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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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それぞれの会議 ⑤ 初工事と生活魔法

 ガルバドスン魔法学院の学院長以下、十数名もの教授たちや職員たちのエドッコォ領のゴーレムハウスと共同浴場の視察を兼ねた慰安旅行が無事、終了して一息ついたのもつかの間で学院内の工事に若干の変更を加えて、工事(リフォーム)が始まります!


 学院長室から始まる学院内の「床暖房」の敷設(ふせつ)する石材の取り外し、加工、再設置を「工事屋」のみんなで手分けして、行うことになった。

 本来学生は教授の研究室には入れない。が、新入学の生徒及び再入学の生徒で成り立っている「工事屋」は今現在の課題が終わらないことには、他の勉学を必要としないために特別に許可が下りた。

 もっとも、教授の研究室に入っても何が何やらな状態ではあったのだが……。


「これのどこが研究の成果なんだろう……」

 そう思っても仕方のないような光景が目に飛び込んでくればそういう感想もつい、口をついて出る。


 前もって、ルナと俺で人員の配置、魔法による加工など、多岐に亘る作業工程を見直して生活魔法のほかダンジョン内で使用可能な初級魔法を習得し、その技能を発揮する場として「工事屋」だけに頼るのでは無く、在校の学院生の中からも協力してくれる者を募ることが決められた。


 特に石材に穴を開ける加工は、初級魔法や生活魔法で行えるが加工技術の向上が要求されるために、卒業間近の学生であっても困難な課題となっていた。


 俺が「工事屋」や他の生徒が見守る中で、初級魔法や生活魔法で石材に次々と穴を開ける加工を施せば、見ているだけでも彼らの中で価値観が変わっていくのが手に取るように分かった。確かにイメージと魔力制御と魔法量の増大に関連があるのだとすれば、彼らは今このときに多くのことを学んでいるのである。




 報酬は学院内で得られる経験値であり、また、それも学院の敷地内で行われる「工事」、学外の学院都市で行われる「工事」に対しての評価は、学院での考査の結果にも影響を発揮し始めていた。


 だが、在校の学院生により大きな影響を与えたのは、加工する速度でもなく、自分たちに扱えない魔法でもなく、ただ、自分たちよりも小さな魔法で図面通りにやってのけてしまう、俺が行っていた魔法による加工の多彩さだった。


 俺は自分の得意な空間魔法を封じて、小さな火の魔法や土の魔法、水の魔法で加工を成し遂げていくことに非常な楽しみを得ていた。最小の魔力で最大の効果を得られるために考えることも実施することも自分の持つ強みだと思っていたからだ。


 それより何より、こんなに自由に魔法が使えるなんて徹底的に試さなくてはならなかった。吸収し続けなければ魔法も満足に成せなかった前世とは比べものにならないくらいに自由に小さな魔法を使い続けていた。俺は、嬉しかったのだ。


 それに小さな魔法だと、魔力をそんなに消費しないため発動までの時間が早い上に魔法の使用継続時間が可級数的に伸びた。大きな魔法を使用する時は、集める魔力も大きくなるが、小さな魔法だと、周囲に漂う魔力で連続稼働が可能だった。


 そう、小さな魔法を使い続けることで大きな魔法も瞬時に構築できるようになっていく。

 それはこの世界で魔法というものを常識として認識し、使っている人たちには、絶対に気付けないことだったかも知れないこと。前世から、継続使用していた俺だから………。


 そう、気象魔法士(ウェザード)の俺だから、気付けたことだ。


 そして、今「工事屋」のみんなにも気付いて欲しかったのだ。


 数多(あまた)ある作業工程の中でも、土魔法を習得している者たちは重宝されたが、得意分野での協力は学院内での考査が低く抑えられていた。苦手分野であっても少しずつ熟達していく様子は高い評価を与えられた。


「見ていろよ、お前たち………。」

 そう、声を掛けておいて、俺は石に向かう。


 一辺一メルの立方体を端材の足場に載せて、上の面に水の通る管とお湯の通る管、火モグラの通る管の型紙を乗せ型を写し取る。

 一番大きな型も、他のも、指先から出る超高圧の水によって、刳り抜かれる。

 一番大きな型も、他のも、指先から出る超高圧の水と風によって、抉り取られる。

 一番大きな型も、他のも、指先から出る超高圧の水と砂によって、削り取られる。

 

 小さな魔法でも、集めれば………。












 こんなに自由に魔法が使えるこの世界は、俺にとっての天国なのかも知れない。














 事実、歴史書によれば後年起きる大きな戦いに彼らは率先して参加し、高いレベルの作戦を成功させたとある。すなわち、堤防を崩すのもアリの一穴からという事だ。

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