229, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ④ くされ縁
短いから、ごめん。でもエ、エタらないんだから。
アイスを従魔を含めたみんなで堪能しているうちに出口が近付いていた。
「美味ーい。」
ノインのやつ、考えていたようで、今までずっとアイスを楽しんでいやがった。
他の連中が、熱で溶けたり、食べ終わっても、アイツだけは未だにアイスを楽しんでいた。
「ショッツ、なんで溶けないんだ? それ。」
周りでも不思議そうにしている。
「へへー。ヒミツだよ、ってか今のオレはノインだからね。ノイン。」
ニカっとか笑いながら「オレ」も無いものだが…。
とか、言っているノインを見ていたら持っているグラスの中に、白い液体が層になって少しずつ持ち上がっていることに気が付いた。
「あ…。」
このヤロウ、ゴーレムホテルを活用していやがる。
「あ…、気付いちゃったか。…えへ。」と、舌出し照れ笑い。
てへぺろとは、こいつも業が深い…。
「う゛!」
いま、何人のオトコの心を撃ち抜いたのか、知っているのだろうか?
いろいろと、ドタバタやツッコミどころの多い連中。
気の置けないヤツラだというのは理解していたのだが。
この道中は気が紛れて助かっているかも
。
とにかく長い階段を、ひたすら降りていくと、やがて大きな扉が見えてきた。
「大きすぎる…。どんだけなんだ。」
発見してからも、ひたすら降りた俺たちは疲労困憊の極致にあった。
ようやく目の前に超々巨大な扉が。
視認してから、三時間は経っていた。
「つ、ついたー。」
ガルバドスン魔法学院の学内ダンジョンの二十九階の扉が眼前に聳え立っていた。
「ノイン、扉を開ける前にすることがあるから、こっちに来なさい。」
扉に一番手で駈け寄っていたノインに、迫力のあるストップを掛けた人物が居た。
バトルロボ十傑の白ポーンで、アクアラインと呼ばれているイクヨ・クロッタ。
予報士の称号持ちである彼女とノインは俺と同様に前世での初等教育からの同級生のため、なにかというと、その頃のことを持ち出されるために立場的に弱いのである。
「な、何?」
「セトラくん、やっておしまいなさい。」
「悪りぃ、この件に関しては嫁さんたちからも要請があったんだわ。」
戸惑うノインのスーツに手を当てた。
「え゛?」
「出掛ける前には、風呂だってさ。」
「当たり前でしょ?こんだけ暑っつい場所だったんだもの。サッパリしたいじゃない!」
「え…、ふ、風呂…。」
ユーコの目が点になっている。
「ふ、かつての誰かさんを彷彿とさせる光景だね。イクヨ?」
「セトラ、煩っさいよ!」




