表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
65/338

52, ダンジョンで、………戦後報告②

 さて、五階へと向かおうとした俺に『キィ(あるじ様)キィキィ(私にも彼らと同じ)キィキィ(ミスリルの鉢を…)』と語りかけてきた若様。

 世界樹って動くんですか?

 あ然としながらもノコギリソウたちと同じものをあげました。

 契約しちゃったもの……、仕方ないよね。魔石で充電(?)するタイプ、ゴブリンの魔石は掃いて捨てるほど有る。スクーワトルア襲撃の時のヤツ。凍らしてはいたが魔石までは影響しなかったため、砕けた時にそれだけが転がっていたのだ。


 もちろん風たちに頼んで回収しましたとも、小指の爪大のピラミッド型の石、色は赤。

 何に使うのかは知らなかったので、他のも回収しっぱなしでした。


「あーあ、あの人どれだけ仲間にする気なんでしょう?」と、ユージュがぼやく。

「気にしたら、負けだぞ。行くとこまで行くしかない。あいつは【魔物(たら)し】なんだから」

「でも、今回の世界樹って、魔物じゃないですよ?」

「似たようなものさ」

「そうなんですか……」

「お前らなぁ、人のこと、とやかく言う前に自分のステータス、もう一度確認してみろよ。お前らも凄いことになっているんだからな。」

「「え、マジで……、……………【魔物誑しの弟子Lv1】だと、こりゃあなんなんだ?」」

 ヒリュキもユージュもステータスを確認して、あ然としていた。


 な、人のこととやかく言えたものじゃないだろう?


「「「「ああっ、俺(私)らもだ………orz」」」」

 ステータスを確認して、落ち込む連中は多くがどん引きしていた。


 【魔物誑しの弟子】……このスキルは【魔物誑し】と行動を共にし、その行動を受け入れた者に与えられる。レベルが皆伝になると【魔物誑し】にスキルアップする。


「ま、【魔物誑し】にスキルアップとか………、いやだー!」と叫んだとか。

 ふふふ、病は進むものなのだよ。


 さて、気を取り直して、いざ、五階へ。


 階段を降りた先にあったのはカクシの森よりは小さいがそれでも東京ドーム何個分というようなスケールの原生林が広がっていた。降りてきた階段は何かの小屋に偽装されていた。小屋の前には、セーフティエリアが広がり、柵で囲われている。だが、その門のところに痩せた巨狼がデデンと座り込んでおり、こちらを睨んでいた。

 堂々とした待ち伏せというか何というか。


 鑑定してみると、森林狼(フォレストウルフ)の前ボスとなっていた。

 獲物を捕らえられなくて追い出されたらしい。


 雪狼で現在、子狼にサイズダウンしているジョンが「おぅぉぅぉぅお(おじさん、どうしたの)?」と、尋ねていた。

 子狼サイズだからこんなんなんだけど、本来のサイズなら「がう(どうした)っ?」で、終わる。しかし、痩せているとモフモフが見る影もなくて悲しくなる。


『ワシはここでは自分では死ねぬ。同族しかおらぬし、彼らにも殺せぬ。オヌシでもいいから引導を渡して欲しくてな。本当にオヌシみたいに子狼だった頃が懐かしいぞ』

「シャイナー? ここは時が止まっているのか?」

「いや、そんなことはしていないはずだが………、あ、自傷行為の多かった者たちの群れだから死に対しての忌避感が強いのかも知れん。」

『ふうん、なるほど、そういうことね。』

 想転移(パシスタ)を通して雪狼と森林狼の会話に頷く。

『ま、まさか。魔王様では?』

 魔王様の降臨に、驚き呻く森林狼。


『魔王はあっち、俺はこの雪狼(ジョン)の主。で、君は死にたいのか?』

 そう、聞きながら、子狼のジョンをゴロゴロなでなでしだした。

『あ、あるじさ……ま』

 五メルの巨体では手が届かないが、このサイズなら、な。

「クゥクゥ、キューン」とか言って、くにゃーとなっていた。

 実にうらやましそうに見ている巨狼。


 俺の周りでそれを見ていた、「工事屋」の連中も、俺の同期もモフモフ攻撃をそこら辺で始めた。後でやるもここでやるも、お強請(ねだ)りされるのなら一緒にやった方が楽しいからな。

 もちろん、ゴロゴロした後はきちんと身だしなみして、基本はおやつだが。

 同じように、モフモフされている集団を見て巨狼は目を点にして固まっていた。


「『ほら、おやつ』」と、そう言って、人族と一緒に養い子たちにも、クッキーを出した。

「あまっ。」ザラメが乗っているのは人用。


 乗っていないのは養い子用。形は同じでも、堅さが違う。「ガリッ」とか「ガキッ」とか音がしているが、雪狼たちはその堅さにうっとりしていた。骨を噛むのが好きな連中だぜ。


『ゴクリ』とかなんか、そんな音が聞こえていたなと思っていたら、巨狼の周りに彼を探しに来たであろう彼の家族がお座りしていた。セーフティエリアの障壁に顔をくっつけてガン見していた。従っているのは、雌が二匹、子狼が二匹。ほほう、オスがこんな姿になっても離れないとか、か。それなりの関係を作っていたようだな………、試してみるか。


 そこで層庫から取り出したのは、竜頭の小さいヤツ。取り出した瞬間に狼たちの目がギラリ。それも、雪狼も森林狼も関係なかったことに、驚いた。

 ちょっと危機感が芽生えたが、「風よ運べ、山なりに。ほーら、取ってこーい!」といってホームラン軌道で投げ飛ばした。


セーフティエリアの障壁をぶち破って、かっ飛ばしたそれを狼たちは怒濤(どとう)の勢いで追い掛けていきました。従魔になっても本能というのは凄いんですねぇ。



「ハハハ、凄いねぇ………」

 残った人間様は、食事の用意に入りましたとさ。


 放物線を取った竜頭は巨狼の彼の元の群れのど真ん中に落ちたものの、もとの大きさに戻ったジョンに蹂躙され、這々(ほうほう)(てい)を晒し、そこに戻ってきた巨狼の(げき)を受け、ジョンの後を追い掛けるという事を延々とやっていた。

 一応、窓転移で見てましたから。


 戻ってきた時、竜頭はほとんど形がありませんでした。今は巨狼ともどもセーフティエリアの前で待てをしています。従魔といえど、野生が強い時には弾かれることが分かって、ある意味ホッとしました。


 今回の人間様の食事は、ゆっくり久し振りのフラレンチ・トゥスト。パンから作ったのは初めてですがね。デザートはシュークリーム。パンを作る時に一緒に作ったシューのタネにプリンをツッコんだ簡略バージョン。美味しかったです。


「シュ、シュークリーム?」

「セトラ、何気に料理の腕上がっていない……。」

「シュー…クリームって言うんですの? お、美味しいですわ。」

 プのネコ耳姫様たちも、新しい味に魅了されていた。

 「工事屋」の連中には懐かしくて、同期の連中には新しい味覚。

 今日のところはほぼ、ゆっくりと飯を堪能できたからな。



 俺たちの食事が終わると、雪狼たちを呼んで、セーフティエリアの中でゆっくりと癒やしの時間をとり、【誑し】込んでおきました。

 子狼の状態に戻った彼らを見て、巨狼の家族はビックリ。目が丸くなっておりました。

 なんといっても巨狼より大きかった雪狼が、ちまちまっとした状態だもの、目が点になるでしょう、やっぱり。

 何を思ったかは知らない。いきなり遠吠えをしたかと思うと、彼と彼の家族が伏せの体勢を取り、上目遣いで見てくる。


「あぁ、これで五階も攻略か」と、魔王様が頭を抱えていました。


魔王(シャイナー)、こいつらと引き換えで、エサおいてくな。」

 そう、さっきの遠吠えは、追い出された群れとの惜別の挨拶だった。そして、俺に恭順の意思を見せたという事に他ならない。おそらくは、あの「取ってこい」で序列が決まっていたようだ。


 氷漬けのオークを森林狼のえさ場においておく。仕掛けは魔王様が造った。腹が減ったら、取ってこーいの言葉とともに射出されるように。


 そして、六階へと俺たちは足を踏み入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ