物は猪八戒並み大きさ二メルで一トンを越える体重を持つ豚の魔物。
豚がLもとい、豚ガエル。巨大だが飛び上がって降りた時に発生する振動で獲物を転ばして捕まえるらしい。カエルなのに舌は短い。
上半身はモロに豚で、下半身は鶏のささみに似たあっさりした味のカエル肉。卵生で、生まれて半年が子豚の期間、柔らかく美味しいらしい。
うわぉ、ベーコンの材料が………、ズリュリュリュ。あとはチーズがあればピザが焼けるな。だから、実家経由でパレットリア新国に行くのですがね。
実家に牛が飼っているので、八階に来た時点でシノブ母さまに頼んであるのですよ。出来たてのチーズでピザかぁ、今から考えても俺ですらよだれが出まくります。
最も、何を食べるのかを聞かれ「ピザ」と一言言ったら、「あたしたちも行くわ。」という声と、「わたし達の分も用意しておいてくれ」と、スクーワトルアの王子様にも言われたことに少々愕然としましたが……。いや、焼くのは決まりですからいいんですけど、今夜はピザパーティなのは決まりですか?
「なに考えているのよ、いやらしい顔つきで!」
ルナの言葉が心にぶっ刺さりますが、がまんがまん。
「うるせー。晩飯考えていただけだよ、やらんぞ?」と、やり返す。
「あれ見て晩飯ってお腹壊すわよ?」
「いや、鑑定で見たらベーコンが作れるし、ソーセージも。なんて、お得な魔物なんだろう。当時一歳半の魔王様があれに変えてくれたそうだ。その前は痩せた猪系だったそうだからな。」
焼けているピザが頭の中から出ていかないな、と思っていたらルナがぼそっと呟いた。
「ちょっと待って……。」
そう言うなり、にやぁといやらしく笑ったかと思うと杖を構える。
「ベーコンにソーセージか、なるほど、ピザね。」
その言葉に「ああっ」とか、「ピザだってぇ」という小さな叫びがあちこちから……。
「お前らなぁ、人のこと貶しておいてそれかぁ……」
セーフティエリアから出てきて戦闘態勢を取りました………魔王様を含めた全員が。
「分かっているわよね、生活魔法よ!「おおっ、さすがルナ…」じっくり炙っちゃいなさい!」「おい………」
褒めていいんだか、悩むところだな。全部炙ったら勿体ないお化けが出るぞ。
「卵持っている奴は外せよ! 養殖するからな。シュッキン、ダイマオウグソクムシの甲羅を組み合わせて障壁を用意しておいてくれ。」
「了解です、老師。」
「レイ、手を出せ」「? はい。右手でいい?」
「いや、ボケなくていいから……。【第三の手】を出してくれ。」
「で? 何をすればいいの?」
「ああ、俺が印を付けたヤツをシュッキンの障壁の中に放り込んでくれ。」
「印?」
「ああ、パレットリア新国の紋章だ。」
PとR、ETCが組み合わさった紋章である。パレットリアの古城が描き出してくれた物を利用した。未来の俺たちの遺産は凄い物だ、ということが分かった。
「今、全部を炙る必要はないだろう? 自分たちと同じ数にしておこうぜ?」
そう言って次の九階に向かう階段への道を切り開きながら移動し、階段に着くまでに六〇匹あまりを雷をメインにした魔法で炙っていった。豚ガエルの足元に水を流し電撃で麻痺をさせ、必要な個体だけ念入りに炙ったのだ。
ベーコン、生ハム、ソーセージの原料をゲットしました。
炙って、ベーコン。風に塩を含ませて染み込ませることで生ハム。端材を処理して香辛料などを入れ腸に詰めて、ソーセージ。
なかなか、生活魔法もみんな上手くなってきたなぁ……。
九階のセーフティエリアで、次のターゲットを確認しながら、本日は上がりです。
この九階も食材でした。かなり、遠くにいたので確認できたのは窓転移が使える俺くらいで、明日はアレかアレ、ぐふふふ。
「変な笑い方!」
そう、ルナに突っ込まれて沈んだのは家族に内緒です。ハハハ、ハァ………。
チーズをゲットし、近くにいた関係者の方々を一緒に転移して、料理開始!
さぁ、ピザ焼くぞ!
ピザの生地を小麦粉で作り、闇魔法で「腐る」を使用し発酵させ、ベーコンや野菜を載せ、トマトソースを塗し、出来たてホヤホヤのチーズを載せる。土魔法で形成した石釜でファイヤーボールを石窯の中で爆発しないように火の精霊を制御して焼き上げた。
「うわっ……………、美味っ!」「うま、ウマ、うま、ウマ」「こ、こんな食べ物があったとは…………。」
火を維持してくれている精霊にもベーコンを捧げ、従魔たちにも生肉の好きな者には、そちらを与えるとかして、夜半まで騒いでおりました。
公務の終わったタク・トゥルも参加して、スクーワトルアの王子様とも話をしていました。王子様も聞きたいことがあったようです。
ちなみにエドッコォ領とスクーワトルア王家用のお土産として、豚ガエルを一匹ずつ、包みました。
なお、パレットリア新国の名物として、学内ダンジョンで見つけた魔物、豚ガエルの牧場が、新しく出来ました。近々、もう一種類増える予定です。




