31, ダンジョン、初潜入!
短かったけど、ようやく始まります。
「ジョン、行くぞ」
「ワフン」
魔法学院の俺の部屋で寛ぐ子犬じゃなかった子狼のジョンに声を掛けると、俊敏に立ち上がる。それから、想転移で「工事屋」のメンバーに繋ぐ。
『これから、学院内のダンジョンに行ってきます。留守番よろしく』
そう言って、部屋の扉を開けると、ヒリュキとシュッキン・ポゥが居た。
「おれもいくぞ。」「結界なら、お任せを。」「セトラ、僕も行くよ。」
扉の横から現れた影が口を開く。三人目は従弟のウェーキ。
「おお、ウェーキ来たか、待っていたぞ!」
火モグラが嫌がる相手というのはそう多くは無い。しかも、魔人様が二人ほど居るのにそれでも嫌がる相手。それはもうアレしか居ない。
そのアレに対抗するための攻撃でここまで的確なものはそれこそ、今のところウェーキ以外では見たことが無い。
ウェーキの魔法はひねくれてて、俺でもアレはどうなっているのか、悩むことがある。
あと一人は、魔王様かコヨミ姉ェくらいだな。
「呼んだか?」「呼んだ? セトラちゃん」
早いな、考えただけで来るとは…………。
しまった、繋げっぱなしかよ……馬鹿だな、俺。
あ…………、ひょっとしてバレてたりする? ぐぁぁぁぁぁぁ。
「あんたも便利だからって、繋げっ放しにしているからよ?」
学院長とワイン飲んで朝チュンしたこと、バレてました。ルナまでー、言われました。
とりあえず、それは置いておいて学院内ダンジョンに向かいましょう。
ダンジョンと言うから地下かと思いきや、意外なところにありました。
魔法学院の中庭にアーチの付いた扉の装飾があるのですが、その中の一つに門番が立っていました。え~と、立っていたというのは間違いですね。壁画の一部として組み込まれており、でもキチンと誰何してくると言うハイレベルな魔法でした。
学院の中庭の内壁という事は有って三十セチくらいの厚みしか無く、そこに踏み込むこと自体にイマイチ現実感の伴わないものがありました。その領域に触れようとすると、壁画の中の門番が、
『ここは、ダンジョンの入り口。覚悟は良いか?』と、訪ねてくるから、学院長の魔法印を見せて『いつでも』と答えた。
『一年ぶりの挑戦者を歓迎する。一年もの間、魔物の駆除がされておらん。おぬしらの後続を含めて何パーティで臨むかね?』
学院長…………。一年も、間を開けていたら、中は相当に凄いことになっているじゃないか? 何パーティで臨むとか普通はあり得ない。が、それが許される事態に陥っているらしい。て…………、あれ? 後続? 俺たちだけで来たんじゃなかったっけ?
そう思って後ろを確認すると、居ましたよ………、工事屋の連中と、同期の初等科の連中が、何で、居るんでしょーか?
「え、工事屋に連絡したでしょ? このあいだの生活魔法の一件で仲良くなっている連中に話したよ?」
ルナでした。お前はいつも、どーしてそーなんだぁ!
シュッキンはルナの初ボケを見てあ然としているし、ヒリュキとシャイナーは苦笑い。
ウガーと取り乱している俺を見て元クラスメイトの連中は、懐かしそうに見ているし、そんな俺たちの関係を見てネコ耳姫様たちは、珍しいものを見ていることをそのネコ耳が主張し、尻尾が楽しそうに揺らしていた。
「………て、プの姫様? 何しているんですか?」
あんたら、こんなとこ来たらダメでしょうが! 俺の内なる声が聞こえたかのようにビクッとするのですが、それだけでした。
「プの姫様? そんな呼び方じゃなくて、リウちゃんとリメちゃんて感じで呼んであげなさいよ、叔父様? ぷぷぷ、プーーーー」
「ルナぁ………、やめろ、その呼び方!」
ダンジョンの入り口見えているのに、ダンジョン入ってすぐに戦闘になること請け合いなのに、ここに来てダンジョン攻略班の組み分け、始めました。
さすがに、最初に飛び込む連中は俺たちが行きます。こればかりは譲れません。
第一班、俺、シュッキン、ヒリュキ、ウェーキ、コヨミ姉ェ、ジョン。
第二班、シャイナー、ルナ、イクヨ、パトリシア、ジョナン、ジュウン。
驚いたことに、ジョナンはジュウンの兄貴でした。
第三班、ユージュ、リウ、リメ、ヤースォ、ヅン、ツォーリゥ。
そんなこんなで、十班になりました。リウとリメに全部の班との通信役を担って貰いながらダンジョン攻略始めます!




