それぞれの会議 ③ 養い子たちの楽園
「ミーミー」
とは、キマイラの児スキップ。親はキナコ。
「クゥンクーン」
とは、カクシの森の雪狼のジョンとスノウとの児。
他にも、モフモフ攻撃や、なでなで攻撃、ボール取ってこーいなどの遊びに陥落して従魔化した雪狼のカップルの児たちが、いっせいにご飯を要求していた。
そして、この児らも。
「「「「「「チーチーチー」」」」」」
とは、ダイマオウグソクムシの幼生体たち。
最初ゴルフボール大の卵から生まれてきたタマちゃん二世たちは、あっという間にソフトボール大まで大きくなっていた。この時期は空気中の魔素を吸い込んで大きくなるのだそうな。もっとも、少し大きくなるたびに脱皮するため、この時期のダイマオウグソクムシの周りには、ダミーがそれこそ、そこら中にいっぱい出来る。何せ、五セチくらいの大きさの卵から生まれて、ほぼ四セチちょっと。そこから一五セチくらいの大きさまで八〇回以上もの脱皮を繰り返す。
本来、それが生存率を上げているそうな。
……マジ? とか思うだろ?
想転移で聞いてみたからな。……マジだった。
だが、この保護されている場所に敵はいない。
そのため、この脱皮した皮が邪魔になる。
溜めている油がコラーゲンなら、この脱皮した皮からも何かになるんじゃないかと思い、鑑定で材質を調べると驚くことが分かった。シャンプーとリンスの原料が出てきた。
脱皮した皮の表面に界面活性剤が、内部側に脱皮するための潤滑剤としてヒアルロン酸が分泌されていたのである。しかし、脱皮の皮だけにしか出ないため、それを利用して造られるシャンプーとリンスが高価格帯になるのも仕方ないと言える。
回数こそ多いものの大きさ的に言っても、微妙な大きさが多い。これらから取られているとしても供給が足りないと思う。
まさに女性に集られるための性質を持つ存在だわ。
集られても、全然嬉しくないらしい。そりゃそうだわ。
そのダイマオウグソクムシの幼生体たちの主食は、風呂に設置している洗い場の排水溝から出る有機物つまり、【人】を食っている。
もちろん、【人】そのものではなく、ヒト族の体から出る有機物が彼らの主食とは、まさに人を食ったお話。
そもそも、風呂から出る排水の中には水分や洗剤などの液体、【人】族から出る有機物などに分別れる。それを濾過し、沈殿したものを食べている。
それ以外にも、付着していた微生物なども大好物である。それらは、【人】族の血を吸うものもいるため、間接的に摂取する必要もあるようだ。
この辺はさすがに魔物と言うべきか?
最近のエドッコォ領にある宿泊施設用の共同浴場には、風呂の浴槽内の水質保全のために水の流れを利用した沈下水槽が設置されているが、その水槽はガラス張り(とはいっても耐魔法耐スキル化)されており、その中に従魔化したダイマオウグソクムシの幼生が数匹入っているという………。
彼らがそこに投入される際には、上部の巣穴から二本のレールによってコロコロ転がってくる。
追い掛けられないし、食事の邪魔はされないし、ツヤも出る。
『『『『『『『『『『僕たちにとってもここは、天国だ!』』』』』』』』』』と、言ったそうな……。




