238, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ⑬ 似てる?
お久しぶりです。
生きています。
小っちゃなぽんこつ女神様のアーカイブとの会話が周囲を凍らせる。
「え、グランマ? 誰のこと?」
ムッとした表情のコヨミに対して、不思議顔のチヅル。
「ドータぁぁぁ、その呼び名はやめなさいって言ったじゃないの!」
しがみつくドータに向かって、超恨めしげに叫ぶコヨミ。
「あれっ、グランマが二人?」
ドータの不用意な言葉に、周りがフリーズする。
「ふ、ふ、ふたり、って誰のことかな?」
「そりゃあ、わたしよりも年齢的に、貴女でしょう、チヅルさん。工場長さんなんだし!」
「コヨミでしょ〜う! 貴女に懐いているんだから!」
「わたしたちにとっては、どっちのグランマもグランマなんだよ!」
「「わ、わたしたち?」」
「うん、上にいるドータと、ここにいるドータは、お話し出来るみたい!」
唖然という空気が、その場を支配していた。
「そ、それってレディアークに、繋がるって事かい?」
リュウが、ドータの話の持つ意味に、気付いた。
もし、それが本当なら…。
「うん。心配していたもの。ほら、今もコール来ているよ。え~と、レディアーク?、『ピーピョロピョロピーピョロピョ…。』うん、いるよ。繋ぐ? 分かった!」
ドータの小っちゃな羽から極細のラインが二本ずつ古代のTVアンテナみたいに上方に延びたかと思うと若干、古代的な通信音が流れる。
唐突に、ドータの羽が震えた。
『どうしたのアーク・ア・イブ? ドコから通信入ったの?』
ドータの羽から通信音が流れてきた。
「えっ、繋がったの? マリアなの? 聞こえる?」
ティアの声が驚きに満ちた。
『ティアなの? いまドコ?』
ダンジョン攻略中のオレたちは、その通信の聞き慣れた話し声に驚かされた。
「ダレなの? わたしみたいな響き。不思議。」
いや、一番驚いたのは、彼女だろう。
その舌足らずな話し方は、彼女が人化したときの特徴。
そして、その声色。
『あなたこそ、誰? あたしみたいな話し方も声も、なんだかすごく不思議。』
「わたしはパロア。パロアは、パロア。黒真珠虫のパロア。ここに居る。アナタは、誰?」
困惑した顔で、ドータを通して問い掛ける。
『あたしは、マリア。今は、ね。でも、ルーツは、ほたるの一族。』
同じ話し方で、同じ声が、流れてくる。
「今は? マリアで、ほたる?」
不思議そうにティアに目を向けるパロア。
「そうなんだよね。ゾーディアク所属のメンバーたちって、コールサインで、呼ばれているの。」
そうティアが答える。
「コールサイン? 呼びやすい?」
なんか考え込むパロア。
「ほたるで、マリア。会いたい。どうしたら、いい? どこで逢える?」
いつになく、積極的なパロアに、みんなが唖然とする。そりゃ、自分の片割れが居るなら会ってみたいよね。
『位置は、特定出来たわ。でも、人数的に難しいわね。全員が移動を希望しているのよね? シャトルで往還するにしても、足りな過ぎるわ。』
ああ、悩んでいたのは、それか。
「今、オレたちは、ダンジョン攻略の真っ最中さ。適当に大気圏近くの宇宙空間に縄ばしごでもいいから、そこに階段下ろしてくれたら、こっちの階段と繋がるよ。魔王様が細工済のはずだ。今までだって、そうだったから。」




