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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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第一回従魔会議

『あるじ様に首っ玉に抱きつかれた時はビックリしたぞ。雪狼になる前の記憶が蘇った。あの人は昔から変わっておらん!』

 いまは子狼に擬態している雪狼のボス、ジョンは懐かしさに目を細める。


『しかし、何故あのような魔法がお使えになるのだ? そういえば、前の時も朝出掛けた時は何ともなかったのに、帰ってきたら本質が変異していた時があったが……それか?』

 主の手によって毛繕いをされながら思いを馳せていた(ジョン)は今度こそは主の元から離れまいと誓うのだった。


『ジョン様も丸くなられて………。まぁ、今度はトラックなんていうものはおりませんからイクヨ様のお側に終生おりますわ、絶対に、です』

 イクヨに、メリーという名を貰った彼女も前の時と同じ唯一の主を得た。


 雪狼としては最大の群れを率いていたジョンの支配が、この出来事を境にして終わったのかという問いには、否と答えておこう。彼の群れは、パレットリア新国の国王の下、自由にパレットリア新国とカクシの森、エドッコォ領で繁栄を謳歌したとのちの歴史書に記載がある。


『あるじ様の作られるものはあるじ様の仲間たちにも大好評だったが、実のところ我らにも大好評でなぁ、思い出してもこう、つい(よだれ)が………ずずずずずずずぅ、と』

 ジョンの口から牛のように大量の涎が……。

 いや、いま周りにいる連中も同じようで、同じく大量の涎がたれまくりまくっている。


『いや、実はおいらも火モグラの連中とは仲が良くねがったんだども、アイヅらが腰に下げていたのがワーム・コインという俺らの仲間から作っだものだったんだけんど、アイヅらとやり合った後に落ちていたのを食べてみたんだ。ショックを受けたよ。オラたちって、こんなに美味かったんだって思った。んで、ちょっと落ちていた乾涸(ひか)らびた仲間を(かじ)ってみたんだが、全然美味くねぇ。どんな魔法使ってんだベってオラたちの仲間ウチで超話題になっただよ』

 と、砂漠ワームのゲンさんでした。


 このワームのゲンさんはジョンに取り押さえられたのをきっかけに主と従魔契約を結び、火モグラとともに地中の勇として双璧を担った。


『初めて、あの方と会った時はどこかで会ったことでもあったかなぁという感じだったんだけど、あの『ルナ』って女と話しているのを見て、つい、むうーーって感じになっちゃったわけでー、おんなじ状態異常を起こしたのにあっさり破ってくれちゃってー、ちょっとむかつくーとか思ってたわけー』

 ダイマオウイカのイカイガさんの言葉はまだ続く。

『だってー、ダイマオウグソクムシのマルちゃんたちを食べちゃうしー、許せなーいって思っていたのー。でもー、あるじ様ってー、何であんなに美味しーもの作れるのかしらー。せーふてーふろあにコッソリーちっさなー穴を開けてー、盗み聞きしてたのー。そしたら、ゲンちゃんも言ってたーワーム・コインっていうのが落ちてきたのー、美味しかったわー、うふ♡ だからー、私の部屋に来たら美味しーモノ出して貰おうとか思っていたのー。大成功だったわー』


 イカイガは忘れているようだが、ノコギリソウのみんなとも、その日から戦友と書いて『友』と呼び合う仲になっていることをお伝えしておきたい。


 そのノコギリソウであるが、あるじ様の作ったものを打ち落としては栄養にするという暴挙を繰り返していたので、撃ち落とした瞬間に雪狼である(われ)が『風』を使い回収していたのだが、あるじ様の想転移という意心の力によって放置せざるを得なかった。だが、そのことは、ノコギリソウの雌株があるじ様の元へ集うというある意味当たり前なある意味驚異の出来事によって終息した。げに怖ろしきは美味(うま)きものへの執着というところであろうか?


 かつて、あるじ様のご親友が語った通りに、やはりあるじ様は『(たら)し』なのだろうな。

 ジョンは静かにそう思った。

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