223, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑩ 闘技場 ⑥
いろいろ考えて、こうなりました。
「ああっ、ダメ…。触手が…。」
闘いが終わろうとしている会場に響いたユーコの声。
その言葉に、脳裏に?マークを浮かべたのは、ショッツ……ととと、もといノインだけ。
「しょ、触手? …なんて失礼な。」
だが、徐々に姿を現してくるバトルロボをハッキリと視認した観衆は、戦慄した。
ふらつくドリル・ゲンガーが、その無惨な姿を晒した。
その高速移動するための機体に何かが絡みついていたからだ。
流麗なハズの機体は、白く細いものに巻き付かれ、絡まった状態でふらふらとしていた。
「あれは…、糸か? まるで蜘蛛の糸のように絡み付いているみたいだ。」
ジボの解析能力は、一目で、その正体を見破る。
「あー…、糸だねぇ。どこに仕込んでいたんだ? そんなもん。俺の目の前で組み立てていただろうに?」
俺は当時を振り返って、しみじみと感じ入ってしまった。
「え…? セトラがソレ組み立ててくれたよね。あ……、三日完徹していたからボケていたのかも。迦楼羅の羽根飾りを調整するための糸巻きだよ?」
ショッツは呆れて蹲っていた。
本人的には、あまり秘密の仕掛けっていうほどではなかったようなので、あっさりとカミングアウトしてくる。
とはいえ、そのアッサリした物言いに呆れた目を俺がしてしまった。謝罪するかのような顔を寄越してくる。
「……いいのかよ、バラシても。」
「え? モンダイ無い無い。『はんてん』しなかったらあんな使い方なんて出来ないんだから。」
「軽っ。だけどよ、そんな仕掛けでヤラレたヤツは、相当以上に凹むもんなんだぞ? 見てみろよ…、アイツ。」
絡まった触手に茫然自失状態になっているじゃないかよ。
糸が絡み過ぎて、立ち直れないのは、ユーコもゲンガーも同じようです。
というか、今ゲンガー、倒れました。
「勝者、『零のクイーン』!」
途端、会場が沸いた。
魔法を駆使しても完全には捉えきれないほどに霞むスピードを持つ自機のことを、事も無げに把握する、二人の美しき遣い手。
「第二試合、白クィーン ホシィクvs黒ナイト ヒィロ・シクワバ戦開始!」
観衆の熱気がまた、高まっていく。
熱き闘いの始まり。
「ノインさぁ、なんでバトルロボ…落札したんだ? 結構な額だっただろうに。」
俺の言葉に、ノインが頷く。
「そうだね、高かったよ。でもさ、ゼロの仕組みを公開したくなかったんだ。だって、誰がそれを落札して、分解するかもしれないし、行方不明になるかも分からなかっただろう?」
言われてみて、俺は、その事に気付いた。
「最初は慈善団体へのチャリティーって聞いていたけど、それも数年で世界大会になっちまったら、公然ギャンブル化したし。俺たちが参戦した頃の大会ってスポット有りのポイント制になっていたろ。上級者がほぼ固定になった大会開催の後半に、誰かさんの参戦で愕然となってから開催資金などの収支が巨額になりすぎたからなぁ。」
「だから、オークションするかって考えたんだよ。」
そう微笑んだのはショッツもとい、ノインだった。
「えっ?」
一瞬、呆けた。
「えへへ、主催者はボク♡」
イイ笑顔で宣ってくれやがりましたよ、コイツは!(゜Д゜)
ノインの呆れたカミングアウトに、ノックアウトされました。
な、なんてこったぁー。
*******************
コロナ終息へ、あと少し。
マスクしてほしいです。
無自覚な行動が、無関係なヒトたちに
無慈悲な無差別コロナを無理矢理ってことに。
もう少しです。
たぶん、このコロナの災禍は、来たるべきコロニー時代への
試金石となるハズです。
限られた空間に居る。
それこそが…、コロニー時代への試練なのかも知れません。
*******************




