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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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40, ダンジョンで、………バーゲン?

「キャアァァァァァァァァァァ、一人一個は当たる数ね! あぁぁぁぁ、アイテムボックス、貸して! セトラ! どーしてこの素材だって言ってくれなかったの? こんな素材だったら私もあんなに悩んだりしなかったのにー」


 一匹目のダイマオウグソクムシを解体していて出てきた言葉がコレだよ? 悩ませられるときに悩ませておかないと、いつ悩むんだい?


 案の定、オイル成分を一言「コラーゲン」と言った途端に鬼気迫る表情に変化しました。

 さっきまでとは別の意味でルナの(まなじり)が、つり上がりました…………ハァ……。まだ、一匹目、あと四匹いるんですけど……………。


 でもそれは、前世の女性たちはもちろんのこと、プのネコ耳姫様たちやパット、同期の中の女性魔法士のタマゴたちも、全然変わりませんでした。いつの世も女性にとって『美しい』の言葉は魔法の言葉(・・・・・)だったりするのかも知れません。

 前世にあったデパートのバーゲン会場のような様相で、少しでも程度のいい物をと狙うその目力(めぢから)がハンパじゃありません。


「セトラが言っていた『美味しい』ってコレだったのねーーー」

 ルナの表情は緩みきり、聖母のような微笑みが復活してました。

 本当にこいつは……………、鬼なのか、聖母なのか迷う時が相当あります。


 でも…………、それだけじゃないんですが。


 解体のための活け締めには、刃渡りは最大の三十セチほどに伸ばした水刃(スイバ)で、正面から見て触覚の間の頭と思しき場所を送転移(ブースタ)で、サクッと刺して終わりでした。

 攻撃が生活魔法なら、移動とかには個別魔法を使ってもいいのです。それに関しては常日頃から大々的におおっぴらに使っていましたよ? そうでなかったら、ゴーレムハウス無しですけど………、いいんですか?


 ダイマオウグソクムシの生命活動が止まると、外皮となる鎧装(甲羅?)と身との間にほんの少しの隙間が出来る。そこから一枚ずつ剥がしていくのだ。すると、薄皮の向こうにオイルの部分が出てくる。学院都市の冒険者ギルドでの、解体時の注意には、背中は撃ち抜かないことと、女性冒険者、女性職員及び類する者の立ち入りを規制することが書かれていたのを思い出した。なるほど、こういうことでしたか。

 まぁ、ルナでさえこの有様ですから…………。


 解体してみて分かったことなのですが、ダイマオウグソクムシのコラーゲンという名のオイルは、小袋が連なったブドウの房のような状態で丸くなる時と、水などに沈んだ時などの体を拡げた時で液量を調節していることが判明した。


 その本体を丸めた時に外皮となる鎧装(甲羅?)は、各種魔法を弾くとの鑑定結果だったのだが、その鑑定自体も弾いていたようで、確かに攻撃魔法は弾くのですが水魔法が掛かった時は(しび)れたかのように動きが止まり、七十度の熱水魔法で完全に鎧装(甲羅?)が背中の後ろ部分の三分の一が縦割りになってしまうものもいたのである。


 その個体はメスらしく、そこには多数の卵が! 卵の中で動くものを確認したため、速攻で外側のみを瞬間凍結しました。養殖のために今しばらく眠っていてください、ね。


 魔王様に確認したところ、乾燥地帯を好むらしく、このダンジョンにいる個体は全て巨大化しているらしい。今回の卵は魔王様と折半です。五匹中三匹がメスで一個体に百もの卵が…………、パレットリア新国の名物にします。


 話は()れましたが、水刃(スイバ)で、外皮の鎧装(甲羅?)部分が剥がせることが判明し、強い防具を作れるとかで、こんどは男性魔法士が(たか)っています。とはいえ、二メル×四メルのそれは持ち運びするのに辛く、コレはコレで、自分の名前を書いて、俺のところへ持ってきてます。


 一匹からほぼ二十枚は取れる品のため、五匹もいればジョンを含めて一人二枚は確実に当たる。ただし、売ることは出来ない。なぜなら、みんなが有事の際の大盾に加工してしまうために市場に流通しない、それは加工技術が無かったために起こった現状だった。


「セトラ、スマン。お前の層庫に入れといてくれないか?」

「預かり賃は工事代だからな。占有率からいっても、最低でも、五十回は必要経費だぞ?」

「うわ、高いな。でも持てないのは一緒だから頼むわ。」


 さらに、七対の足と一対のハサミと、その巨大な体は、食用になります。一本二メル強もの脚とハサミは地球の蟹と共通しており、体は曲がる構造から地球の海老に共通しておりどちらも純粋に美味しい。


 とはいえ、普通のマオウグソクムシと違い、巨大なために脚一本で二,三人が満腹になるレベルの逸材。こちらも層庫行きとなった。


「あーーー、食った食った。蟹スキなんて久し振りだったなぁ」


 ヒリュキとユージュを筆頭に日本食マニアが集まって、鎧装を一枚だけ鍋にして、立食形式の蟹スキパーティを第三階層に向かう手前のセーフティルームでゴーレムハウスを移動した上で執り行った。

 今回も関係者に問い合わせた上での実施で、あちこちからお忍びで来られた。今回は、移転先に魔王様の持つ鏡をそれぞれの国に接続して安全性を高めている。ヒリュキの国の父母及び姉妹、シュッキンの国の父母、それぞれの国の一番エラい人たちがこぞって様子を見に来ていた。その人たちにも十分満足して貰えるように配慮だけは欠かさないようにしました。もちろん、お土産も用意しました。

 これからは伝手(つて)も大事になります。


 食後は順繰りと、お風呂です。

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