おやつタイ~ム
七階の攻防の経過は詳しくは言わないっていうか言えない……。
ドラゴンをフラッシュの発動のみで墜とせるなんて思いもしなかったから……。
ロケットハナ・ビーたちも俺たちが簡単にドラゴンを倒し、従魔化による小型化を見ていて蜂の巣に近寄る前に俺たちに白旗を揚げて出てきて挨拶していました。
今後、近い内に分蜂するということで、片方がパレットリア新国の採石場に巣を作りに行くことになった。蜂の六刺指改め、蜂のムサシ丸が常時連絡役として俺たちに張り付くことになった。
これで好きな時に蜂蜜の供給を受けられます………いいのか、こんなんで。
ドラゴンを従魔化してはいますが、厳密には倒した……はず? なのは確かなことで、確認できるステータス上は全員が経験値を上昇させていました。そりゃ全員でフラッシュしましたとも……。従魔先は発動を指示した俺で……。今は小さくなって俺の肩に止まっています……よ。
羽が魔物だった時は怪しげな羽だったのに、従魔化したら俗に言う天使の羽みたいになって女性の方たちに大人気になりました。
サワサワしたりモフモフしたり、なでなでしたりされて目を細めて喜んでいる姿からは急降下してきた時の凶悪さを全く感じられません。
『あるじ様~、少し質問が……よろしいでしょうか?』
ドラゴンのドラ吉から質問が想転移で飛んで来た。
「『何だ、ドラ吉』、蜂蜜だけじゃ足りなかったか?」
俺とドラ吉の会話に、周りがずっコケる。
「セトラぁ、アンタね。ドラ吉は無いんじゃない、ドラ吉は!」
何をそんなに憤慨しているんだ、お前?
「だって、ドラ吉って正式名称だぞ。鑑定したらこの名前が出てきたんだからしょうがないだろ? 他になんて呼べって言うんだよ?」
「せ、正式名称?」
その事実に愕然とする人たちが居ました。
『あるじ様~、急降下する前に何か良い匂いのするもの配ってませんでしたか~?』
言われて気付いた。そういえば、おやつの時間だったんだっけ。
「あ、預かり証、あるよ。……はい。」「あ、俺も俺も。」「はいはーい、わたしも。」
預かり証とともに、ひとまず皿を返していく。層庫の中では時間が進まないから、まだアツアツの状態。でも、それを見てよだれを垂らす従魔たち……だけなら良かったのだが、ムサシ丸がハッと気付いたように女王蜂に進言しに言った。
『女王様、あれがそれがしが確認してお伝えしたかったブツにてござる』
『何と、あれがそなたの見つけた菓子なるもの?』
『確認しましたところ、あの方のみからの支給品でござりまする。』
『なんとかして、わらわにもくだされんものか……。』
『掠め取ろうとして、囚われの身になった者多数確認しております。早まった真似はお止めになった方がよろしいか、と。』
『何と! なんとかして、手に入れる方法は無いのですか?』
『今のところは何とも。彼らのように軍門に降るのが最善なのかも知れませぬ』
『わらわたちの宝物との交換も出来ぬ、というのか?』
『一対一の交渉なら、可能です。ですが、あの方の菓子は一つだけでは無いのです。』
『何と、素晴らしいこと。あのドラゴンをも魅了した方なら、あり得ることです。』
一般人には、ビービーとしか聞こえていないが、最近、俺の想転移は自動翻訳をし始めたため、しっかり聞こえているぞ、お前ら。
「工事屋」と同期の連中とドラ吉にホットケーキを出してやった。ついで雪狼と森林狼、キマイラ親子とかにも。素のままのヤツと市販されている蜂蜜のヤツと、ロケットハナ・ビーの蜂蜜のヤツと、食べ比べていました。
『あ、あるじ様~、ずっとついて行きます!』
そう宣言したドラゴン。
『ああ、いーなぁ。……………ごくり。……なるわ、わらわもなる。従魔になるわ!』
という訳で従魔が……………、増えました。
分蜂の際にパレットリア新国へ来る方も決定したようです。
『わらわの選択に間違いは無い! ………………、この味だったのねぇ!』
お菓子で増えた従魔って何匹目だろう………。




