48, ダンジョンで、………異種格闘戦? 終の六
今回は宴会?してますが、次回辺りに最強と名高いアレが乱入してきます。倒すのか、仲間にするのかは、まだ、決まっていません。
その獣はイラついていた。
さっきまで自分を魅了し、至福のひとときを与えてくれた小さな円盤状の何かの断面のようなソレが、行けども行けども無いのである。さっきまでのパターンだと思って、知らず知らずのうちに急ぎ足になっていた。
その獣は何かの強迫観念による焦りが生まれ、今や全速力になっている。
だが、今その獣がいるところは、シュッキンの結界と学院の結界の狭間で、いくら駆けようとその時が来なければ開かない無間地獄みたいなところに嵌まり込んでいた。
今は、ひたすら血走った目をして駆けていた。扉が開くまでは、ずっと………。
俺は、コーネツ経由の窓転移でそれを確認しつつ、扉を開く準備をする。
そして、ひとまずこちらでは、鉄板を出しました。
鉄板の元はディノのガハハ時代の骨です。骨をスライスしたら丁度良いテーブル状のものが出来ました。スライスしたのは水による超高圧カッターで生活魔法の水を噴射させたものを使用。スライスした鉄の骨テーブルの下に同じ鉄骨で………、違う。鉄の骨で箱を造り火を閉じ込めた。
砂漠の下にある液体をほんの数リットル取り出しただけで火は延々と燃え続ける。
俺は、燃える水を水魔法で呼び出した。
灯油、である。純粋な形で取り出したのだ、本来持っている獣臭さは感じられなかった。
次にエドッコォ領の豆を取り出すと、火と水の生活魔法の同時使用による熱水を作成し、豆と少量の塩を投げ入れる。闇魔法の腐食魔法の初級、腐るを短時間使用し、醸造する。
土魔法により、砂漠の砂からケイ石を取り出し、火による熱を加えてガラス瓶を形成すると、豆から作った調味料をその中に入れた。色は紫、熱した鉄板に一滴垂らすと、ジュウジュウといった音がする。その香りは、えも言われぬもの。
さぁ、鉄板焼きの準備は整ったぜ!
そう思ったら、周りが絶句していました。
「確かに使用しているのは初級魔法や生活魔法なのだけど、……なんか違う」
呆れたように話すレイ。
だが、彼女の形の良い鼻がそのニオイを嗅ぐと郷愁を感じさせてしまったようで少々涙目になっていた。
「さて、始めるか、祭りを!」
そう言って、下からの階段にあった扉に刺さったままだった、ヤリイカを手に取る……、その身から腸や嘴、目玉を取りその捌いた身を鉄板に乗せる。表面にタテヨコの碁盤の目のような筋が入っており、イカの身やゲソを焼いていく。縁日の始まりです。
そう、目の前では、海産物が攻撃し、様々な香辛料を投げつける魔法士たちが居ました。
「行け!『風花』!」
そう言って放つアクィオの風の魔法には、塩がたっぷりと載せられていた。風とともに飛んでいった先はダイマオウイカのもと。
「あっ痛。痛たたたたたたたたたたたた。って、うぉ、しょっぺえ!」と魔物の言葉で話しまくる。
何が起きるやらと思っていたら……、ダイマオウイカが再生させた手を怒りのままに振り回しては魔法の効果を打ち消していましたが、さすがに手が足りなさそうでした。十本あるのにね……。
「風よ!」「土よ!」「火よ!」「水よ!」と、各属性の魔法が飛び交う。
ノコギリソウたちのカッティング魔法が、途中そこを通るイソギンチャクやカツオノエボシなどの食用にならない奴らを輪切りにしていく。
そちらの方は層庫へ直行させています。どのみち、下が砂漠だと肥料にもなりはしないし、毒を持ってそうなものも多いし、ノコギリソウたちにも影響がありそうな気がしたので。
さて、召喚された奴らだけでは足りないから、層庫からオークやらの魔物の肉を出して、焼き始めました。百足鶏の補足なども広げて……。
度重なるダイマオウイカの眷属召喚の魔法によって、その獣にとっての障害が消えつつあった。シュッキンの結界とダンジョンの結界の狭間でもがいていたその獣は自分を押さえつけていた障害が力を失いつつあることに快哉を叫びながら、自らの最大の武器である前足を振り上げ、そして降ろした。
そして、光が満ちた。
11月4日投稿します




