237, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ⑫ 似てる
まだまだ、本調子では無いので、短いです。
「俺たちが神様って、有り得ないだろう!」
リュウが叫ぶ。
「そうかな? 君が修めている武術は、ナニ? 舞闘術モンライ流だったよね。君と、ティアさんだけがマスタークラスの、さ。まだ弟子は、シュガーちゃんだけだっけ?『モンライに勝てるものはモンライのみ』って言われているんだよね。じゃあ、神様だよね?」
オレは、ステータス的に亜神である自分のことは棚に上げて問い掛ける。
「う、うぬぅ…。」
ぐうの音も出ないようで、オレの中のリュウも同様に唸っている。
オレたちが話し(?)合っている一方で、ティアとチヅルがレイに近付いていた。
「ね、ねぇ、貴女ってお医者様なんだよね? あ、あの、あたしたちにもその薬って処方してくれないかしら? ちょっと大きく成り過ぎちゃって、所属している艦隊の次の、チーム対抗戦の結果に影響ありそうなんだもの。」
ティアの言葉にチヅルが頷く。
「それに、貴女も関係者なんでしょう? あたしたちの母艦に同じ姿で名前もちょっと似ている人が居るの。」
ティアの言葉に、チヅルが「そういえば」と呟き始めた。心当たりが有るようだ。
「いいのかい? あの姿はキミにとっても魅力的だろう?」
オレはリュウに問い掛ける。
「む…。確かに魅力的ではある。だが、俺はモンライの徒として、闘い舞う彼女の姿に惚れているんだ。」
「言い切ったな。さすがだ。愛し合っているだけのことは有る。…なあ、ティアさん。」
「え、聞いていたのか? グホぅ…。」
呆然とするリュウに、赤面したティアの肘がモロに鳩尾に入った。
「聞こえていたわよ、バカ! それに、あ、愛し合うって…、そんな事、誰に聞いたの!」
「いや、聞かなくても、見てれば分かるよ。」
ティアに問い詰められたオレだったが、瞬時にティアの側に現れたアトリの姿に総毛立った。なにやら囁く。
「え…、そう…。そういうコトだったのね!」
「やば…。転…? ぐはぁぁぁぁ!」
転移で逃げようとしたオレに、ティアのアッパーが突き刺さる。
亜神化しているオレのHPが九割方、吹き飛ばされました。
「こんな愉快な(?)人たちのところに、私に似たヒトが居るっていうのも頷ける話、ね。」
レイが独り言ちた。
「いいわ、処方したげる。でも、どれだけ変化するかは分からないわよ? 体質と薬効それと魔力が関係しているみたいだから。」
薬師レイラートとしての誇りと、レイ・コイトーとして芽生えた好奇心から、そう答える。
「でも、次のチーム対抗戦って、帰れるの? 自分たちの艦に? それとも、母艦に直接?」
コヨミの中のチヅルが、発した問い掛けにその場の全員が凍り付く。
「うぁぁぁぁ、そう言えばそうだった。」
蹲ってしまったティアとアトリ、他のメンバーと使い魔たち。
その身一つで大気圏に突入していたことを思い出したようだ。
「グランマ、やっぱり、あたしの出番ね。」
ぽんこつ女神様のアーカイブ・ミニが、そう言った。




